第20話 俺の婚約者も天才でした①

 俺とバラン国王様との模擬戦が終わると、来客用の屋敷にみんな移動した。


 正直言って王様強すぎ。


 あれだけ強くて全盛期の7割とか昔はどんだけ強かったんだ?


 て言うかそのパーティーに入っていた両親もS級だったってこと?


「母様、母様達もS級冒険者だったのですか?」


「そう言えばアルトには言っていなかったわね。そうよ、私たちはセルシア、あ、王妃様のことね?とバランとママとパパでパーティー組んでたの」


 えっ……ものすごく衝撃的な告白なんですけど。


でも確かにおかしいところはあったよな。 


 特にあの化け物みたいな基準の高さとかさ……。


 だって3歳で【身体強化】の発動速度を0.1秒以下にしろとか言ってたもん。


 普通なら絶対無理だよ。


 俺は文字通り死ぬ気で頑張ってなんとか合格したけどさ。


 あの時はきつかったなぁ……気持ち悪くて寝れない日が何日も続いたし。


 「まぁアルト、昔のママ達の話はまた今度聞かせてあげるから、今日はサーシャちゃんと2遊んできなさい!」


「えっでもそれはサーシャ王z「はい!一緒に楽しく遊んできます!」サーシャ王女?僕と2人でもいいんですか?」


「アルト様、私たちは許嫁なのですからいいのですよ。あと普段通りの言葉遣いでいいので!あと名前も呼び捨てで大丈夫です」


 ええいきなり呼び捨てとか身分というよりは俺が恥ずかしいんだけど。


 でもここで断ったらなんか落ち込みそうだよな……。


 サーシャの目がめっちゃキラキラしてるし。


「それじゃそうさせてもらうな、サーシャ」


 俺が口調を変えると嬉しそうに、更に目がキラキラしている。


 何この子?めっちゃ可愛いんだけど。


 しかし俺は幼女趣味はない……はずだからドキドキはしていないぞ!


 あれ?でも今俺も8歳だから気にしなくていいのか。


 俺が年齢のことを気にしているとサーシャが振り返って。


「はい!よろしくね、アルト!」

 

 満面の笑みを浮かべなら言うサーシャは、今まで見たことないほど可愛かった。






♦︎♦︎♦︎





 ついさっきみんな部屋から出て行った。


 それからはまだどちらも一言も話していない。


 しかし流石にずっとこのままだと気まずいので。


「サーシャは、何がしたい?」


「え?私?……ならどうしてアルトがあんなに強いのか教えてほしい!私もお父さんみたいに強くなりたいの!」


 へぇ、サーシャは強くなりたいのか……。


 少し意外だな。


 戦闘なんてしたくないって言いそうな感じだけどな。


 まぁ、親がS級冒険者だったらそうなりもするか。


 しかし教えるなら……。


「じゃあ、これから俺の魔法を特別に見せてあげよう」


「ほんと!?前はスキル越しだったからあまりよくわからなかったの!ありがとう!」


 そんなに目を輝かせなくても…………やる気が出てくるじゃないか。


 おい今チョロいなこいつって思った奴いるだろ。


 お前らも一度あの目を向けられてみな?


 きっとやる気出るから。


 めちゃくちゃ可愛いんだよ本当に。


 それじゃあやってやりますか!


「よし、まずは【身体強化】からだ。100%だとこんな感じだ」


 そう言って俺は、近くにある100kgくらいありそうな石を両手で持ち上げる。


「凄ーい!力持ちだね!」


「こんなのまだまだだぞ。これは500%」


 そしてその石を上に投げ上げてみせる。


 チラッとサーシャを見ると嬉しそうにはしゃいでいた。


 よし、手応えありだ。


「次は、オリジナル魔法の【精密感知】だ」


 俺は【身体強化】をやめて、【精密感知】を発動させる。


「サーシャ、俺の後ろで何かポーズをしてくれ。見ないで当ててみせるから」


「うん!」


 俺はサーシャに背を向けて目を瞑る。


 そして少しするとサーシャが大きく手を振り出した。


「今手を大きく振っているだろう?」


「えっ!?うん、あってるよ!なんで?」


「それはな……説明するよりも見てもらった方が早いな。サーシャは【魔力視】は使える?」


「あ、うん。使えるよ」


「なら俺を【魔力視】で見てみてくれ」


「うん。……うわぁ……アルトの周りに色がないよ。どうなってるの?」


「色がないところは俺の魔力が掌握している場所だ。これが【精密感知】の正体だよ」


「うーんどう言うこと?」


「この周り全てが、俺の目だと思ってくれればいい。だからその範囲は全部見えるってこと」


 まぁただ魔力に当たった感じから予測しているだけだが。


「なるほどね……私も出来る様になるかな?」


「ああ、練習したら絶対できるようになるよ」


「ほんとに!?やったぁ!」


 嬉しそうにジャンプしているサーシャを見るとなんか落ち着くなぁ……。


 俺の周りの人たちは、こんなに純粋じゃないからな。


 シルも最近は悪知恵を働かせ始めたし。


 でもそこが可愛いんだけど。

 

 おっといけない。


 無駄な思考に入ってた。


「俺の見てどうだった?面白かった?」


「うん!すごく面白かったよ!」


 うけたみたいでよかった……。


 俺は今まで女の子にこんなことしたことないから、こんな事で大丈夫か焦ったぞ……。


「よし、じゃあ俺の魔法はこのくらいにしよう。ところでサーシャは属性は何を持っているんだい?」


「えっとね……氷と水と雷!あとね空間魔法って言うのも使える」


 へぇ空間魔法ね、この世界じゃ初めて聞いたな…………空間魔法?


「なにいいいいい!?」


「ひゃっ!どどうしたの?私何か怒らせるようなことした?」


 しまった。あまりにもチートな属性持っていたから思わず声を上げてしまった。


「い、いや怒ってないよ。ごめんね急に大声出して。ちょっとサーシャの属性に驚いただけだよ」


「そうなの?よかったぁ。私嫌われたのかと思ったよ……」


「ごめんね?ただサーシャの属性なら絶対強くなるよ!今どれくらい使えるの?」


「ほんと!?ありがとう!今私が使えるのは、空間魔法以外の初級魔法かな?」


 …………えっ?凄くね?


 8歳で特殊属性の初級魔法使えるなんてすごすぎなんですけど。


 特殊属性は普通の属性よりも習得しにくい属性なのだ。


 それを8歳で空間魔法以外習得とか……アナ並みの化け物だな……。


 まぁそれは本人には言わないが。


 言ったら殺されてしまいそうだし。


 まぁそのことは一旦置いておいて。


「えっとね、じゃあまず魔力操作を見せてほしいな」


「うん!わかった!見てて!」


 サーシャはそう言うと魔力操作を始める。


 【魔力視】で見てみるが、腕に集めるのはだいぶ上手いな。


 これなら空間魔法も少しは覚えることができるだろう。


 ただ。


「サーシャ、まだ君が空間魔法を使うには少し操作力が足りない。だから今から俺が操作の方法を教えるからやってみて?」


「うん!ちゃんとやってみる!」


 サーシャは空間魔法が使えるようになると言われてテンションが上がっている。


「それじゃあまずは、体にある魔力を体全体に循環させてみよう」


「わかった!……えっと………………あれっ?できない……」


 どうやらサーシャにはまだ少し早かったようだ。


「なら俺が今から今からサーシャに魔力を流して間接的に操作するからその感覚を覚えてね」


 俺はサーシャの背中に手を置き、魔力を流し始める。


「ひゃぁ!す、凄い!私の魔力が体の中を動いてる!……これなら出来そう!」


 そう言ってサーシャは魔力を本当に循環させ始めた。


 おお、1発でできるようになるか……。


 俺が結構時間がかかったことなのに……。


 この感じだとサーシャは、父さんと一緒で感覚派の天才だな。


 いいよなぁ感覚で出来るの。


 俺なんて何回も練習してやっとコツが掴めるくらいなのに……。


「どうだ?もう上手くできるようになった?」


「うん!もう出来るようになったよ!」


「よし!なら、空間魔法はまた今度にして他の属性の魔法を使ってみようか!」


「うん!」


 喜んでいるな、サーシャよ。


 さて、これからは俺の前世で培ったラノベ知識が火を噴くぜ!



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読者の皆様へ

どもども、作者のあおぞらです。

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ではではまた次話で。

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