第46話 それぞれの戦い④(アルト&ドロウvs???)(改)

 やっとアルトの登場です!!

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 なんか物凄い音が3回あった後に、何か叫び声がしたようだが、そんなことを気にする余裕が今の俺にはなかった。


 なぜなら、俺は手引き犯の生徒を追いかけている真っ最中だからだ。


 それにしても……。


 ねぇ……あいつ速すぎない?俺、一応【身体強化】1000%くらいで使ってるんですけど。


 そう、俺は結構本気で追いかけているのだが、全く追いつかない。


 くそっ……このままだと永遠に追いつけずに逃げられてしまう……。


 身体が痛くなるから嫌だけど、しょうがない……【身体強化】の出力上げるか……。


 俺は【身体強化】を1300%に上げる。


 すると先程の追いかけごっこが嘘のように、どんどん近づいていく。


 しかし、向こうも出力を上げたのかまた差が縮まらなくなった。


 あーもう面倒くさいな!


 俺は、そう思って一気に【身体強化】をMAXにしようとした瞬間、突然手引き犯の前に【ウォーターウォール】が出現する。


「ッッ!?」


 そのおかげで手引き犯は止まった。


 俺はすぐに追いつき、この魔法を使ってくれた人にお礼を言う。


「ありがとうございます、ドロウ先輩!!」


 俺がそう言うと、校舎の隙間からドロウ先輩が出てくる。


「よく俺が助けたとわかったな、アルト。相変わらずお前の【魔力感知】は化け物だな」


「そう言う先輩も俺と同じくらい【魔力感知】上手いじゃないですか!!」


「まぁこれでも副会長で、序列2位だからな!俺はまだまだ強くなる!新入生に負けてはいられんのだよ!」


「流石の向上心です、ドロウ先輩!かっけぇー!!」


「うむ、このやりとりはとても新鮮だな!」


「「はっはっはっはっ!!」


 2人で笑い合っていると逃走犯が怒声を上げた。


「仲良く話してんじゃねぇ!退けないならとっとと俺はお前らをぶっ倒して先に進むぞ!」


 そう言ってきたので、俺は答え合わせとして言う。


「まぁまぁ、そんなに怒るなって。今回の手引き犯にして、今年度最下位の成績で入学したシュウト・アーバン君」


 そう、こいつは俺が魔力量測定の時から、要注意人物として気にしていたやつだ。


 だっておかしいだろ?


 この学園はこの王国で1番の学園だぞ?


 普通の人の魔力量よりも少ないとかあり得なくないか?


 それに明らかに手を抜いている感じがしていたからな。


 あと俺の考えだと…………。


 そこまで考えたところで、手引き犯改めシュウトが驚きの声を上げる。


「な、なんで俺の正体がわかったんだ!?俺は目立たないようにしていた筈なのに……」


 俺が言おうとすると、ドロウ先輩が先に言う。


「目立ちたくないのに最下位になるのは、目立ちたくないのに主席になるのと同じだ。因みに最下位は、大体力を隠した奴がなるところだからな」


 ドロウ先輩がそう言うと、シュウトは確かに!?とでも言いたそうな顔をしていた。


 …………こいつ、絶対バカだろ。


 最下位が目立つことくらい誰でもわかる筈なんだけど。


 それに魔力測定の時から、最低記録出してたし。


 ただその時は、俺が転生者じゃなかったら隠しているとは解らなかったな。


 まぁ前世の世界では、ああ言うのはテンプレだし。


 俺とドロウ先輩の2人で憐れんでいると、それに耐えきれなくなったのか。


「……もういい。さっさとお前達を倒して先に行かせてもらう」


 そう言うと突然周りの全てが揺れ出した。


「なっ!?なんだこりゃ!?先輩!原因は分かりますか!?」


「分からない!兎に角警戒しておけ!」


 そう言われたため、俺は【精密感知】を発動させ、《爆裂銃剣》を構える。


 横を見るとドロウ先輩も魔力を高めて、いつでも撃てるようになっていた。


 ……流石だな……俺よりも実践が多いんだろう。


 そう感心していると、揺れが収まる。


 だが、俺たちは先ほどよりも危険を感じていた。


 その原因に目を向ける。


 そこにはどす黒い魔力の鎧を纏ったシュウトがいた。


 シュウトは、人格が変わったかのように落ち着いている。


「……ふぅ……。やはり、このスキルはチートだな」


 そう言うと俺たちに目を向け、俺たちを認識した瞬間に俺達の目の前にいた。


「なっ!?」


「ッ!?」


 気づくとドロウが吹き飛ばされていた。


「ドロウ先輩!くっ、このっ!」


 俺は、シュウトに斬りかかる。


 だがどこから出したのか、鎧と同じくどす黒い魔力を纏った剣で受け止められた。


 シュウトは俺を見て吐き捨てる。


「なんだ、首席はこんなものか。期待はずれもいいところだな」


 そう言って俺も蹴りを入れられ、反応もできずに吹き飛ばされる。


 吹き飛ばされた俺とドロウ先輩を見て、満面の笑みで説明し出す。


「これは【黒天騎士】と言うスキルだ。装備した者の全ての能力を10倍にする。これでお前達の勝ちは無くなった」


 そう言って俺達にゆっくりと近づいてくる。


 うーん……めちゃくちゃ隙だらけだから今攻撃したら当たるか?


 俺はドロウ先輩と目配せをするが、ダメだと目で言われた。


 ……ヤバいな……俺が本気を出しても勝てるか微妙だし……。


 そう思っていると、ドロウ先輩に話しかけられる。


「アルト、今から5分時間を稼げるか?」


「まぁ稼げます多分」


 俺がそう言うと、ドロウ先輩が『よし』と言って俺に作戦を行ってきた、


「どうだアルト、行けるか?」


「大丈夫です。ドロウ先輩も頑張ってください」


「ああ、なんとしても成し遂げてみせるさ」


 そう言って気合を入れている。


 この実力差でも怯まないとは……。


 あのハンクとは全く違うな……比べてはいけない気がするけど。


 ただこの感じだとちゃんとやり遂げてくれるな。


 俺はそう思ったため、勢いよく立ち上がり、シュウトに話しかける。


「おいバカ!これから俺とタイマンするぞ!それじゃあスタート!」


「あっ!お、おい!」


 俺は相手の反応を待たずに、一瞬で【身体強化】を1800%に上げ、《魔銃エクスプロード改》と《魔銃ペネトレーション改》の制限を解除し【魔力吸収】を発動して、一瞬でためて放つ。


 その瞬間に、大砲が放たれたかのような発砲音が響き渡る!


 シュウトに見事当たったのでそのまま《爆裂銃剣》に持ち換えて突撃する。


 そして本気の袈裟斬りを繰り出すが、ギリギリのところで受け止められた。


「チッ、ダメだったか」


「ダメだったかじゃないわ!卑怯だろうが!」


 そう言われたので、俺はカチンときてしまった。


 この俺に卑怯だと……?


 俺の周りのマナが俺の怒りに合わせて勝手に掌握される。


 そして、シュウトのどす黒い魔力をも勝手に吸収していく。


 すると俺の全ての能力が強化され始めた。


 だが魔力を吸われている本人はと言うと。


「お、お前、なんなんだその魔力は!それにどう言うことだ!俺の魔力まで取られているじゃないか!」


 そんなことを喚いているのが耳に入るが、無視して話しかける。


「お前、俺を卑怯だと言ったな?え?どうせお前のスキルは、転生特典として貰ったチートだろ?いいなぁ?チートなんて貰えて」


 俺がそう言うと、シュウトは今までで1番驚いていた。


「な、なんで俺が転生者だと分かったんだ……?」


 俺は固まったシュウトの耳元で囁く。


「……俺も転生者だからだよ……チートは貰えなかったけどな」


 そう言うとシュウトは更に驚いていた。


 俺はシュウトを蹴り飛ばす。


「ぐはっ!?」


 シュウトは強化させた俺の蹴りをモロにくらい吹き飛んでいく。


 それに俺は一気に加速して先回りし、またもや蹴り飛ばす。


 そして校舎に激突する。


 あーあこれは弁償だな……。


 後で謝るのと一緒にちょっと多めのお金渡そ。


 俺はシュウトが吹き飛ばされている間に《魔銃エクスレーション》を取り出して《爆裂銃剣》と一緒に構える。


 さぁ、これからタイマンと言う名の八つ当たりに付き合ってもらおう。


 俺はシュウトに向かって《魔銃エクスレーション》の引き金を引いた。



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すいません……1話で終わりませんでした。

次の話で決着です!

お楽しみに!


 この作品が面白い!まぁいいんじゃない?ドロウ副会長とユミル会長の活躍が見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

 また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などを頂けると作者の励みになります。

 ではではまた次話で。




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