第13話 魔獣を討伐しに行こう①(改)

 《魔銃エクスプロード》を作ってから1年が経った。


 俺もこの世界に転生して4年目になったが、確実にこちらの世界の方が楽しい。


 こっちの世界では魔法もあるし、何より銃を自分の好みに作って撃てるのがいい。


 あれから《魔銃エクスプロード》の貫通型として速度に特化した《魔銃ペネトレーション》も作った。


 ネーミングセンスはこの一年で全く上達していない。


 そして素材も強化し、《エクスプロード》には純魔鉄を、《ペネトレーション》にはミスリルを使っている。


 純魔鉄とは純度が95%を超えている魔鉄の最上級品のことだ。


 硬度はミスリルに劣らない。


 更にその2つには【加速】の他に、【硬化】を付与しているためミスリルよりも固くなった。


 強化しててやりすぎた感がめっちゃしている。


 だって本気で撃ったら明らかにオーバーキルなんだもん。


 そして弾も今や魔法鞄と言う、中が広くなっていてたくさんの物が入る鞄に《エクスプロード》用の弾が2000発、《ペネトレーション》用の弾が2000発入っている。


 その中でも1000発が鉄、500発が鋼、350発が魔鉄、残りの150発がミスリルとだいぶお金をかけてしまった。


 また、装填するときに使うスピードローダーをどちらも15個ずつ計90発分ずつ制作。


 2つの銃を収めるためのホルスターが必要だったためそれも作ることした。


 なぜなら、銃同様にこの世界に存在しないからである。


 ホルスターには、スピードローダーも収められるようにした。


 そして余ったミスリルを射撃練習用の的に使い【硬化】を付与して使っている。


 的を作ったおかげでものが壊れることが減ってきた。


 単純に俺の射撃の腕が上がったからかもしれないけど。


 そうだったらいいな。


 この一年間は射撃に力を入れてきたため、殆ど自分の当てたいところに当たるようになった。


 今はこれから射撃の練習をするため庭に向かっている。


 最近の練習は、俺特製の動く的に両方の合計弾数12発の内、何発をどれ位早く正確に撃てるかを計測している。


 時間を測るのは、反動からどれくらいすぐに立ち直れるかを確認するためだ。


 いつも通り庭に動く的を2つ用意する。


 そしてどちらにも魔力を流し込んで動かす。


 俺の作った的はブレイクダンスを3倍速で踊っているため、動きを捉えるのがめっちゃ難しい。


 俺も始めの2ヶ月くらいは全く当たらなくてめっちゃ凹んでいたが、今ではまあまあ当たるようにはなった。


 俺は射撃をするラインに行き銃を構える。


 そしてタイマーが仕込んである的に聞こえるように声を上げた。


「計測開始!」


 何発もの鼓膜に響く発砲音が出る。


 計測が始まった瞬間【身体強化】150%を発動し両手の《エクスプロード》と《ペネトレーション》を素早くリロードして撃つ。


 2つの弾丸は的の脇腹部分に当たった。


 そして再びリロードし今度は足めがけて放つ。


 すると今度は片方は足に当たり的が倒れる。


 しかしもう片方は足に当たらず地面に当たってしまった。


 しかしそんなことは気にせずリロードをし、弾がなくなるまで腕、胴体、肩、頭などを撃ち抜く。


 そして終わるとタイムは16秒、当たった数が11発だった。


 くっそっ……1発外してしまったなぁ。


 それに今日は少し【身体強化】の倍率を落としたからタイムも遅くなってしまった。


 ちなみに俺の最高記録は10秒で全発命中だ。


 まぁあの時は全身の【身体強化】を300%まで上げて、なおかつ目は400%まで強化してやったから当たり前と言えば当たり前。


 目を強化すると全てが遅く見えるからな。


 それにやっと反動にも慣れたため、150%の【身体強化】で対応できている。


 更に俺の魔力量は一年前の2.5倍位になった。


 その御蔭で全ての魔法の出力が上がり【身体強化】も頑張れば1000%まで引き上げることに成功。


 でも身体が小さく、身長が106cmしかまだないから筋肉も少ないし、今は300%までしかできない。


 これ以上すると筋肉痛に襲われる。


 更に、【魔力探知】も半径10km圏内はほぼ完璧に把握できるまでに成長したのだ。


 これでも同じ年齢位の子のなかでは圧倒的にすごいと思うのだが、如何せん家の家族がすごすぎてイマイチすごいのかがわからない。


 だって父さんの【魔力探知】は50km圏内だし、母さんの【身体強化】は驚異の2800%と自分がいかに未熟かが分かってしまうからである。


 いや正直に言って、あの2人は化け物だ。


 俺のことを天才とか言ってもちあげるが、俺からしたらあんたらのほうが天才だと思う。


 そしてアナだが、この子は天才なんてどころじゃない。


 もうすでに6つの属性の中級魔法を習得している。


 本来中級魔法は才能のある者が16、7歳位で習得する魔法であるためアナのように9歳で中級魔法を、それも6属性も習得しているのは明らかに異常である。


 未だにアナの魔力量に勝てないし。

 

 なんか我が家の人間は天才が多いな。


 俺を除いて。


 だってこれ全部俺が鍛錬したからだし。

 

 まあ別にいいし!


 俺には《エクスプロード》と《ペネトレーション》という相棒があるから!


 ……やっぱり天才に生まれたかった。


 だって地獄の魔力増強法をしなくても良くなっていたかもしれないから……。


 




♦♦♦





 今俺は父さんたちの仕事部屋に来ている。


 なぜここを訪れたかというとこの領地のすぐ近くで最近魔物の目撃情報が相次いで確認されていると聞き、この銃の試し打ちに最適だと思っているので俺とアナの2人で行く許可を貰うためだ。


 予めアナには。


「アナ、一緒に魔物退治に行かないか?」


 とちゃんと話せるくらい良くなった滑舌で聞くと。


「えっ!? アルト様とふたりきりですか?」


 いきなり頬を赤くしてこっちに顔を近づけてくる。


 近い近い!純情な男子に顔を近づけたらいけません。


 この子は、そのうち魔性の女になりそうだな。


 そんなことを考えているとアナが決めたのか話かけてきた。


「もちろん行きます。私はアルト様の専属メイドですので」


 と直ぐにオッケーを出してくれた。


「失礼します。アルトです。父様今お時間大丈夫でしょうか?」


「ああ、アルトか。いいぞ、入っても」


 父さんに許可をもらったので、アナを連れて入室する。


「父様、今日はお願いがあります。それは……」


「待てアルト。まだ言わないでくれ。アルトのお願いが俺にはわかるぞ」


 えっマジで?


 俺ってそんなにわかりやすいかな?


 この1年でポーカーフェイスもだいぶ練習したんだけどなぁ。


 まさかの意味なしということか?


 ええぇ、なら毎日の1時間を返せよ。


 いろんな特訓したのに。


「えっと……お小遣いの増額だ!そうだろう?どのくらい欲しい?」


「違いますよ!父さん!お金はまだまだ沢山ありますから!」


 なんだよ、あれだけ俺わかりますよ感出してて全く違うとは。


 危うくポーカーフェイスの特訓を止めるとこだったぞ。


 紛らわしい。


「えっ? じゃあなんなんだ?」


「最近我が領の近くで魔物がいるとの目撃情報があると聞きました」


「ああ、ここ1ヶ月で40件くらいの目撃情報があるが……まさかお前討伐したいとかいうんじゃないだろうな」


「そのまさかです。この銃を使って実践をしてみたかったので」


「はぁ今お前に何を言っても行くと思うから、1つだけ言っておく。今回は最下級の魔物だが、最下級だからって甘くみるなよ。甘く見ていると殺されるぞ」


 ほぉ、父さんどうしたんだ?


 めっちゃちゃんとしたこと言うじゃん。


 ただ俺もその通りだと思うので。


「もちろんです! 常に気をつけながら討伐しようとおもいます!」


「よし、ならもう言うことはない。頑張ってこい! 自慢の息子よ!」


「はい!」


「アナスタシアもアルトのことをよろしく頼むぞ」


「安心してください、ジーク様。私が命に変えてもアルト様を守って見せます!」


「ねぇアナ? 別に命に変えても守らなくていいからね?僕はアナが死ぬなんて嫌だよ?」


 俺はアナが死んだら多分鬱になるぞ。


 美少女の死は人類の損失だ。


「はぅ(死んでほしくないなんて……心配してくれるなんてアルト様は使用人に対して優しすぎです)……わ、わかりました。必ず死にません」


 相変わらず頬を染めてくねくねとよく分からない動きをしているが、父さんの前で誓わせたから大丈夫だろう。


 それじゃあ魔物狩りへレッツゴー!



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