第30話 呼び出しと決闘
放送で呼ばれてから15分後。
俺は校長室に向かったのだが……。
…………うん、迷った。
そう、俺は普通に迷ってしまったのだ。
いやしょうがなくない?
俺、校舎に入るの初めてなんだよ?
なんかやけに校舎でかいし。
前世の学校の5倍くらいあると思う。
そんなに広いところからたった1つの部屋を見つけるなんて無理だろ。
そして校庭は更にもっと広かった。
もう学校じゃなくて1つの都市だよ。
だって学校の中に服屋とかスイーツ店とか色々あるんだぞ?
普通の学校には絶対ないから。
て言うか校長先生を探そうにも、校長先生の魔力がどんな感じなのか知らないから【魔力感知】使えないしなぁ。
と言う事で、どうしようか……。
俺はどうやって校長室に行くか考えながらよく分からず進んでいると、突如俺の周りに知らないの人の魔力が現れ、俺の足元に魔法陣が展開される。
「な、なんだこれはっ!?え、ちょっとまっ」
俺は足元の魔法陣に問答無用に転移させられた。
♦︎♦︎♦︎
気がつくと俺は、知らない部屋に来ていた。
それにも驚いたが、転移したらめっちゃ酔ってしまいそれどころではない。
しかしやはりあれは、空間魔法の転移だったか。
でも転移って自分以外の人も転移させることってできたっけ?
俺が聞いた話によると、自分1人転移させるのもめちゃくちゃ難しいと聞いたはずなんだけどなぁ。
「……ん?ここは……」
「あっ目が覚めたかい?」
俺の頭の中が整理が出来たため目を開けてみると、俺の目の前には俺の母さんに匹敵するほどの超絶美人がいた。
おおおお!久しぶりに超絶美人見たぜ!
ココ最近は美少女には会えても、美人にはあえてなかったからテンション上がるぜ!
俺は密かにテンションを上げながら、それを表に出さないように気をつけて、目の前の美人に問いかける。
「この部屋ってもしかして校長室ですか?」
俺が言うと、美人な女性がなんでもないことのように言う。
「そうだよ。私が転移させたからね。でもよくそうやって普通に話せるね。大抵初めて転移した人は、私が魔法をかけるまで話すこともできなくなるんだがね」
なんでじゃあ毎回転移で移動させるんだよ……。
転移させられた人はかわいそうだな……。
「あっじゃあ俺も魔法かけてもらっていいですか?」
「ん?ああ、いいよ。【キュア】」
これは状態異常回復か?
へぇこの世界にはこんな魔法もあるんだなぁ。
結構前世では有名な魔法だったし。
まぁ俺は覚えられんが。
俺はさっきから気になっていたことを聞いてみる。
「そう言えば貴女は校長先生ですか?あと、【転移】は他の人に使えないって聞いたんですけど……」
「うんそうだよ、私はイリアと言ってね、この学園の校長さ。まぁ去年からなんだけどね。あと【転移】は他の人に使うのに物凄い魔力が必要なだけで、魔力さえ足りれば誰でもできるさ。まぁ一気に10万くらい使うけどね」
えっ?たった一回の転移で10万だと……?
そりゃあ誰も使うことできないよ。
俺みたいな規格外な魔力持ってないと。
ん?でもそれじゃあこの校長先生って魔力どのくらいあるんだろう?
「ちなみにイリア校長はどのくらい魔力があるんですか?」
「うーん大体100万くらいかなぁ」
えぇ……100万とか俺よりも化け物じゃん。
あれ?でも俺は【魔力吸収】使ったらほぼ無限に使えるから俺の方が化け物なのか?
て言うかそんなことよりも、俺が呼ばれた理由を聞かないと。
「ちなみに俺が呼ばれた理由はなんなんですか?」
「ん?ああ、君を呼んだ理由はただ私が君に会ってみたかっただけだよ」
「え?それだけですか?」
「うん、それだけ」
ならわざわざ放送で呼ぶなよ。
弁償の話かと思って今持ってる金額数えてしまったじゃんか。
「ならもう戻ってもいいですか?」
「ああ大丈夫だよ。でも君帰り方わからないんじゃないの?」
「あっ、わからないです……」
恥ずかしい……。
こんな美人に言われると余計恥ずかしいんだけど。
「それじゃあ私が【転移】で送ってあげよう」
「あっ、ありがとうございます」
それはありがたい。
俺だけじゃあまた迷いそうだからな。
まぁもしもの時は、窓から外に出て【魔力感知】でアナたちを探せばいいんだけど。
「それじゃあアルト・ガーディアン君、また会おう。【転移】」
再び俺の足元に魔法陣が展開され【転移】された。
♦︎♦︎♦︎
俺が目を開けると、校舎の外にいた。
俺は【魔力感知】でサーシャとアナの魔力を感知して向かう。
サーシャたちが見えてきたので声をかけようとすると、なにやら知らない男と揉めていた。
「すいません。私はアルト君の婚約者なので」
「私はアルト様専属メイドなのでそういったお誘いはやめていただけると……」
「あんな、【不適合者】に君たちはもったいない!この天才である、バーン・ファイアにこそふさわしい!さあ、私の元においで!公爵家である僕と結婚しよう!」
うっわっきもちわる…………。
なんだよ、あいつ。
人の話全然聞かないやつだな。
俺はサーシャ達だけでは追い払えないと思い、俺も混ざる。
「おーいサーシャ、アナ!帰ろう!」
「あっ!アルト!早かったね!うん、帰ろうか!」
「アルト様、校長室に何故呼ばれたのですか?」
「いやそれがな?イリア校長が俺に会いたいってだけだった」
「と言うことは弁償ではなかったのですね」
「ああ。よし、それじゃあ帰るか」
「うん!」「はい」
俺たちがガン無視して帰ろうとすると、例の公爵家のボンボンが俺の肩を掴んできた。
「なんだよその手は」
「君は私の話を聞いていなかったのかな?あの子達は僕の方がふさわしいんだよ!」
なんかまた面倒なことを言い出したので、とりあえず適当に対応するか。
「ふーん、でもサーシャ達は、嫌だっていってるし」
「それは僕を前にして照れているだけだよ!」
バーンがそういうと、サーシャたちが小声で話しかけてきた。
「ねぇアルト、この人気持ち悪い」
「はい、私はもう2度とこの人と会いたくないですね」
バーン君や、君は大分嫌われているぞ。
「まぁバーン君がそういっても、サーシャたちは嫌がってるから。じゃあそう言うことで」
俺たちが帰ろうとするとバーンが顔を真っ赤にして喚き出した。
「この僕をここまでコケにする人は初めてだよ!君は僕に従えばいいんだ!従わないなら決闘だ!」
こいつ……面倒なことを……。
どうやら俺は決闘を挑まれたようだ。
……なんでこう言ういらないテンプレが発生するんだよ……。
俺はガックリと肩を落とした。
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次はスカッとする話ですよ!
公爵家のボンボンには、引き立て役となってもらいましょう!
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