第29話 合否発表と呼び出し
俺たちがS級冒険者であるバナー先生に、本気ではなかったはずだが勝ってしまった実技試験から1週間が経ち、とうとう合格発表の日になった。
俺はと言うと、相変わらず違う意味でビクビクしている。
「ねぇアナ~。俺、弁償として請求されないよねぇ?」
「サーシャ様に聞いた所、大丈夫らしいですよ」
「そうだよアルト、私だって的壊したんだしアルトだけ請求なんでないよ!」
えぇ……でもサーシャは王族だし、俺なんてどこにでもいる一般市民…………あ、そういえば俺って侯爵家の次期当主じゃん。
最近めっちゃ陰口言われてたから、平民気分だったわ。
ていうか平民がメイド連れてるなんてありえないよな。
なら大丈夫か。
俺が安心していると、学園が見えてきた。
「じゃあ合否だけ見てすぐに戻るか」
「はい、そうしましょう」
「うん、あんまり長く居ると疲れるしね」
まぁアナもサーシャ美少女だしなぁ。
「…………あと、アルトが女の子に群がられそうだから……」
「サーシャ、俺が女の子に群がられるわけないじゃな……い…………か」
あれ?そう言えば俺って自分が発狂してしまったほどイケメンだったな。
ならサーシャが言ってることも間違いではないのか?
「でも、受験のときは一回も話しかけられなかったけど?」
「…………それは私が近づいてくる女を殺気放って近づかないようにしたからだし……」
サーシャがみんなに聞こえないほどの小さな声で言う。
まぁ俺はバッチリ聞こえたんですけど。
……ただこれは難聴主人公みたく聞こえなかったことにしよう。
「……なんか言ったか?」
「い、いや何でも無いよ!気にしないで!は、早く見に行こう!」
……最近思うようになったけど、サーシャって意外とヤンデレ気質あるよね。
まぁ、俺はヤンデレでも全然大丈夫だけど。
でもこの世界って重婚有りだからあまり気にする人少ないと思ったけど、そうでもないのかもしれない。
「まぁでもアナとサーシャがいるし話しかけられないだろう」
だって2人ともそこらの美少女とは比べ物にならないほど美少女だし。
そんなこんなで合否が書いてある掲示板の前に来た。
えっと……俺の名前は……ないな。
「サーシャはある?」
「ん?私もない……。落ちたのかな……」
そんなバカな……。
俺は兎も角サーシャが落ちるなんてあり得るのか……?
「お二人ともちゃんと合格してますよ」
「なんでアナはわかるんだ?」
「別の掲示板にちゃんと書いてありますよ」
そう言われてもう一つの方の掲示板を見ると、
_________________________
主席 アルト・ガーディアン 測定不能
次席 サーシャ・フォン・ドラグーン 400/400
次席 ソフィア・ゲイル 400/400
_________________________
ちゃんと書いてあった。
でも何で俺は測定不能なんだよ。
あれか、俺がやりすぎたせいか。
そうだよな、うん、わかってたよ!
魔力量60万に【魔力弾】での的(その他諸々)の破壊、止めにS級冒険者への勝利と色々と多分過去最高を優に超えてるもんな!
でもせめて点数くらいつけてくれてもいいじゃん。
測定不能なんてただの化け物じゃんか……。(*正解)
俺が少し落ち込んでいると、アナとサーシャが目を輝かせて称賛を口にする。
「すごいねアルト!私満点だったのにそれよりも上なんて!私も頑張るからね!」
「流石ですアルト様。私の歴代最高得点をあっさり抜いてしまうなんて」
お前たちやめてくれよ……。
サーシャ達が、俺をもう化け物って認めているような感じになるじゃないか(*その通り)
ま、まぁ弁償もなかったし、ちゃんと合格できたからいいことにしておく。
そうしないと、俺が人外だと気がついてしまうから。
こんなんじゃみんなに化け物って怖がられて、今世も友達できなくなってしまう。
それだけは嫌だ。
絶対に作って見せる!
そう俺が意気込んでいると、拡声魔道具を使っているのか放送が流れる。
「新入生主席、アルト・ガーディアンは至急校長室まで来てください」
……なんで?まだ入学もしてないのに呼ばれたんですけど。
え、これって絶対に弁償の話だよね?
行きたくないんですけどおおおお!
こっそり帰るか……。
俺がバレないように帰る準備をしていると再び放送が流れる。
「もし来なかった場合は、合格取り消しになりますので」
逃げ道を確実に塞いできやがったああああ!
くそう……これは行かないといけないのか。
「それじゃあ俺は言ってくるから、サーシャとアナは待っていてくれ」
「気をつけてね?」
「もし弁償の話であれば、私が出しますのでご安心を」
「…………それはいいかな。それやってしまうとヒモ人間になっちゃうから」
「そう言う割には、返答が遅かったですね」
「……やかましい」
…………だって俺前世で庶民だったし。
払うって言われたら断りたくないじゃんか。
……はぁ……俺今どのくらいお金持っていたっけな……。
俺は魔法鞄の中に入っているお金の量を数えながら、泣く泣く校長室に向かった。
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次の話は校長登場です。
お楽しみに!!
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