第43話 それぞれの戦い①(イリアvs襲撃者『瞬閃』)

三人称です。

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 イリアは、ドロウとユミルとの通信が切れた魔道具を収め、走りながらバナーとリーンに話しかける。


「多分向こうも私たちの動きには気づいているだろうから、これから三手に分かれるわよ」


「そうですね。その方が良さそうです」


「ああ、それに俺は1人の方が戦いやすいし、面白いからな!……いや勿論生徒の安全が1番だがな?」


 バナーがそう言うと、イリアとリーンにジトっとした目で見られたため直ぐに弁明する。


「それじゃあまぁ大丈夫だと思うけど、倒させるんじゃないわよ?そうしたら1年間減給ね」


 そうイリアが2人を脅すと。


「「なっ!?そんなのなしだ(ですよ)!」」


 2人はものすごい早さで反対する。


 しかし、たかが普通の教師であるバナーとリーンの言うことなど校長であるイリアが聞くわけがなく……。


「ならとっとと捕縛してらっしゃい!」


「「は、はい!」」


 2人は無理やり急かされ【身体強化】を使って襲撃者の元に急いで行く。


 そうして2人が見えなくなるとイリアは中庭で走るのを止め、突然何もないところに向かって言う。


「早く出ていらっしゃい。もう居るのは初めから気づいているわ」


 そう言うと、その場所の空間が歪んで1人の男が出てくる。


「よくわかったじゃないか。流石だな世界四強の『魔女』。そしてはじめまして、俺は『瞬閃』と呼ばれている、今回の襲撃者の一員だ」


 襲撃者改め瞬閃そう言うと、イリアは露骨に嫌な顔をして言う。


「やめて。その名前は嫌いなの。私はイリア校長よ。最近面白い子につけてもらったの」


 急に嫌な顔から変わって、嬉しそうに言うイリアを瞬閃は、


(いや絶対に『魔女』の方がいいだろ。それにその名前は絶対にあだ名とかでは無いだろう)


 と思いながら少し顔を引き攣らせ、引いてしまう。


 それを見たイリアは少し恥ずかしげに咳をして言う。


「こほんっ!それじゃあ直ぐに始めましょう!早く他のところにも行きたいし、ほんとは嫌だけどしょうがないから『魔女』の力を少し見せてあげるわ」


 そう言って指を鳴らして、最上級魔法の【対物魔結界】を発動し周りを囲むと少し力を解放する。


 すると解放の衝撃で周りの草木が吹っ飛ぶ。


 しかしその衝撃を瞬閃も受けるが微動だにしない。


「ははははは!この圧は凄いな!世界四強と言われるだけある!この結界もちゃんと【転移】できないようにされているし、強度も高い!更に最上級魔法を指を鳴らすだけで発動するとは!これはキツイな!」


 そう言ってはいるが瞬閃に全く怯んだ様子はない。


 それはイリアも分かっているのか、面白くなさそうな顔で言う。


「早く来るならきなさい。遊んであげるから」


 そう言うと瞬閃はイラッと来たのか無言になる。


「……それでは先に行こう。後悔するなよ?」


 瞬閃がそう言った瞬間体がブレ、一瞬でイリアの後ろに移動して蹴りを放つ。


 しかしその攻撃はイリアに当たることなく……。


「そんな攻撃じゃあ私の防御は崩せないわよ」


 イリアが展開した結界によって阻まれる。


 ただ止められることをわかっていたのか、瞬閃は焦ることなく距離を取った。


 それを見たイリアは、


「あら?もう一度攻撃してくれれば私が勝っていたのに……」


 少し残念そうに言う。


 すると瞬閃は何も言うことなく【ウォーターカッター】を連発する。


 その威力はアナよりも強く早い展開だった。


 しかしイリアは、それを【ファイアアロー】で全て相殺すると、逆に【ウォーターカッター】を同時展開して放つ。


 その【ウォーターカッター】の威力は襲撃者のものよりも更に強かった。


 それに気づいた襲撃者はすぐに回避をするが、


「遅いわよ」


 イリアは間髪入れず【ファイアアロー】と【ウィンドカッター】を同時展開して連発する。

  

「くっ!?【魔法結界】ッ!」


 これは避けれないと思った瞬閃は急いで【魔法結界】を発動する。


 それを見たイリアは少し感心したように言う。


「へぇあれを止めるのね。やるじゃないあなた」


 イリアが言うと瞬閃は、


「『魔女』に褒められるとは光栄だな!だがその内その余裕もなくなるぞ!」


 と言って魔力を最大限引き出し技名を唱える。


「……【瞬閃】発動」


 その瞬間イリアの【魔法結界】が破壊される。


 これには流石に驚いたのかイリアが声を上げた。


「ちょっと!こんな魔法私見たことないんだけど」


 そう言うと瞬閃は鼻で笑う。


「ふんっ、当たり前だろう。俺のオリジナル魔法だからな。さぁとっとと終わらせよう。あまり長くなると俺が負けてしまう」


 瞬閃が言い終わると同時に、再び【瞬閃】が発動してイリアに当たる。


 しかし今度は破壊された音がしない。


 おかしいと思った瞬閃は警戒し【瞬閃】を発動する準備をするが、突如自分の後ろから声をかけられる。


「こっちよこっち。もう、遅いわね。それに貴方の【瞬閃】だっけ?それは効かないわよ」


 瞬閃は物凄い早さで飛び退き【瞬閃】を発動するが、イリアの言った通り効くことはなかった。


「なっ!?何故だ!何故俺の魔法が効かない!?まだ3回しか撃っていないぞ!もう解析して対策したと言うのか!?」


 瞬閃は、自分の【瞬閃】がこんなに早く解析されると思っていなかったのか、物凄い取り乱す。


 それを見ながらイリアは面白そうに言う。


「貴方の言う通りよ、よくわかったわね」


 それを聞くと、瞬閃は怒りに震えるが、流石S級並みの実力者であると言ったところか。


 なんとか平静を取り戻した瞬閃だったが、もう全てが遅かった。


 ふとイリアの方を見た瞬閃はあまりの光景に一気に心が折れ絶望の声を出す。


「な、なんなんだお前は!?これが世界四強と言うのか!?こんなの化け物じゃないか!」


 瞬閃が見たものと言うと、全属性の最上級魔法を発動させ、尚且つそれを大量に待機させているイリアであった。


 絶望した表情の瞬閃にイリアがとどめの一言を言う。


「先程の私の言葉を訂正するわ。……貴方、弱いわね」


 そう言われた瞬閃は、


「うわあああああああ!?!?」


 【瞬閃】と【ウォーターカッター】を乱発する。


 それを見たイリアは失望したとばかりにため息をつき、


「さよなら」


 全ての魔法を放つ。


 その瞬間、瞬閃は跡形もなく消滅し、中庭に巨大な隕石が落ちたかのような衝撃が発生する。


 それを【物理結界】で防いだイリアはポツリと言う。


「…………自分で捉えろって言っておいて跡形もなく消滅させてしまったわ。それにこの惨状は流石の私でも直せないし……。はぁ……私の給料が……」


 そう言って結界を解除して肩を落としながら第1闘技場に向かう。



 世界四強『魔女』イリアvs襲撃者『瞬閃』。


 勝者、『魔女』イリア。



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はい、校長強すぎ。

化け物ですね。

と言うことで、校長が実は世界最強の一角であったと言う話でした。

テンプレでしたね。

次話は今日の夜の10時位に上げます!

お楽しみに!


 この作品が面白い!まぁいいんじゃない?ドロウ副会長とユミル会長の活躍が見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

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 ではではまた次話で。

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