第22話 盗賊団の正体がわかりました(改)

 サーシャたちが我が家に来てから1週間が経ち、母さんから質問攻めされることはなくなった。


 そして今の俺の強さがS級冒険者にはまだまだ届かないことがわかったので、さらに鍛錬の時間を増やしている。


 さらにこの1週間で、俺とバラン国王の模擬戦がかっこよかったらしく、シルが魔法の練習をし始めた。


 シルの属性は火と風なので、今はアナが俺から離れて教えている。


 そして今俺はと言うと、魔力を使わずに体を鍛えていた。


 俺が体を鍛えている理由は、バラン国王の体がとても鍛えられていて、魔力を使わなくても重そうな大剣を片手で持っていたからだ。


 また元の体の身体能力が高ければ高いほど【身体強化】の効果が上がるらしい。


 俺と戦った時のバラン国王は【身体強化】を200%しか使っていなかったと聞いた。


 俺は1000%で戦ったのにさ……。


 と言うことで今筋肉をつけている。


 まぁ元々が軟弱だからすぐにバテてしまうけど。


 だが魔力切れの時ほど倦怠感を感じていないから、長い間耐えることが出来た。


 そう言えば前世の時は、1500mの内、200m走ったらバテバテでそのあとはずっと歩いていたな……。


 前世の情けない自分を思い出して少し萎えていると、アナが息を切らしながら走ってきた。


「どうしたんだアナ?そんなに急いで俺のところに来るなんて」


「アルト様、1週間前に私たちが殲滅した盗賊団があったじゃないですか」


「あったな。あの時はアナの魔法の威力には驚かされた」


「あ、ありがとうございます……ではなくて!その盗賊団が何かおかしいと思いませんでしたか?」


 ん?思ったと言うかおかしいところしかなかったけど?


 まずは、全くの無名の盗賊団なのにあんなに団員が多かったことだ。


 有名な指名手配中の盗賊団なら分かるが、全く聞いたことない盗賊団のくせに無駄に人が多かったから、とても気になった。


 次に、盗賊の戦い方ではなかったことだ。


 盗賊なら何をやってでも奪おうとしてくるはずだが、戦うことしかしなかった。


 最後に、標的だとボスが言ったことだ。


 それは誰かしらに命令を受けていたと考えられる。


 また殺しの依頼をするなら盗賊よりも殺し屋の方がいいはずだ。


 そして国王が乗った馬車を襲う馬鹿な盗賊団は普通いないだろ。


 それを考えると戦い方からしてどこかの騎士だと分かる。


「それでどこの騎士だったの?」


「えっ?まだ騎士とは言ってないはずですが……。もしかしてある程度わかっていたのですか?」


「まぁある程度はね……」


 こちとらもう精神年齢は25歳なんだよ。


 それにラノベの知識で盗賊とかの闘い方も覚えたから、あれは違うなって思っただけなんだよなこれは。


 俺の予想では他国の騎士だと思うんだが。


「そうですか……では一応言っておきます。今回の盗賊団の正体は、トルー領の騎士団でした」


 えっ……まさかの隣の領ですか……。


 隣の領って言ったら、ホルスさんは共犯じゃないよな?


 もし共犯だったら俺はもう友達作れる気がしないんだが。


 多分その時は喜んでボッチを選ぶな。


 今誰かメンタル弱いと思ったろ。


 陰キャボッチの交友関係へのメンタルを舐めるなよ。


 もはや紙のようなメンタルなんだからな!


 ボッチのメンタルは繊細なんだよ!


 これはホルスさんが共犯じゃないことを願おう。


 しかし、俺の大事な婚約者を襲ったのが同じ国の貴族か……。


 よし、決めたぞ。


「アナ!1週間後にトルー領主のところに襲撃に行くぞ!」


「ええぇ!?正気ですか、アルト様!」


「俺は正気だ(*正気じゃありません。怒りでテンションが上がっています)!カチコミだぁ!!(戯言乙)」


「……わかりました、私も行きましょう」


 あれっ?流石に反対されると思ったんだが。


 まぁいいか。


 こうしてトルー領主へのカチコミが決まった。


 俺の大事な人に手を出したら俺は問答無用で排除してやる。


 その夜から俺は準備を始めた。





♦︎♦︎♦︎





 次の日の昼、俺は父さんたちに会いに来ていた。


 来週に襲撃に行くことを伝えるためだ。


 俺は、父さんの部屋の扉を3回ノックする。


「どうしたんだ?アルトか?」


「はい、今から父様と母様にお話があります」


 俺の真剣な声を聞いたからか少し間があって返事があった。


「少し待ってくれ。すぐに終わらせる」


 そう言われてから10分ほど待つと入室の許可が出たので部屋に入る。


「それで今日はどういった用事だ?またお金か?」


「お金はいりません。もうたくさん持っているので……ってそうではなくて、来週にトルー領主にカチコミに行ってきます」


「ああカチコミに行くのか、いいぞ行って…………も、ってよくないわ!なんで行くんだ!」


「俺の大事な婚約者を襲ったのが、トルー領の騎士団なんですよ!めっちゃ弱かったけど!なのでやり返してきます!大丈夫です、住民には何もしません。それに多分他国に我が国の情報を売っています!」


「そう言う問題ではないわ!アルトが危ないだろうが!それは許可できない!それしかないのなら出て行け!」


 そう言って追い出された。


 ……父さんにあんなに怒られたのは初めてだな……。


 まぁ子供が危ないところに自ら行こうとしているからしょうがないか……。


 だがしかぁぁし!俺は諦めん!


 絶対にトルー領主のところに行ってやる!


 俺は父さんたちの許可なしに行くことにした。







 ♦︎♦︎♦︎






「それでは私とアルト様の2人で行くのですか?」


 俺が父さんの説得に失敗して自分の部屋に戻ると、アナが聞いてきた。


「えっ?アナも付いてきていいの?クビにされるかもしれないのに……」


「私はアルト様の専属メイドなので、どこでも一緒なのです」


 ……めっちゃ嬉しいんですけど。


 なんか危ないところに連れていくのに気が引けてきた。


 だがアナは行くって言ってるし、俺はアナが危険にならないように新しい魔法でも作るか。


 俺はどんな魔法を作るか考え始めた。


 ここはやっぱり前世のラノベ知識で新しいの作ろう。


 ふっふっふっ……これをみたらアナは驚くぞ。


 俺はアナの驚く顔を思い浮かべ、笑い声をあげながら部屋に戻る。


 後日、俺の部屋の近くで不気味な笑い声が聞こえると、使用人達の噂になっていた。


 誰もいないと思ったのになんで噂になってるんだよ……。


 俺に監視がついているんじゃないかと心配になる俺だった。




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