第21話 俺の婚約者も天才でした②(改)
空間魔法は正直言って俺があまり教えることができないため、今回は氷や雷、水の魔法を教えることにした。
でも俺って前世のラノベの知識の魔法しか知らないからこの世界の魔法の階級を知らないんだよな……。
みんな知らない魔法とか教えたらヤバそうだし。
「サーシャは氷とか雷の中級魔法がどんなのか知ってる?」
「もちろん!氷魔法が【アイススピア】と【アイスボール】で、雷魔法が【ライトニング】【サンダースピア】だよ!」
ふむ……全部聞いたことある魔法だな。
これならやり方も教えられるだろう。
「でも、アルトって無属性魔法しか使えないんだよね?なのに何で他の属性の魔法を教えれるの?」
ギクッ!この子めちゃくちゃ痛いところをついてくるじゃないか。
「えええ、えっとね、これは……そ、そう!父さんも雷使えるから教えてもらったのと、知り合いの冒険者に教えておらったんだよ!」
やばいって。
動揺しすぎて思いっ切り噛んだんだけど。
大丈夫だよな?
ごまかせるよな?
「でもそれなのにどんな魔法か知らなかったんでしょ?」
ええ……もしかして俺、墓穴を掘っちゃった系ですか?
サーシャって絶対に頭いいだろ。
「い、いやどれが中級魔法かがわからなかっただけだよ。俺に教えてくれた人はみんな強かったし」
「ふーん。でもよく覚えてたね?」
「まぁ俺は魔法が大好きだからね。そ、それじゃあ!魔法を教えていこうと思います!」
「はい!よろしくおねがいします、アルト先生!」
はぁ危なかった……なんとかごまかせた……。
サーシャが子供でよかったよ……これが高校生くらいの年齢になったらごまかせなかっただろうな……。
転生したことだけはバレないようにすると決めたから、たとえそれが婚約者でもバレるわけにはいかない。
「まず、【アイスボール】からやってみよう。まず初級魔法の【アイス】を使ってみて?」
俺がそう言うとサーシャは【アイス】を発動した。
「よし綺麗にできるな。ならその氷を魔力でボール状にしてあの標的に当てる想像をして発動してみて」
そう言って俺がいつも使っている射撃用の的を狙ってもらう。
いまサーシャは目を閉じている。
きっと今想像しているのだろう。
その証拠に手に持っていた氷が徐々に丸く大きくなっている。
そして、目をカッ!と見開くと。
「【アイスボール】ッッ!!」
サーシャの手元にあった氷が、的に向かって高速で進んでいく。
その直後『ドン!』と言う、俺の銃ほどではないが鼓膜に響く音がする!
サーシャの【アイスボール】が的に当たった。
「アルトっ!できたよ!中級魔法使えたよ!」
サーシャはジャンプしながら喜んでいる。
一方で俺はと言うと。
ウソでしょ……何で中級魔法なのに1発で成功するんだよ……。
あれか、やはり才能なのか。
俺の才能は結構ゴミクズだってことを示しているのかな?
ものすごく落ち込んでいた。
だってさ、俺が魔法を使うのに死ぬ気で頑張って1ヶ月もかかったのに、サーシャは5分だぞ。
やっぱり俺も才能がほしい…………ッ!
俺が才能を妬んでいると、その間にも何発も【アイスボール】を撃っていたサーシャが話しかけてきた。
「アルト!アルトのおかげで使えるようになったよ!ありがとう!!」
そして満面の笑みでお礼を言ってきた。
その顔は俺が見惚れた笑顔よりも輝いて見える。
やばい……俺の才能への妬みがこの笑顔で一気に浄化されたんだが。
それくらい可愛かった。
「ああ、俺に出来ることがあって良かったよ。それじゃあ次の魔法に移ろうか」
「まだ教えてくれるの!?」
「今日中に、氷と雷の中級魔法を覚えさせる予定だ」
「ほんと!?やったーー!ありがとう!」
どうやら1つだけだと思っていたらしい。
「次は【アイススピア】だ。これは【アイスボール】の形を変えて速度を早くするだけだから簡単だろう」
「うん!簡単だった!」
……ん?
俺がサーシャの方を見ると既に、【アイススピア】を使っていた。
…………もう驚かないぞ。
何とか冷静さを保った俺は次の魔法を教えることにした。
「それじゃあ次の【ライトニング】は、空から落ちる落雷をイメージするといい」
「わかった!」
サーシャは再び目を閉じて魔力を操作していく。
するとサーシャの前方に小さな雲ができ始め雷がではじめる。
「それじゃあ行きます!【ライトニング】ッッ!!」
その瞬間、前世で聞いたことのある落雷の音の3倍位の音が響き渡り、雷が落ちた。
雷が落ちたところを見てみると半径5mくらいのクレーターができている。
あー、これはまた派手にやったな……。
俺はまた両親に怒られることを想像してテンションが下がるが、サーシャはめちゃくちゃ上がっていた。
そしていつの間にか【サンダーボール】も使っていることに気付く。
サーシャが魔法を連発したため、庭はクレーターだらけの場所となっている。
俺は親に言い訳することを諦めて穏やかにサーシャを見ていた。
結局魔力がなくなるまでうち続けていたサーシャ。
それを帰ってきたバラン国王が止めてくれたおかげ、で魔力切れになることはなかった。
だが俺はサーシャ達が帰ったあとで、案の定めちゃくちゃ怒られることに。
今回は俺のせいじゃないのに……。
俺は、この世界にも理不尽なことがあるんだなと時間した1日だった。
だがサーシャが婚約者なことについては全く不満はない。
だってあんなに俺に優しかったからな。
どこまでもちょろいアルトだった。
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