第19話 婚約者の王女様が我が家に来ました(改)
盗賊団を滅ぼして急いで家に帰ると、まだ王女様達は着いていなかった。
まぁそりゃそうか、追いつかれてないし。
俺とアナは急いで風呂に入り、服を着替え直して父さん達のところに向かう。
「父様、母様!ただいま戻りました!」
「同じくアナスタシア戻ってまいりました」
「おお、やっと帰ってきたか!間に合わないかと思ったぞ。それでこの手紙はどういうことだ?」
うっ、やっぱり言われるよな……。
俺が答えかねているとアナが話してくれた。
「まず発端はアルト様の嫌な予感がすると言うところからでした」
「嫌な予感?」
「はい。それから確認だけということでなにもなかったらすぐに帰ると決めて行くと、本当に盗賊団が100人以上いてそこで交戦しました」
「この様子だと全員倒したんだろう?」
「アルト様は格闘術で私は魔法で戦い、最後に私のオリジナル魔法で倒しました」
「なるほどな……アルト、アナスタシア」
「「は、はい!」」
「よくやった!さすが俺たちの家族だ!」
「「あれっ?」」
「ん?どうしたんだ、そんな情けない顔して?」
今の完全に怒られる奴だったよな?
まぁ怒られたくはないし褒められたからいいけどね!
アナもホッとした顔をしている。
「よし!それじゃそろそろ着くから準備するぞ!!」
「「「はい!!」」」
とうとうサーシャ王女とのご対面だ。
第一印象が1番大切だって言うから、気をつけないとな。
もうサーシャ王女のアルトへの第一印象が既に決まっていることを知らないアルトは、必死に猫かぶることを決めるのだった。
♦︎♦︎♦︎
今目の前に馬車が止まった。
昔俺のために買ってくれた馬車は特注品で高いと言っていたのだが、失礼ながらそれと比べるまでもなく高級そうに見える。
さすが王室の馬車だな……。
まず大きさが違う。
ものすごくでかいんだが。
俺の家の馬車が4mくらいなのに対して、この馬車は倍くらいはありそう。
そしてなんかめっちゃできる人オーラが出ている執事さんが馬車の扉を開ける。
その中から始めに王様が出てきた。
見た目はムキムキでダンディーな60代のお爺さんみたいな人だ。
次に王妃が出てきた。
いや王妃かよ!
失礼かもだが、早くサーシャ王女出せよ。
ここは普通1番だろ。
それに今俺人生で1番緊張してるから、魔力が制御できてないんだよね。
だから早く出してくれないと魔力切れが起きそう。
ちなみに王妃は、金髪碧眼の美女だった。
正直言ってめちゃくちゃエロい。
この人一体何歳なんだ?
もしこの人が20代前半って言われても違和感ないくらい若く見える。
これは、王女様も期待できるな。
そして最後に本日の主役であるサーシャ王女が降りてきた。
彼女は、金髪碧眼の腰まであるストレートなきれいな髪をしていて、王妃を小さくしたような感じだった。
俺は見た瞬間、目が離せなくなってしまう。
サーシャ王女もこちらを見たまま階段を降りようとしない。
お互い見つめ合ったままどのくらい立っただろうか。
この沈黙を破ったのはシルだった。
「ねぇえ!いつまでそのままなの!おにぃちゃん!シルも見て見て!」
シルは頬をパンパンに膨らませて、俺の顔を手で自分の方に向ける。
「ねっ?シルかわいい?シルも見て!」
かわいいなぁ。
シルのおかげで緊張がだんだんほぐれてきた。
「シル、かわいいね。それにありがとう」
「うん!どういたしまして!」
俺はサーシャ王女の方に身体を向け、自己紹介する。
「はじめましてサーシャ王女殿下。私はガーディアン侯爵家長男のアルト・ガーディアンと申します。本日は遠路はるばる我が一族の領地に来ていただきありがとうございます」
言い終わって顔をあげると、サーシャ王女も慌てて自己紹介しだした。
「こちらこそ始めましてアルト様。私はサーシャ・フォン・ドラグーンと申します。本日は私と婚約をしてくださりありがとうございます。これから仲良くしてくれると嬉しいです」
「い、いえこちらこそこんな私と婚約してくださりありがとうございます!」
「「……」」
はい会話終了。
……気まずいんですけど。
えっと何を話せば良いんだろう。
女の子と話すのは前世を合わしてもほぼ無いためどうすればいいかわからない。
あっそういえば女の子の服装は褒めなきゃいけないって書いてあった気がする。
「えっとサーシャ王z「今日の盗賊団との戦いとてもかっこよかったです!」えっ?」
え、うそだろ……なんでサーシャ王女が知ってるんだ?
絶対に見える位置に居なかったはずなのに。
取り敢えずごましておくか。
「えっと……なんの事でしょうか?」
「とぼけなくても大丈夫ですよ!私のスキル【千里眼】で見ていましたから!」
なんだってえええええ!?
何でよりにもよってそんなスキル持ってるのさ……。
仕方がない、諦めて話すか……。
「……はい……確かに盗賊団は俺の専属メイドであるアナスタシアと共に倒しました」
「やっぱりそうですよね!すごかったですね!いつから魔法の練習をしていたんですか?それにあの見たことない武器は何なんですか?」
サーシャ王女が見たことのない武器といった時、俺は王様が反応したのを見逃さなかった。
ふとアナを見ていると、俺に向けて『やらかしましたね』と言ってそうな顔をしていたので、俺が首を傾げていると、突如王様が立ち上がって。
「アルト・ガーディアンと言ったな。アルトよ、私と戦おう!」
「いやなんで!?」
思わず王様なのを忘れて突っ込んでしまう。
「よし!そうと決まれば模擬戦の出来るところに行くぞ!ジークよ連れてってくれ」
「おい、バラン!模擬戦は良いが手加減しろよ!」
いやだめだろ!
そこはやめさせろよ!
俺は最後の希望である母さんと王妃に目を向けるが、2人には諦めろと言う意志が込められた笑顔が返ってきた。
くそ……もう諦めるしか無いのか……。
「それは勿論わかっている」
王様は満面の笑みでそう返した。
もう無理そうだな。
やる気満々でしたね。
俺はガックリ肩を落としながらみんなについていった。
♦♦♦
「それでは模擬戦を始めます!」
どうやら審判は父さんがするようだ。
今俺は母さんにもらった丈夫な服と《魔銃ペネトレーション改》と《魔銃エクスプロード改》を装備している。
一方で王様改めバランは鎧を着て、大剣を片手で持っていた。
なんだよこの爺さん。
2m以上もある大剣を片手で持てるとか、怖いんですけど。
これは手加減してたら間違いなくどこかの骨が折れる。
俺は【身体強化】を一気に800%で発動して、さらに【魔力感知】の超精密版だが範囲が狭いオリジナル魔法【精密感知】を発動。
これで俺の死角は無くなった。
俺は相棒の2丁を構える。
「おお、その年でよくそんなに器用なことができるなぁ!面白くなってきた!よしこい!」
「ではいかせていただけます!」
俺は《魔銃ペネトレーション改》の引き金を引く!
いつもよりも大きな発砲音が響き渡る!
俺が放った弾丸は弾かれてしまった。
いやあれに反応できるのかよ。
音速は超えてるんだぞ。
「がはははは!なんだその武器は!凄いじゃないか!」
今度はバランが【身体強化】を使って走ってきた。
速っ!
大剣持ってる人の動きじゃないよ。
俺は負けじと銃を撃つ。
「おらっ!」
しかし止めることはできず大剣を振ってきた。
俺は【精密感知】でどこに来るか予測して紙一重で回避する。
いや剣振るの速すぎな。
これは今のままだと負ける。
俺は、魔銃の制限を外す。
「
魔銃から漆黒と白銀の魔力が溢れ出す。
そして魔力が吸われる。
このままでは魔力切れになってしまうので、俺はこれまたオリジナル魔法の【魔力吸収】で魔力を補給する。
いつかのゴブリンキング戦では魔力が足りなかったが、今はその時の6倍はあるから、なんとか自分の魔力だけで大丈夫だったな。
さらに俺は目に【部分強化】を【身体強化】に500%上乗せする。
これで目だけは1300%強化された。
「がはははははは!凄い凄いぞ!これは完全に大人顔負けだな!よしどんなものか見せてみろ!」
「言われなくてもやってやる!【オーバーレイ】ッッ!!」
2つの銃から漆黒と白銀の光線が放たれる。
どうだ!あの時より威力は上がっているぞ!
「これは本気を出さなければな……。【破斬】ッッ!!」
俺の【オーバーレイ】と破壊の力を纏った大剣がぶつかる!
このぶつかり合いにに勝ったのはバランだった。
「がはははは!素晴らしかったぞアルトよ!これでまだ8歳とは驚きだ!」
「いえ、まだですよッ!!」
「何ッッ!?」
俺は【身体強化】を1000%に上げ、拳には【硬化】を、足には【加速】を付与して正面から突っ込む!
「食らえ!「「本気のパンチ!」」
俺が技名を言うと同時にサーシャ王女も言っていた。
そう言えば俺、この技は盗賊に使ったな。
俺のパンチでバランは吹き飛ばされ、壁に激突する。
砂埃がなくなり、見てみると。
「アルトよ!お前は凄い奴だな!!この俺は昔、お前の両親と共にS級冒険者として活動していたんだがな!やはり年には勝てん!しかし俺の全盛期の7割とは言え勝ってしまうとは素晴らしいぞ。がはははは!」
めっちゃ元気だった。
なのに
「そこまで!勝者アルト!!」
えっ勝ったの?
倒してないんだけど。
と言うか、父さん達S級だったのかよ。
道理で強いと思った。
この世界で冒険者の階級は、SS級が1番上で、そこからS級→A級→B級→C級→D級→E級と別れている。
ちなみにSS級は世界に10人しかいない。
強すぎだろ。
俺の全力のパンチに当たっといて元気とか。
まだまだ俺は弱いな。
もっと頑張るぞ!!
取り敢えず急に始まった、国王バランとの模擬戦は俺の勝ちで終わった。
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