第8話 無属性魔法を習得しよう②

 【身体強化】が初めての成功して壁に激突した日から1週間が経ち、やっと【身体強化】に慣れてきた。


 しかしこの1週間は大変だったなぁ。


 まず成功した日はアナに担がれながら家に帰ってきたらしい。


 俺は気を失っていため後から両親に聞いただけなので良く分からないが、アナが相当テンパっていたと聞いた時は『俺のためにそこまで心配してくれるのかぁ』と嬉しくなった。


 前世では可愛い女の子に舌打ちはされど心配なんてされなかったからな……。


 そして目が覚めると1番になぜ激突することになったのかの経緯を聞かれ素直に話すと、久々にめちゃくちゃ怒られた。


 壁の事で怒られたと思ったでしょう?


 違うんだなこれが。


 怒られたことのほぼ全てがアナを心配させたことについでだった。


 やっぱり俺の親はどこかずれているなと感じた瞬間だ。


 でも怒られた後はものすごく褒められた。


 なんでも普通は2週間では習得できるものではなかったらしい。


 なんでこう言うところだけは常識的なんだよ。


 どうせならもっと日常的な所の常識を知ってほしい。


 苦労するのは俺や使用人なんだからさ。


 そして俺が目を覚ましたことを知ったアナが、部屋に飛び込んできて俺に抱き着いてしきりによかったと泣きながら言っていたのを見て、マジで優しい子だなぁと感動した。


 アナには俺の専属メイドになってもらおう。


 なんなら今よりもうんと給料高くして。


 それに抱きつかれた時、女の子ってこんなに柔らかいんだなとびっくりしたのを覚えている。


 しかし目を覚ましたのはいいものの初めて肉体を強化したのと激突したことが相まって2日は寝たきりの生活を送ることになった。


 正直に言って暇、めっちゃ暇で仕方がない。


 この世界にはスマホもゲームもないためすることがなかったので、いつもは地獄の魔力切れに感謝をした。


 だって気絶したらその分時間を消費できるからな。


 その2日は兎に角魔力消費に費やすことに。


 そして3日目からはやっと体が動かせるようになったため、1番に【身体強化】に慣れることと自分の思い通りに倍率を変動させることを重点的に行った。


 正直言って結構難しかっんだよなぁ。


 一回成功させたからコツも覚えたしいけるかなと思ったら全然無理。


 発動させるだけでどう動いても吹っ飛んでいく。


 特に怖かったのは、軽くこけそうになった時に踏ん張ったら地面が陥没したことだ。


 結局地面が陥没したからこけたし。


 なんなら地下水まで届いてびしょびしょになってしまった。


 その時はやり過ぎだと両親から雷が落ちることに。


 そんな時でもアナは俺の味方になってくれた。


 もうこれからはアナのことアナスタシア様って呼んだ方がいいかな?


 まぁそれを言ったらものすごい反対されたけど。


 そんなこんなで練習してやっと倍率を調整出来るようになった。


 まだまだ荒いと母さんに言われてしまったが。


 そりゃそうでしょ、まだ3歳なんだから。


 毎回思うけど俺の年齢、アナ以外忘れてないよね?

 

 俺、3歳児として扱われてない気がするんだけど。


 それをアナに言ったら苦笑いされた。


 ……ちくしょう。





♦︎♦︎♦︎





 そして今日は魔銃の弾として使用する【魔力弾】を試すことにした。


 なぜこれにしたかと言うと、シンプルに簡単そうだったからだ。


 もう【身体強化】みたいな苦労は当分したくない。


 このまま続けたらまだ3歳なのに過労死してしまう。


 と言うことで【魔力弾】を使ってみようか。


 えっと魔力を掌に集めてそれを1つの弾にして魔力に魔力で圧力をかけて押し出す感じで撃つと……うん、分かりずらっ!


 この絵本分かりずらいな。


 スマホがあったら商品評価を1にするぞ。


 もう見ても意味がないから自己流でするか。


 まず手を銃の形にして、指先に魔力を集める。


 よし、このくらいならすぐに出来るな。


 鍛錬様々だ。


 そして指先に集めた魔力をレーザーのように撃つ!


 その瞬間にキラッと光ったと思ったら『ドゴン!』と言う大きな爆発音と共に大量の砂が舞う。


 なんとか着弾場所が見えるようになったので見てみると、直径2mくらいの円状に地面が抉れていた。


 ……おっとまたやらかしてしまったな……。


 前回は何も壊してなかったから今回の方がやばいかもしれん。


 前回は陥没させたっで言っても小さかったしな。


 この魔法の課題は威力の調整だな……。


 もっと魔力を減らしてみるか。


 次は指先に込める魔力量を先ほどの10の1程度に抑えて撃つと今度はめちゃくちゃ速度が遅かった。


 ええぇ、これじゃあ動くものだったら全く当たらないじゃん。


 これだから無属性魔法は嫌われるんだよ。


 大して凄くないのに無駄に難しいし。


 もう俺の口からは愚痴しか出てこなくなる。


 だって魔力量を多くしたら速くはなるけど威力が高すぎるし、少なくすると今度は遅くなるし。


 ちなみに俺が後に知ったことだが、本来の魔力弾は当てても骨にヒビが入る程度の威力しかないらしい。


 また速度もそれほど速くないためまず攻撃として使わずに牽制用に魔法使いが使うのが常識のようだ。


 だがこの時の俺はこのことを知らないため必死に攻撃魔法として使えないかを模索していた。


 それから3時間が経ち……。


「むりだ! なんなんだよ、このむぞくせいまほうって! どいつもこいつもむだにむずかしくしやがって! これをつくったやつはいつかぜったいぶんなぐってやる!」


 猫かぶるのも忘れて思いっきり文句を叫んでいた。


 この3時間で、速度が少し遅くなるが威力を半分にまで抑えることには成功している。


 しかしまだまだ前衛には当たらないし、銃の弾として使うにはあまりにも速度が足りない。


 なんでこんなに難しいんだよ……。


 これでも【身体強化】のお陰でさらに魔力操作に磨きがかかったのに、それでもこんなに失敗するなんて……。


 俺はまだ練習したかったがもう魔力もほとんど残っていないため今日はやめることにした。


 そしてその日の夕食に父さんに【魔力弾】について聞いてみる。


「とうさま!【まりょくだん】ってどうしたらうまくできるのですか?」


「ん? ああなんだそんなことか。アルト【魔力弾】も【身体強化】と同じで自分がしたいように思い浮かべて発動すればいい」


 ……


 …………


 ………………また忘れてたぁぁぁ!


 そうだよ!魔法は想像力だった!


 と言うことは俺がやってた練習って全く意味がなかったってことか?


 マジか……。


 めっちゃショックなんですけど……。


 もうこれから分からないところは絶対独学ではしないようにしよう。


 じゃないとマジで取り返しのつかないことをやらかしてしまいそうだ。


 結局この日の夜はショック何もせずにそのまま寝てしまった。


 そして次の日に父さんに言われた通りにやってみるとすぐに出来てしまった。


 俺って本当は大分バカなのかもしれない……。


 あまりの情けなさに膝から崩れ落ちてしまう。


 するとそれを見ていたアナが駆けつける。


 「アルト様!? 大丈夫ですか! また魔力切れですか!?」


 またアナに心配をかけてしまい、再び怒られてしまった。


 やっぱり俺はバカかもしれない……。


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