第45話 それぞれの戦い③(リーンvs襲撃者『弓聖』)(改)
三人称です。
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イリアに減給と脅されたもう一人の教師であるリーンは、未だ襲撃者に遭遇できていなかった。
リーンは、アルトやドロウには負けるものの、それでも世界最高峰の【魔力感知】の使い手である。
そんなリーンが中々見つけることが出来ていないのだ。
「おかしいですね……。【魔力感知】ではちゃんと反応はあるのにどこにも居ません。それにはっきりとした位置もわかりません。……ヤバいです……もうバナー先生も出会ってるみたいですし。このままでは減給になってしまいます……」
そう言って嘆いていると、突如リーンに向かって矢が飛んできた。
だがしかしそれをリーンは冷静に対処する。
「【物理結界】」
なんなく防ぐことが出来た。
どうやら今の矢は、魔力で強化などされていない、普通の矢だったようだ。
リーンは、【魔力感知】を最大限に発動しながら相手の位置を探る。
すると今度は魔力の込められた矢が飛んできた。
しかし、流石リーンの魔法と言うべきか。
相当威力は高いはずだが、【物理結界】に損傷は見られない。
そしてやっと居場所を感知できたリーンは、そこに目掛けて、【アイススピア】を放つ。
すると、相手も自分の位置がバレたと分かったのか、リーンにも見える所で矢を放ち【アイススピア】を相殺する。
まさか、結構本気で撃った【アイススピア】が、相殺されると思っていなかったリーンは思わず声を上げた。
「そんな!?あれでも一応大分魔力を込めていたのですが……。それを相殺してしまうのですか……。これは少々時間がかかりそうですね」
リーンがそう言うと、先程矢を放った襲撃者がフードを外して反論してきた。
「貴方は、私に勝てない。だから、さっさと降参して?そしたら見逃してあげる」
そう言うと、リーンは驚きの声を上げる。
「えっ!?あ、貴方、女性だったんですか!?あんなに威力の高い矢を放てるなんて凄いですね!」
そう、今回の襲撃者は、見た目が16歳位の可愛らしい少女だったのだ。
リーンがそう言うとその少女は、満更でもなかったのか、少し顔を綻ばせて返事する。
「ん、ありがとう。私は、これでも『弓聖』って呼ばれてる。恥ずかしいけど、名前を言ったらいけないらしい」
「なるほど……『弓聖』さんですね。私はS級冒険者7位『魔道士』のリーンと申します。もう時間がございませんので、早く終わらさせていただきます!」
すると、襲撃者改め『弓聖』は、むっとした表情になり。
「私が勝つ。だから、貴方がさっさとやられて」
『弓聖』がそう言った瞬間、リーンは【アイススピア】と【ウォーターカッター】を発動させる。
リーンの魔法の特徴は、普通の人と同じ魔法を撃っても速度が段違いに速いことだ。
物凄い速さで『弓聖』に迫るが、『弓聖』もリーンの魔法と同じ分だけの矢を、魔力を込めて放ち、相殺する。
先程も相殺されたため、大して驚かなかったリーンは、素早く次の魔法を放つ。
そしてそれを相殺すると、今度は『弓聖』がリーンが魔法を放つ前に、スキルを使う。
「スキル【連射】発動」
そう言った瞬間、一本の矢を放つとそこから何十本もの矢に増えて、リーンを襲う。
「ふえぇぇ!?それはなしですよ!ずるです!それなら!スキル【多重展開】【魔法速度上昇】発動です!」
するとリーンの周りに矢と同じ分だけの【ファイアアロー】が展開され、先程よりもさらに速い速度で飛んでいく。
すると今度は『弓聖』が驚いたようで、声を出す。
「『ツインスキルホルダー』とは聞いていない。あの性悪女め。今度、会ったら、必ずボコボコ」
そう言ってさらに矢を放ち、なんとか相殺させる。
だがこれを見ていたリーンは、さらに魔法を放ち。
「どうやら今回の勝負は私の勝ちですね」
とドヤ顔で宣言する。
すると『弓聖』はため息をつき、ボソリと呟く。
「【雷付与】【光付与】」
そう言った途端に、矢に雷と光が付与され、速度が急上昇する。
そしてその矢はリーンの魔法を消滅させ、その後も、速度が落ちることなくリーンに向かってきた。
「くっ!?【対物魔結界】縮小版!!」
それを最上級魔法でなんとか防ぐが、気づくとまた新しく矢が放たれており、リーンを撃ち抜こうとしていた。
しかしリーンももう一度【対物魔結界】を発動して半分程防ぐが、属性を付与して速度が上がった矢のため、残りは直撃してしまう。
「きゃあああ!?」
【物理結界】ごしとはいえ、当たった反動が凄かったため吹っ飛ぶ。
そして校舎にぶつかって止まり、リーンは血を吐く。
その姿を見て、『弓聖』はゆっくり近づきながら話しかける。
「だから言った、私が勝つと。これ以上やっても無駄。私は『瞬閃』と違ってできれば殺したくない。だから降参して」
そう言うが、リーンはボロボロになりながらも強気に笑う。
「…………私が降参したら……ゴホッ……生徒が危険になるじゃないですか……」
「でも貴方は臨時教師。だから見捨ててもどうもならないはず」
『弓聖』がそう言うと、リーンはふらつきながらも立ち上がる。
「なんで立つ?もう決着はついたはず」
「ついているわけないじゃないですか……私はまだ死んでいません……」
リーンがまだ戦う意思を見せると、『弓聖』はため息を吐き。
「ならしょうがない。貴方には死んでもらう」
そう言うが、もし防がれるとたまらないので、『弓聖』は最大限【雷付与】をした矢を放つ。
それを見たリーンは急にドヤ顔になる。
それに違和感を感じる『弓聖』だったが、答えが出る前にリーンが叫ぶ。
「この時を待っていました!貴方は必ずとどめを刺す時は【付与】を使うと思っていました!さぁ私の編み出したオリジナル魔法を喰らいなさい!そして私は減給を逃れるのです!!【
そう言った瞬間、突如として『弓聖』の放った矢が、倍以上の大きさ、速度、威力となって『弓聖』に帰っていく。
『弓聖』は防御しようとするが、先程最大限に強化したため、あれを相殺できるほどの魔力を持っておらず、直撃してしまった。
ものすごい衝撃波が発生し、その衝撃でリーンも吹っ飛ぶ。
「なんで私もなんですかああああ!!」
そう言いながら壁に激突するが、なんとかなけなしの魔力で【物理結界】を張って耐える。
その後に『弓聖』を見ると、片足が吹き飛んでいた。
どうやらそのせいで立てないらしく地べたを這っている。
リーンは逃すものかとすぐさま拘束した。
「ふぅ……危なかったです……。もっと強くならないといけませんね……。しかしこれで減給は免れたでしょう……よかったです……。ですが私はもう動けません。あとは頼みますよ、アルト君……」
そう言ってその場に座り込んだ。
S級冒険者7位『魔道士』リーンvs襲撃者『弓聖』。
勝者、『魔道士』リーン。
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はい、今回はリーンの戦闘シーンでした。
正直引き分けにしようかと思ったのですが、それだとなんか嫌だったので、こう言う結果になりました。
次回はとうとうアルト&ドロウの回です!
是非お楽しみに!!!!
この作品が面白い!まぁいいんじゃない?ドロウ副会長とユミル会長の活躍が見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
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ではではまた次話で。
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