第48話 元世界四強『皇帝』
すいません……話が少し変わってしまい、サーシャ&ユミルの回では無くなってしまいました。
それでは本編をどうぞ。
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俺はチート野郎を倒した後、ドロウ先輩に回復魔法を使ってもらっていた。
俺は今まで使っているのを見たことがなかったので、そこまで得意じゃないのかなぁと始めは思っていたけど……。
「ドロウ先輩、めっちゃ回復魔法使えるじゃないですか。何で使わなかったんですか?」
俺がそう聞くとドロウ先輩は少し困ったように言った。
「回復魔法を使えるやつは大体女神教に行かなければいけないんだ。だか、昔ホルスと言う司教様が俺がいきたくないと言ったら『報告しないであげる』と言ってくれたんだ。その代わりに極力使うなと言われたがな」
へぇ……あの人そんなこともしてたんだな……。
やっぱり優しい人だったんだなぁ……。
でも俺が言うのも何だけど、ホルス司教の立場は大丈夫なのか?
なんか他の子供も何人か行ってないような気がするし。
俺は最近全く会っていないホルス司教のことを考えていると、体が完全に治った。
ほんとに凄いな……たった3分くらいで全身負傷していた俺を治すなんて……。
俺はドロウ先輩にお礼を言う。
「ありがとうございました!これでまた戦えます!戦いたくはないですけど……」
ドロウ先輩は、俺の言ったことに賛成なのか苦笑いをしていた。
「だがまだ襲撃者はいる。先程一瞬だけ【魔力感知】を使ったらまだ1人残っていたぞ」
はぁ……やっぱりまだいるのか……。
俺は少しガックリしながら【魔力感知】を使う。
えっと最後の奴………………は?
「「は?」」
あまりの衝撃に俺たちは声が漏れてしまった。
少しの間固まっていた俺とドロウ先輩はすぐに立ち上がると【身体強化】を使って走り出す。
そしてドロウ先輩がボソッ言う。
「これは完全に相手を間違えたな……。あいつは校長先生以外は勝てない」
そう、俺たちは【魔力感知】でさっき倒したチート野郎なんか比にならないくらいの強さを持った奴を感知していた。
更にそれと戦っていたのは何とサーシャとソフィアと生徒会長だったのだ。
「どう言うことだ……?何故1年生が戦っている?何をしているんだ、ユミルは……!」
ドロウ先輩は怒りを見せていた。
俺はギリっと歯を食いしばる。
「頼む……!無事でいてくれ、サーシャ……!」
俺とドロウ先輩は更にスピードを上げて現場に向かった。
♦︎♦︎♦︎
(三人称)
アルトとドロウが戦っている最中のこと。
サーシャとソフィアは、【魔力感知】を使いながら襲撃者を探していた。
「本当は魔法使うの禁止だけど、今はしょうがないよね?」
そうサーシャが言うとソフィアがため息を吐いて返答する。
「はぁ……まぁ今回だけはね。もしもの時は事情を説明すれば多分何とかなると思うわ」
そうして探していると前から一直線にサーシャとソフィアを見ながら向かってくる人がいた。
「げっ」
ソフィアの口から思わず声が漏れる。
その声を聞いたサーシャは、今来ている人が誰か気づく。
「あっ生徒会長!」
そう呼ばれたユミルは笑顔を浮かべながら2人を注意する。
「どうしたんだい?サーシャ王女、ソフィア。ここでの魔法は禁止されているはずだよ?」
ユミルの目が笑っていない笑顔で言う。
すると2人は冷や汗をかきながら返答する。
「えっと……すいません……会長と副会長の話を聞いてしまって……。それで私達は力になりたいんです!」
サーシャがそう言うと、ソフィアも頷く。
それを見たユミルは『はぁ……』とため息をつき、諦めたのか提案をしてきた。
「これから戦う相手はS級並みの力を持った者達だ。もし僕がやられたらすぐに逃げるんだ。これが守れないならすぐに逃げろ」
そう言って軽く殺気を放つ。
ユミルは軽くと思っているが、サーシャ達にとってはそうでもなかったらしく、少し苦しそうにしていた。
その様子に不安になるユミルだったが。
「まぁ僕が守れば大丈夫か」
そう言った瞬間。
「何が大丈夫なんだ?」
ユミルは物凄い速さでサーシャとソフィアを抱えて飛び退く。
そしてユミルは全身に大量の汗をかきながら呟く。
「これは1番の外れくじを引いたようだ……」
そしてすぐにサーシャ達に指示を出す。
「君たちは早く逃げろ!」
そう言うが、2人はあまりの実力者に体が固まって動かなかった。
ユミルは舌打ちをして襲撃者に努めて冷静に話しかける。
「貴方が一体どなたかお伺いしても?」
そう言うと襲撃者はニヤッと笑って。
「俺は『皇帝』のゼファーだ!」
そう言うと同時にユミルはやはりそうかと言う顔になり、サーシャ達は驚いた顔になっていた。
サーシャが呆然とした表情で、襲撃者改めゼファーに問う。
「そんな……どうして元世界四強がこんなことをしているんですか……」
そう言うとゼファーは。
「俺の目的に必要なことだからだ。そして必要なこととはお前の事だサーシャ・フォン・ドラグーン」
サーシャはまさか自分だと思わず声を失う。
その代わりにユミルは叫ぶ。
「どう言うことだ!何故サーシャ王女が必要なんだ!」
「そんなことお前らに言うわけないだろ。だからさっさとと終わらせる」
バッサリと問いを切られ、ユミルは戦闘体制に入る。
だが。
「無駄だ。お前如きに止められん」
そう言った瞬間、ユミルは地面に頭を打ちつけられていた。
「がはっ!?」
そしてユミルが最後に見たのは、鳩尾を殴られて気絶する妹の姿だった。
♦︎♦︎♦︎
この現場に1番についたのはイリアだった。
「やはりあんただったのね、ゼファー」
「ん?おっイリアじゃないか。どうした?」
「サーシャ王女を離しなさい。じゃないと容赦はしないわ」
「それは無理だな。俺は人の指図は受けないんだ。じゃあな」
そう言って逃げようとする。
イリアは、本気で戦う覚悟をして魔法を放とうとするが。
「【お前は動くな】」
突然動かなくなる。
「ぐっ、どうして……私にも効くの?貴方の【王命】スキルは、同等の相手には聞かないはず……」
そう言うイリアにゼファーは言う。
「それは俺にとってお前が下になったと言うことだ。残念だったな」
そう言って去ろうとする。
イリアは自分の不甲斐なさを嘆いていた。
(世界四強とも言われているこの私が生徒1人守れないなんて……)
すると突如イリアとゼファーは物凄い魔力を感知する。
(なんなのこの濃密で膨大な魔力は!?この感じだと……アルト君!?もう私よりも魔力量上じゃない!)
イリアはこの短時間に強くなっているアルトに驚くが、ゼファーも驚いていた。
「ほぅ……この魔力量は今まででも1人しか見たことないな。この学園にこんな強者が居るとは」
そうして魔力が巻き上がっている方向に顔を向け。
「お前は何者だ?」
するとアルトは全身にどす黒い魔力を纏い、両手には真っ赤の魔力に包まれた《爆裂銃剣》と白銀と漆黒の魔力を纏った《魔銃エクスレーション》が握られており、ゆっくり歩きながら返事をする。
「……俺はアルトだ。サーシャは返してもらう……!」
とうとう襲撃者との戦闘は、佳境を迎える。
元世界四強『皇帝』ゼファーvsサーシャ&ゲイル兄弟。
勝者、『皇帝』ゼファー。
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はい、と言うことでそろそろ第二章も終わりが見えてきました。
次回はアルトvsゼファーです。
お楽しみに!
この作品が面白い!まぁいいんじゃない?アルトとドロウ副会長のコンビが見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
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ではではまた次話で。
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