第49話 アルトvs『皇帝』ゼファー(改)

  俺は必死にサーシャの元へと走っていた。


 既にドロウ先輩には先に行くと伝えている。


 そのため今は【身体強化】の限界の1800%で走っているのだが、今生徒会長の魔力の高まりが消えた。


 やばいな……一瞬でこの学園に最強の生徒会長が負けたとなるとサーシャ達に勝ち目はない。


 すると遠くから物凄い強い魔力を持ったものが乱入してきた。


 これはイリア校長の魔力だ。


 よし!これで俺も間に合う!


 それにイリア校長はめちゃくちゃ強いから負けることは無いはず!


 そしてその1分後に到着すると、生徒会長とソフィアが倒れており、イリア校長は敵にスキルが何かで拘束されていた。


 そしてサーシャは敵に抱えられており、涙が目に溜まっていて今にも泣きそうになっている。


 ……もう2度と涙を流させないと決意したのに……。


 人生をやり直しても俺はダメなのか……?


 …………いやもう、感情に任せるか……。


 あとのことはその時に考えよう。


 今はサーシャの為に俺の全てを賭けて、助け出してみせる。


 前世では女の子を守るなんてできなかったけど、今世はこの為に力を付けてきた。


 ならそれが今だ!


 俺は自分に掛けていた封印を解除することにした。


 今まで封印なんてしていないと言って誤魔化していたが、正直言ってこんなに強い人達ばかりだとは思っていなかったんだよな。


 それにこれを外すと2度ともう封印は出来なくなってしまうがしょうがないか。


 「ふぅ……制限解除」


 その瞬間に俺から魔力が溢れ出し、更に身体能力が劇的に上昇する。


 ふぅ……これで素の状態で大体【身体強化】800%くらいかな?


 魔力は正直もう世界最高峰だと思う。


 よし、これで勝てるかわからないけどやってみるか。


 俺はギリギリ保っていた理性を手放した。





♦︎♦︎♦︎





「お前は何者だ?」


「……俺はアルトだ。サーシャを返してもらう!」


 俺の怒りに呼応するかのように魔力が吹き荒れる。


「なるほどな……。お前強いな」


 元世界四強だが何だか知らないが、ゼファーとか言う奴にそう言われた。


「ならとっととサーシャを返せ。俺は今物凄いキレている。どうなっても知らないぞ?」


 俺がそう言うと、ゼファーはぽかんとした後突然大笑いし出した。


「はははははは!この俺にそんなことを言う奴が居るとは!……だが、あまり調子に乗るなよ?」


 そう言って俺に殺気を放ってきたので、それ以上の殺気をお返しする。


 すると今度は本気で驚いた顔になっていた。


「……このガキを持ったまま戦ったら、俺は間違いなく負けるな。しょうがない、【異空間】。サーシャ王女は少しこの中に入ってな」


 そう言ってサーシャを、異空間に閉じ込めやがった。


 これで気にせず戦えるとも言えなくもないが……。


「テメェ……絶対にぶっ飛ばす……!」


 俺は《魔銃エクスレーション》を構えて。


「【真・オーバーレイ】」


 白銀と漆黒の光速の弾丸がゼファーに向かって飛んでいく。


 しかし、ゼファーが空間魔法で弾丸を転移させたため、当てることは出来なかった。


「凄い威力だな……あれは俺が当たってもやばそうだ。よし、なら今度は俺だ」


 ゼファーはそう言って物凄い速度で俺の目の前に移動し、拳を放ってきた。


 だが、俺は今【部分強化】で視力を強化しているのでちゃんと見える。


 俺は銃剣でガードし、その隙に爆裂弾をゼロ距離で撃つ。


 するとお互いに爆発の衝撃で吹き飛ばされる。


 ……強いな。さすが元世界四強と言ったところか。


 ただ勝てないわけではない。


 俺は【魔力吸収】を発動させ、《魔銃エクスレーション》に更に魔力を込める。


 すると《魔銃エクスレーション》から白銀と漆黒の魔力が溢れ出す。


 そしてチート野郎から貰った魔力の複製をどんどん吸収していく。


 今この銃には、今までの俺の魔力の半分くらいの量が溜まっており、撃ったらどうなるかわからない。


 と言うか、確定で校舎に当たったら跡形もなく消滅してしまう。


 だが、ここで躊躇うと後で必ず後悔すると思い引き金を引く。


「【フルバースト】ッッ!!」


 俺の銃から極光の弾丸が放たれ、最早目視不可能なほど速く進んでいく。


 ゼファーも流石にこれはまずいと思ったのか、直ぐに


「これはやばいぞ……。【断空結界】ッッ!!」


 と言うとゼファーの周りの空間がずれる。


 そう、空間と空間が断裂しているのだ。


 しかし俺の弾丸はそれがどうしたとばかりに突き進み、【断空結界】に触れた瞬間、空間が壊れる。


 そして弾丸はゼファーの右腕を吹き飛ばすと空へと消えていった。


 こんな物凄い威力と代償として《魔銃エクスレーション》が粉々に壊れてしまった。


 なので俺は《爆裂銃剣》を両手で持つ。


 ふぅ……俺の自信作がぶっ壊れたな……。


 今度はもっと頑丈にしよう。


 俺がそう思っていると、ゼファーが話しかけてきた。


「お前……この年でどうやってここまで強くなった?正直言って異常だ」


 俺は問われるが何も応えない。


 もし応えても多分信じないからな。


 俺は《魔銃エクスプロード改》と《魔銃ペネトレーション改》を構え言う。


「もう終わりにしよう」


 俺がそう言うとゼファーは、ニヤリと笑い。


「そうだな。それじゃあ死ぬなよ?」


 そう言うとゼファーが最後のスキルを使う。


「スキル【拳王】発動ッッ!!」


 ゼファーがそう言うとゼファーの手にガントレットが着いており、そのガントレットから物凄い魔力を感じる。


 これは……一発でも当たったら死ぬな。


「それじゃあこれで終わりだ!【崩拳】ッ!!」


 ガントレットに溜まっていた魔力がすべてこの一撃に込められており、それが一直線に俺に向かってくる。


 さて俺も最後に足掻いてみるか。


 少ない時間の中で、目を閉じて集中する。


「……封印解除。そして【永久の瞳】」


 白銀の魔力と漆黒の魔力が俺を包み込む。


 目を開くと俺の目が銀色に輝き、視界の全ての色が消え、世界が遅くなる。


 この魔法は、自分の瞳を限界を超えて強化することによって、自分以外のものが遅く見えるという魔法だ。


 まぁこれを使ったらしばらく目が見えなくなるし、脳の限界を超えてしまうから一瞬しか使えないけど。


 俺は、限りなく停止に近いほどの速さで流れる時の中で、【崩拳】を同じくらいの魔力量を込めた《魔銃エクスプロード改》を撃ち相殺させると、次にゼファーの両足を、後ろに回り込んで近距離から《魔銃ペネトレーション改》で撃ち抜く。


 その後に、本気の腹パンを決め、【永久の瞳】を解除する。


 するとすべての時間が元に戻った。


 その瞬間に【崩拳】が爆発し、ゼファーの両足が撃ち抜かれ、腹パンを決めたせいで吹き飛んでいく。


「!?!?ぐぼはっ!?」


 ゼファーは自分がどうしてこうなっているのかわかっていないようだ。


 俺はゼファーに近づいて言い放つ。


「この勝負、俺の勝ちだ。早くサーシャを返せ」


 そう言うとゼファーは何も言わず、サーシャを異空間から出す。


「アルト!」


「サーシャ!!」


 よかった……無事だったか……。


 俺はサーシャに駆け寄ろうとするが、限界を超えて動いたため、足がもつれる。


「アルト危ない!」


 そう言ってサーシャは俺を支えてくれる。


 しかしサーシャは顔をうつむかせていたため、俺がサーシャの顔を覗いてみると、サーシャは泣いていた。


 そして俺を見上げると。


「アルト、ありがとう」


 そう言って泣きながら微笑んでいた。


 俺はこの顔を2度と忘れることはないだろう。


 それほどまでに可愛くて綺麗で美しかった。



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ということで第2章も残り1話で完結です。

第3章は学園対抗戦です!

お楽しみに!!


 この作品が面白い!まぁいいんじゃない?アルトとドロウ副会長のコンビが見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

 また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などを頂けると作者の励みになります。

 ではではまた次話で。


追伸

作品のタイトルを変えてみました。

また戻すかもしれませんが……。

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