第9話 無属性魔法を習得しよう③

 同じミスをして自分がバカだと思い知らされた翌日。


 今回俺は【魔力探知】を習得ようと三度みたび庭に来ていた。


 俺は庭を見てふとあることに気づく。


 戻っている……戻っているぞ……昨日と一昨日に俺が魔法で抉った地面や根本からへし折った木が……。


 他にも壊した庭の壁に荒らしてしまった花壇、衝撃で水のなくなった人工の小さい池など俺が魔法でやらかしてしまったものが全て戻っていた。


 一体誰がこんなことしたんだ?


 自分でやってしまったことだけど、相当ひどかったぞ。


 まさか家の庭師に凄腕の時空魔法の使い手がいるのか?


 いるなら是非とも時空魔法の原理を教えてもらいたい。


 もしかしたら無属性魔法で再現できるかもしれないからな。


 無属性は自分で魔法を作る人がいるらしいし。


 いつかは俺のオリジナルの魔法を作ってみたい。


 まぁそんなのは夢のまた夢だけど……。


 閑話休題。


 【魔力探知】を習得するにあたっていくら前世のラノベ知識があるとは言え、実際にやってみると違うところもあるので父さんに教えてもらうことにした。


 しかし父さんには仕事がまだあり、何時ぞやの母さんみたく押し付けることができないらしく、俺は父さんが来るまでは【身体強化】と【魔力弾】の練習をしておくことにする。


 父さんってほんとに母さんに弱いよなぁ。


 妻に完璧に尻に敷かれてしまった夫は立場がないな。


 ものすごく情けなく見える。


 俺はあんな大人にはなりたくないな。


 まぁそんなことは取り敢えず置いておいて、始めに【身体強化】からしていくとするか。


「えっと、【身体強化】発動!」


 倍率は2倍にしてと……よし、これで大丈夫かな。


 ならこれから庭を10周するか。


 この体はまだまだ3歳の身体なのだから2倍にしてもあんまり変わらないな。


 ……3倍にしてから走るか。


 俺は【身体強化】の倍率を3倍に引き上げる。


 よし、結構身体が軽くなったな。

 

 しっかりと強化されているか確認した後、10周する。


 出来る限り魔力の消費は抑えたいから完全な安定化を目標にするか。


 そして20分くらいかけて何とか全部走りきる。

 

 ゼェ……ハァ……ゼェ……ハァ……よし!結構安定していたな……ゼェ……ゼェ……これで完璧にゆらぎをなくせば母さんのお墨付きがもらえるくらいになるかな……。


 ただ精神的にめっちゃ疲れる。


 なぜなら、走りながら魔力を緻密に操作しないといけないからだ。


 疲れることを2つ同時にするなんて難しすぎでしょ。


 そして全部走ったら今度は威力の低い【魔力弾】を自分の思った通りに撃つ。


 始めは純粋に真っ直ぐに速く。


 次は速度に変化をつけて撃つ。


 その次は弾道に変化をつけて、最後に自由自在に撃つ。


 しかし直ぐに魔力が半分くらいになってきたので止める。


 ふぅ……しかし魔法を使うと結構つかれるなぁ。


 これを機に体力つけてみるか。


 前世では体力テスト学年ワースト2位だったけど。


 そのせいで運動に対する軽いトラウマがあるんだよなぁ。


 でも体力も筋力もつけないとこの世界じゃ生きていけなさそうだし。


 せっかくこのハイスペックな身体に転生したんだから頑張ってしっかり鍛えてみるか!


 



♦♦♦





 

 やっと父さんが仕事が終わったのか庭に出てきた。


「とうさま! おしごとおわりましたか?」


「ああ、やっと終わったよ……。ルナは自分のはやらせるくせに俺のはやってくれないんだから……」


 俺は父さんが話している間に一言も話していない。


 なぜかって?


 それはね。


「あらジーク? アルトの前で何言っているの?」


「ル、ルナ!? どどど、どうしてここに?」


 そう、我らがガーディアン家の実質的な最高権力者である母さんが父さんの後ろに立っていたからだ。


 それも背後に虎のようなオーラを出しながら。


「私がここにいてはいけないの? それにアルトの前で何を言っていたの?」


「い、いやそういうわけではないぞ。後ただルナが俺に仕事押し付けてくるのに、俺の仕事は手伝ってくれないって言うのをアルトに言っただけだよ!」


「そう言うのはアルトの前で言わなくていいのよ!」


 また喧嘩が始まった。


 もうこの2人の光景にみんながなれてしまって注意する人が1人しかいない。


 その1人と言うのは。


「ちょっとルナアーラ様! ジーク様! 喧嘩よりもアルト様に【魔力探知】を教えましょう!」


「「はい……」


 俺の癒やしであるアナだ。


 毎回二人が喧嘩した時にの仲裁役をしてもらっている。


「ありがとう、あな!」


「いえ大丈夫ですよアルト様(今アルト様が私に感謝の言葉を言ってくれた……やったーー!)」


 本当にアナがいなかったら俺は色々と駄目になっていたかもしれないからな。


 ん?またアナが頬に手を添えてくねくねしてる。


 やっぱり俺が褒めたからか……!(*正解)


 ふっこれだからイケメンは辛いぜ。


 あ、俺まだイケメンって呼ばれる歳じゃないじゃん。


 てことはそんな俺に褒められて喜ぶアナは……ショタコン!?(*概ね正解)


 マジか……ショタコン美少女……あ、普通にいい。


 てかそんな事考えている時間じゃねぇ。


 【魔力探知】を習得しないと……。


「【まりょくたんち】をおしえてください! とうさま、かあさま!」


「おう、そうだったな。それじゃあまずはアルト! もう魔力放出は出来るよな?」


 魔力放出なんざもう生まれて間もない頃からやっているから余裕だ。


「はい! できます!」


「よし流石だ! そしたらその放出した魔力を掌握して空気中にバラまいていくんだ」


 えっと……魔力を掌握してから空気中にばら撒く……難しいしけどなんとか成功だ。


 今回は前の2つの魔法よりは簡単でよかった。


 いやーこう言う時の【魔力視】は有能だなぁ。


 自分の魔力と周りのマナが色分けされてて分かりやすい。


 ただ俺の魔力の色が気に入らない。


 無、だ。


 無色なんだよな俺の魔力。


 自然のマナの色は青白くてめっちゃキラキラしている。


 自然の魔力の方が色がかっこいいってどう言うことや。


 ちなみに母さんには赤い魔力が見える。


 そして父さんには緑と黄色の魔力を見ることができた。


 アナはなんか5色で、赤、青、緑、茶色、黒、白が輝いている。


 なんかめっちゃ派手だな……。


 この色の違いってなんなんだろうな。

 

「とうさま!【まりょくし】をつかったときのひとのまりょくのいろってなんなんですか」


「それはなアルト。その人の魔力属性を表す色だ。赤は火、青は水、緑は風、茶色は土、などとなっている。ちなみに俺は緑と黄色だから風と雷だな」


 えっ父さんの魔法属性めっちゃカッコいいんですけど。


 ずるい、父さんに顔以外で始めて羨ましいと思ったわ。


 でもそれ言ったらアナがやばい。


 アナは5色だったから5属性持ちですか?


 えっと、火と水と風と土と闇と光か。


 ……やっぱりアナは転生者の俺よりチートだな。


 なんかもう凄すぎて妬む気にもなれないわ。


 えっと掌握したらどうするんだ?


「とうさまできました!」


「ん? もうできたのか? おお、さすが天才なアルトだ! こんな短時間でそこまで進むとは!」


「アルトはやっぱりものすごい天才だったのね!」


 なんかめっちゃ褒められた。


 取り敢えず本人よりも喜ぶのやめようぜ母さん父さんよ……。


「それじゃあ【魔力探知】のラストに行くぞ。空気中にある掌握した魔力を縦横無尽に動かして自然のマナではないところに当たったら違和感があるだろう?上手く進まなくなったってな感じで。それが相手を探知したと言うことだ。もっと上手くなればどのくらいの魔力量かもわかってくるようになる」


 なるほどな……確かに違う人の魔力に当たると違和感があるな。


 これが【魔力探知】か……。


 頑張って相手の魔力量が分かるまでに早くなりたいな。


 この後もめっちゃ練習したのだが。


 毎回アナのところだけものすごい違和感が強かった。


 これ絶対属性が多いからだな。


 うーんさっき妬まないとか言ったけど。


 いいなぁぁぁぁ!


 俺も属性が欲しかったなぁぁ!


 今日は【魔力探知】を習得したことよりも、アナがチートでそっちの方が気になった。


 つくづくこの世界は俺に厳しいらしい。


 密かにテンションが下がった俺であった……。



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