第15話 魔物を討伐しに行こう③(改)

 俺たちの放った弾丸と魔法は、2体のゴブリンジェネラルの命を奪う。


 しかしどちらも全ての敵を倒すつもりで放ったのだが、ゴブリンキングと、残り1匹のゴブリンジェネラルが残ってしまった。


「グルルァァァァァァ!!」


 やばい!ゴブリンキングが部下を殺されたからかめっちゃ怒ってるんだけど!


 自分の魔法が思ったより効かなかったからなのか放心しているアナに。


「アナ! 逃げるぞ! こい!」


 やばい状態だから猫かぶるのも忘れて叫ぶ。

 

 するとアナは聞こえたのか急いで俺のところに来て俺を担いで逃げだす。


 しかしゴブリンキングもジェネラルも追いかけてくる。


「ちょっと! アナ! なんで俺を担ぐの!」


「アルト様の安全が第一ですし、私の方が早いからです!」


 するとアナは【身体強化】を発動させた。


 すると一気に加速する。


 速っ!なんだよこのスピード。


 俺は【魔力視】でアナを見てみるとなんと1000%まで出力を上げていた。


 やばいぞ……このままじゃアナの体が壊れてしまう。


 こうなったら俺の奥の手を使うしかないか……。


「アナ! 洞窟の出口で下ろしてくれ!」


「何故ですか! 死んでしまいます! 絶対にアルト様は死なせません!」


「大丈夫だ! 俺にいい考えがある!」


「……ほんとですか?」


「ああ、ほんとだ!」


 アナは少し考える素振りをすると覚悟の決めたようだ。


「わかりました! 洞窟の出口ですね!」


 するとアナはさらにスピードを上げる。


 見てみると1100%まで上がっていた。


 アナが限界を超えて頑張ったおかげで追いつかれることなく出口に到着。


 そして下ろしてもらいアナには隠れてもらう。


 ふぅ……今からやるのは、今まで一回だけやったけど危険すぎて途中でやめたんだよな……。


 あの時はマジで死ぬかと思った。


 だが今はそれをしないと俺もアナも死んでしまう。


 美少女が死んでしまったら人類の損失だ。


 それはなんとしても避けなければならない。


 この世界の紳士代表として!


 まだ紳士と言える年齢ではないけれど!


 俺は【身体強化】を目だけに1300%で発動。


 そして《エクスプロード》と《ペネトレーション》の制限を解除する。

 

 すると2つの銃からオーラが溢れ出し、俺の魔力を吸い取っていく。


 魔力が吸い尽くされる前に魔法鞄から【硬化】と【加速】を付与したミスリル製の弾丸を取り出して装填する。


 そしてこれから俺が編み出した新魔法の披露だ!


 俺は大きく息を吸う。


 そして【魔力探知】を半径20mと【魔力視】を同時に発動。


 そして【魔力視】で自分の周りのマナを見て【魔力探知】で支配する。


 ううぅ……やばいぞこれは。


 頭が痛いし、魔力切れが起きそうになってるから状態は最悪だが……これでいい。


 俺はオリジナル無属性魔法【魔力吸収】を使う。


 その瞬間、支配した全ての魔力を自分の体に吸収される。


 前世のラノベ知識で周りの魔力を吸収する魔法があった気がして、1歳の時から練習をしていたが、この前【魔力探知】で周りのマナを掌握させるので思い付いた。


 だが俺の魔力ではないから身体中が異物が入ったように感じたのかめっちゃ痛い。


 これだからこの魔法はしたくなかったんだが……。 

 

 【魔力吸収】によって吸収した魔力を銃に流し込む。


 やばい……銃が思ったよりも魔力を吸い取るから周りの魔力がなくなってしまう……。


 なんとか周りの魔力が吸い尽くされる前に、《エクスプロード》と《ペネトレーション》のオーラが消える。


 よし!魔力が満タンになった!


 俺の準備が完了すると同時に、ゴブリンキングとジェネラルが出てくる。


 俺は今までの怒りなどを込めて、キングとジェネラルに叫ぶ。


「遅かったなこのノロマ共! お前達は終わりだ! これでも食らえ!!」


 俺は強化された目でゆっくりと動く相手の眉間を狙い、引き金を引く。


その瞬間、今までとは比にならないほどの爆発音が洞窟内に響き渡る!


 2つの銃から発射された弾丸は、漆黒と白銀のビームとなって、ゴブリンキングやゴブリンジェネラル、その他に残っていたゴブリン達に襲いかかる。


 ゴブリンキングとジェネラルは自分の持っていた斧を盾にしたが、俺の弾丸に斧ごと貫かれ爆散。


 周りにいたゴブリンも巻き込まれて消滅する。


 しかし弾丸はそれでは止まらず洞窟を破壊し尽くして空に飛んでいき爆発した。


 すると物凄い爆風が襲ってくる。


 しかし俺にはもう魔力がないので【身体強化】をすることが出来ずに吹っ飛ばされるが、途中でアナに抱き止めてもらえたのでなんとか止まった。


 砂埃が晴れると、洞窟だったところが跡形もなく消滅している。


 なんなら周りの木も根こそぎなくなっていた。


 うおっ!完全にやり過ぎたァァァァァァ!


 どうしよう……。


 これは洒落にならないくらいやらかしてしまったァァァ!


 いくら上級下位の魔物を倒すためとは言え、オーバーキルにも程がある!


 俺があまりのやらかし度合いに頭を抱えていると、アナが話しかけてきた。


「アルト様! 大丈夫ですか!」


「う、うんなんとかね。アナは?」


「私はなんともありません。しいていうなら魔力がほとんどないことくらいでしょうか」


 そうか……アナはなんともなかったか……。


「アナ。僕は疲れたから休ましてもらうね」


「はい。おやすみなさいアルト様。今日はいつもと違ってとてもかっこよかったですよ」


 最後にアナがなんか言っていた気がするが、あまりの疲労に意識を手放してしまった。





♦︎♦︎♦︎





 俺の目が覚めると気づけば俺の部屋で寝ていた。


 あれ?俺はなんで家にいるんだ?


 確か森の洞窟跡で気絶したはず……あっそうか、アナが運んでくれたのか。


 アナには本当に感謝してもしきれない。


 今度アナの誕生日に新しい魔法の杖買ってあげよう。


 めっちゃ良いやつ。


 アナの誕生日に魔法の杖を買うことに決めてベットから降りようとすると、いきなりドンッ!と大きな音をたてて扉が開く。


 扉から入ってきたのは、父さんと母さんとアナだった。


 それにみんな泣いている。


 えっなんでそんなにボロ泣きしてるんだ?


 俺のせいか?


 この場面を見ると、どう考えても俺のせいか。


 しかし俺はそんなに心配をかけただろうか?


 ………………………………うん……めっちゃ心配かけてたわ。


 まだ4歳なのに、上級下位の魔物と戦ってるし、その場所は俺の銃のせいで地面も森も抉れたり、なくなったりしていたからなぁ。


 俺が理由を考えているとみんなが俺に抱きついてきた。


「えっ!? みんなどうしたんですか!? なんで急に抱きつくんですか? ……って痛い痛い痛い! おいコラ! さっさと退けろ!」


「ああ、ジーク! 3週間ぶりに目が覚めたと思ったら、アルトが不良になってるわ!」


「いや、あれは母様達が悪いでしょ! そんなに強く抱きしめられたら、4歳児の身体なんてすぐに折れちゃうか……ら……え?」


 3週間?


 どういうことだ?


「えっと3週間ってどういうことですか?」


 俺が聞いてみると。


「そりゃあアルトが3週間目を覚さなかったということだ」


 父さんが俺が不良になったとさらにないている母さんの代わりに答えてくれる。


 …………えっマジですか。


 俺3週間も寝たきりだったの?


 めっちゃびっくりなんだけど。


 てことはあの死闘は3週間前の話?


 嘘~、時が進むの少し早過ぎないかい。

 

 俺の気分的にまだ数時間しか経っていなかったんだもん。


 俺はアナを見る。


 良かった……ほんとに何もなさそうだ。


 まぁ俺の身体はあの戦いで無理をしすぎたせいでめちゃくちゃ痛いが。


 そういえば俺の相棒である、《魔銃エクスプロード》と《魔銃ペネトレーション》はどこにあるのだろうか。

 

 見た感じこの部屋にはなさそうだし。


 聞いてみるか。


「父様母様。僕のいつも持っていた武器知りませんか?」


「ん? あー銃っていう武器のことか?」


「はい」


「えっとだな……これは実物を見てもらったほうが早い。アナ、持ってきているな?」


「……はい。今から取り出します」


 そう言って複雑な顔をしたアナは影から取り出して俺に渡してくれる。


「やった! やっと見つ……け……た…………はああああああああ!?」


 なんとどちらも銃身が消滅している。


 そんな気はしてたけどホントになってたか……。


 俺は急いで体の痛みを堪えながらミスリルと純魔鉄を持ってきて【銃制作】で治すのだった。


 くそっ、目が覚めたばかりなのにどうしてこんなにも忙しいんだ!


 これも全部ゴブリン共のせいだ!


 まだ4歳なのにラノベの中の社畜みたいじゃないか……。


 ほんとこの世界はつくづく俺に厳しい世界だなぁ。


 


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