第47話 それぞれの戦い⑤(アルト&ドロウvs『転生者』シュウト)(改)
さて、俺の八つ当たりに付き合ってもらうと言ったが、実際俺とあいつに大して実力差はない。
そして俺は先輩の準備が終わるまで時間を稼がないといけないんだよな。
俺はそこまで考えて、まぁ大丈夫だろうと思い目の前のことに集中することにした。
「おい、早く起きてこいよチート野郎。お前は生まれた時から強かったんだろうなぁ、俺と違って。こちとら毎日死にかけたって言うのに。そんな俺を卑怯者と言ったことを後悔させてやる」
俺はそう目の前のシュウトに言うと、シュウトは立ち上がって俺を睨んできた。
おお、全く怖くないなぁ。
どうやらシュウトのスキルには、闘争心を底上げするような効果もあるらしく、それを吸収した俺は、今物凄い戦いたい気分になっていた。
シュウトは俺を睨みつけながら話す。
「まさかお前も転生者だったとは……。だが俺のようにチートを貰えなかった所を見ると、お前は神に見捨てられたのかな?なら神に選ばれた俺はお前に負けない!」
そう言って先程と同じくらいの速さで接近してきた。
神に選ばれただけで俺が負けると言いたいのか?
こちとら15年間生まれた時からずっと鍛錬してんだよ。
毎回死にそうになりながらだけどな!
だから俺はこんな反則チート野郎なんかには絶対負けん。
俺はシュウトよりも速い速度で接近して攻撃を仕掛ける。
「【爆裂弾】ッッ!!」
俺はシュウトの懐に入ったところで、ゼロ距離銃撃を行う。
「ッ!?」
「チッ、これでもダメか……」
しかしシュウトのスキルに防がれる。
俺がそう言うと、シュウトが笑いながら言ってきた。
「たかが銃如きて俺のスキルを壊せるわけないだろうが!」
そう言ってゼロ距離から【ファイアアロー】を放ってくるが。
「なっ!?なんで……?」
まぁシュウトが驚くのも無理はない。
なぜならシュウトが放った魔法も俺が吸収してしまったからだ。
まぁ今の俺は半径5m以内なら魔法は物凄い威力じゃない限りあまり効かないからな。
俺は隙だらけのシュウトに蹴りを放つ。
「ぐっ!?このっ!」
しかし蹴りは防がれ、逆にパンチを喰らうことになった。
「ぐはっ!?」
俺はあまりの威力に吹っ飛んでしまう。
くそっ……動きは素人のくせに、あのスキルによる全ての強化が厄介だ。
それにスキルの鎧も硬いし。
俺は直ぐに立ち上がり《魔銃エクスレーション》の制限は外さずに引き金を引く。
発砲音と共にものすごい速度で、シュウトに向かっていくが、しかし大剣の側面で防がれる。
俺はその隙に相手の気付かないうちに接近する。
どうやら俺に気がついていないのか、剣を盾にしながら言ってきた。
「どうした!こんなものか!?」
うるさいなぁ……。
「うるさい、少し黙れ」
「!?お前いつの間に!」
シュウトは今更気づいたようだ。
やはりこいつは戦闘に慣れていないな。
「お前、俺の居場所がわからなかったのか?俺とのタイマンなのに?お前弱いな」
まぁ本当は【隠密】でシュウトの【魔力感知】を誤魔化したけど。
シュウトは俺の言葉を聞いて、突如震え出した。
「お前、俺のことを弱いと言ったな!」
「ああ、お前は弱い。チートに頼りすぎで、他が全然なっていない」
そうなのだ、さっきから戦っていて何度も隙を見せていた。
もしこのスキルをバナー先生とかが持っていたら俺は絶対に一撃で死んでいる。
なのに死んでいないのはあいつが接近戦が素人だと言うことだ。
まぁ【黒天騎士】のスキルのおかげで反射神経も上がっているのか反応されるけど。
だがしかし俺が、それを上回る速度で攻撃すればいいだけだ。
俺はそう考え、自身と銃に【加速】を付与して再び《魔銃エクスレーション》の引き金を引く。
今度は速度が上がっており、ギリギリ防がれた。
むぅ……これでも俺が作った銃の中で、1番性能がいい自信作なんだけどなぁ。
俺はそんなことを思いながら少し落ち込む。
まぁ相手がクソチート野郎だからしょうがないか。
直ぐに切り替えて《爆裂銃剣》をしまい、
《魔銃ペネトレーション改》を取り出してこちらは制限を解除する。
そして白銀の魔力が一瞬だけ出るがすぐに満タンまで溜まった。
俺はボソリと呟く。
「……新技【ハーフ・レイ】」
すると今までよりもより速い弾丸と言うよりも光線が発射される。
この技は完全にスピードに特化しており、速度だけで言えば、《魔銃エクスレーション》よりも速く、亜光速近くまで加速する。
シュウトも今度は防ぐことが出来ず直撃する。
だが鎧に弾かれた。
俺はその結果がわかっていたため、気にすることなく接近する。
そして一時的に【身体強化】を2000%に引き上げた。
その瞬間に身体中の筋肉がブチブチとちぎれる音が聞こえるが、無視して後ろに回り込む。
シュウトが振り返る前に捉え、【魔力吸収】を暴走させる。
その瞬間、俺の半径50mの全ての
思わずシュウトが叫ぶ。
「やめろ!離せ!俺の魔力が吸い取られているじゃないか!」
そう言って俺の拘束を抜け出そうとするが、俺は周りから吸収した有り余る魔力を使い【身体強化】を2500%まであげる。
するとシュウトと【身体強化】で物凄い強化された俺をシュウトが、振り解けるわけがなく、ジタバタするだけになった。
これでいいんだよ、手間かけさせやがって。
俺は力を緩めることなく警戒する。
その間にチラッとドロウ先輩を見ると、目を瞑って集中していた。
あと少しだな……よし!この間にこいつの魔力を無くしてやるか!
そう思っていると、突如シュウトの手にあった剣が1人でに動き出した。
「っっ!?!?」
俺は声にならない叫び声を出す。
いや、さすが転生者と言うかチートスキルというか、こんなこともできるんだな……。
俺もいつか沢山の銃を浮かして、いっぺんに撃ってみたいものだ。
そんなことを思っているとシュウトが勝ち誇ったような声で言ってきた。
「どうだ!これで俺が動けなくてもお前を攻撃できる!食らえっ!」
そう言うと俺に向かって来たので、拘束しているシュウトを盾にする。
「おおおおおい!やめろ!俺を盾にするんじゃない!止まれ、止まれえええええ!!」
そう言って止めていた。
やっぱりこいつバカだな。
自分が捕まってるのに、自分に張り付いている奴を狙うなんて自爆しに行ってるようなものじゃないか。
俺は可哀想な人を見るかのような目を向ける。
するととうとうシュウトが怒りで暴走し始めた。
「クソクソクソクソクソ!俺は転生チートで成り上がる予定だったのに!こんな出来損ない転生者に負けるなんて絶対に嫌だ!そんなことになるくらいなら全部破壊してやる!ひひひひひ!」
そう言うとシュウトの魔力が暴走し始めた。
それによりスキルは解除させたが、魔力が色々な属性に変化して、あたり一面を無差別に攻撃し始める。
……これはヤバいぞ。
こいつ……俺の【魔力吸収】よりも早く魔力を出してやがる……。
最後まで厄介な奴め……。
「ひひひひひ、これでお前たちは終わりだ……ひひひひひひ!!」
「クソがっ!とうとうイカれやがったか!本当に面倒な奴だな!【魔力吸収】はもうこれが限界なんだぞ!」
俺はあまりの魔力の量に魔力酔いを起こし、体が内側から壊れていくのを感じる。
そんな時、頼もしい声が聞こえた。
「アルト!終わったぞ!」
俺は先輩の方に顔を向け、文句を言う。
「先輩!遅いですよ!もう俺の体はボロボロです!でも間に合ってくれてよかったです!」
俺がそう言うと、ドロウ先輩はニカッと笑い。
「後は任せろ」
と言った。
♦︎♦︎♦︎
俺は今、ドロウ先輩が必死に魔法を避けているのを見ていた。
正直もう俺は動けない。
だが俺は最後に《魔銃エクスレーション》の制限を解除して、全ての魔力を注ぎ込む。
そして発砲。
「【オーバーレイ】」
俺の放った弾丸は真っ直ぐと飛んでいき、シュウトの片腕を奪っていった。
「痛ってええええええええ!!」
そう言って蹲る。
その瞬間にドロウ先輩が。
「ナイスだアルト!くたばれ、【
その瞬間、シュウトの周りに水の精霊達が出現し、水の鎖で拘束する。
そして更に、半径50mくらいの水球の中にシュウトを閉じ込めた。
そしてドロウ先輩が俺に向かって叫ぶ。
「今だ!やれっ!!」
俺は《爆裂銃剣》の爆裂弾を放ち、伏せる。
放たれた弾丸は水球の中に入り、シュウトの近くで止まると爆発した。
その瞬間、水と水蒸気爆発を起こし、ものすごく強い爆発が巻き起こる!
そして爆発が止むとボロボロのボロ雑巾になったシュウトが落ちてきた。
チッ、流石は転生者だ。
肉体強度が段違いに高い。
だが、相手はもう魔力もなく戦えるような状態ではなかった。
それを確認したドロウ先輩が、俺のところに急いでくる。
「大丈夫か、アルト!しっかり決めてやったぞ!どうだ?」
そう尋ねてきたので。
「凄かったですよ。流石先輩です!」
笑顔で返す。
するとドロウ先輩は、物凄い嬉しげな顔になっていた。
だがすぐに元の顔を戻ると、俺に手を向ける。
何をするんだと思ったら、何と俺を治癒し出したではないか。
俺は驚いて問いかける。
「先輩って回復魔法も使えたんですね」
「そうだ。だがこれはユミルと校長にしか言っていないから内緒な?」
そう言って悪戯っぽく笑った。
新入生首席、アルト&生徒会副会長、ドロウvs『転生者』シュウト。
勝者、アルト&ドロウ。
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やっと書き終わりました。
今回は少しドロウ先輩の出る回数が少なかったですか、良いところを持っていってもらいました。
是非お楽しみに!
この作品が面白い!まぁいいんじゃない?ドロウ副会長とユミル会長の活躍が見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などを頂けると作者の励みになります。
ではではまた次話で。
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