第44話 それぞれの戦い②(バナーvs襲撃者『破壊』)(改)
またもや三人称です。
--------------------------
イリアが『瞬閃』を跡形もなく消滅させて、自分の給料が減ると嘆いていた頃、バナーも襲撃者と対峙していた。
またその襲撃者は、バナーと同じく大剣を持っていて、その大剣は禍々しい魔剣に見える。
バナーは声を張り上げた。
「お前は一体何者だ!俺は『豪傑』バナーだ!これでも一応S級冒険者だ!」
そう言うと襲撃者も名乗る。
「おお!お前があの有名なS級冒険者第5位の『豪傑』か!そんな奴がなんでここに居るかは知らないが丁度いい!俺は『破壊』のダンだ!……あっ……名前は名乗っちゃいけないんだった……。後でサリーに怒られるぞ……あっ、更に言ってしまった……やばい……」
始めは元気が良かったが、自分の名前を言ったあたりで頭を抱え出した。
それを見ていたバナーはと言うと。
(こいつ……なんか何もしてないのに勝手に墓穴を掘りやがったぞ……。ただこれをイリアに言えば俺は減給を免れるぞ!この前新しい大剣買ったから金がなかったんだよなぁ)
なんとも情けないことを考えていた。
……きっと2人は敵でなければ、親友になれていただろう。
残念ながらそうはならないが。
それから2分ほどで、ダンが立ち直った。
しかしその顔は恐怖に染まっている。
その姿に思わずバナーは声をかける。
「お、おいダンとやら、大丈夫か?」
するとダンが涙目になりながらバナーに返答する。
「……お前は俺を心配してくれるのか?お前はいい奴だな……。だが」
ダンは泣きそうな顔から一瞬で獰猛な笑みを浮かべ。
「俺はお前に負ける訳にはいかない。ここで負けたら本格的にヤバそうだからな」
そうなんとも情けないことを言って大剣を構える。
それを見たバナーは、悲しげな顔をしながら。
「俺もここで負ける訳にはいかない。こんなんだが俺は一応教師だからな」
そう言ってバナーも獰猛な笑みを浮かべて雷を纏った大剣を構える。
そうして2人は一斉に叫ぶ。
「いざ!尋常に勝負!」
その瞬間、2人は大剣を持っているにもかかわらず、ものすごいスピードで衝突する。
2人の大剣が衝突した衝撃で、周りのものが吹き飛ぶ。
しかし2人は笑いながら剣戟を繰り広げていた。
「ははははは!さすが『豪傑』だ!俺の想像以上に強いじゃないか!それにこんな平和な所にいるから、腕が落ちているかと思ったら全然だな!」
「お前と俺は戦ったことはないはずだが、なんでそんなことが分かる!?」
「それは俺がお前の戦闘を見ていたからだ!」
「なるほどな!」
この会話の間にもお互いに剣を振り続けている。
2人とも大剣で更に魔剣でもあるので、一撃でも当たれば致命傷だが、それがどうしたとばかりに攻撃し続けている。
きっとこの戦闘をアルトが見ると、『これだから戦闘狂は嫌いなんだよ……。戦いながら大笑いするって、普通にやばいよ……』と言うだろう。
それくらい側から見ればカオスな状況だが、本人たちはそんなことは全く気づいていない。
因みに周りには、常に剣がぶつかる音と笑い声が響いている。
だが10分くらいずっと打ち合いを続けていた2人だが、どちらも笑いながら戦っていたちめ、もう既にバテていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……な、中々やるじゃないか……はぁはぁ」
「お、お前もな『豪傑』……はぁ……はぁ……」
そこで2人は早く終わらせるため、ある秘策を考える。
「「そうだ!この一撃で決めればいいんだ!」」
2人ともただの馬鹿である。
まず秘策は口に出して言うものではない。
更に、一撃で決めようなんて、誰もが思いつく。
そんな当たり前のことを秘策と言っている時点で、2人の頭は筋肉で出来ていることが分かる。
だがそれを指摘する人がここにはいないので、どんどん話がエスカレートしていく。
ダンが声を張り上げる。
「よし!それじゃあそろそろ決着と行こうか!これ以上長続きすると本当に俺が殺されかねない!非常に残念だがこれで終わりだ!」
それを聞いたバナーは、物凄い悲しげな顔をした後何かを思い出したのか、物凄い頭を振って真剣な表情になる。
「本当に、非常に!残念だが!そのようだな。俺も生徒に怪我をさせる訳にわいかないのでな。それでは俺も最後の一撃にしよう!」
2人ともが大剣に魔力を込める。
するとダンの大剣の刀身が影のように広がり周りのものを破壊する。
一方でバナーの大剣は刀身が雷に変化して周りのものが焼けていく。
そして2人が接近しながら一斉に叫ぶ。
「【破壊】ッッ!!」
「【雷轟】ッッ!!」
ダンの大剣から全てを破壊するの闇が、バナーの大剣からは全てを焼却する雷が発生し、衝突する。
その瞬間。
目の前で大型トラックと大型トラックが物凄い速さでぶつかったような轟音と共に周りのものが消滅する。
そしてその発生源を見ると、ダンの大剣が折れ、バナーの大剣がダンの腕を切っていた。
ダンは笑顔でバナーに話しかける。
「俺の負けだ……。天下の『豪傑』あと少しで勝てたのに……惜しかったなぁ……。さぁ煮るなり焼くなり好きなようにしろ」
ダンがそう言うとバナーはダンに話しかける。
「ならこれから大人しく拘束されてくれ。そしてまたいつか2人で戦おう!」
そう言うとダンは笑顔になり。
「ああ!次こそは勝ってやる!」
そう言って2人は握手をして笑い合う。
しかし2人は横から恐ろしい気配を感じ、恐る恐る見てみると、そこには【対物魔結界】を何重にも発動したイリアがいた。
そしてすぐにダンを拘束すると、バナーに近づき。
「私も人のこと言えないけど……やりすぎじゃあああああああ!!」
「ぎゃああああああ!!」
思いっきり頭を叩いた。
S級冒険者『豪傑』バナーvs襲撃者『破壊』ダン。
勝者、『豪傑』バナー。
--------------------------
今回は戦闘狂vs戦闘狂の回でした。
どうでしたか?
次はリーン先生の回です。
是非お楽しみに!!
この作品が面白い!まぁいいんじゃない?ドロウ副会長とユミル会長の活躍が見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
☆☆☆→★☆☆でも作者は物凄く喜びます。
また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などを頂けると作者の励みになります。
ではではまた次話で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます