第7話 無属性魔法を習得しよう①
魔力属性検査に行った翌日、俺は家の庭に来ていた。
庭には俺の他に、アナと母さんがいる。
なんで母さんがいるのか気になって聞いてみると、
「それは勿論アルトが魔法使うのを見たいからでしょう。え、『仕事は』って? そんなの全部ジークに押し付けたに決まってるじゃない」
って言ってた。
父さん……母さんにはとことん弱いな……。
まぁ喧嘩してもどのみち父さんには勝ち目がないとは思うけど。
接近戦だったら前衛の母さんの方が圧倒的に強いし。
見た目は父さんの方が強そうなのに魔法使いだからな。
父さんに合掌しておく。
哀れな父よ、頑張って2人分の仕事をしてくれ。
俺は基本的に母さんの味方だから。
母さん美人だし。
まぁ哀れな父さんは置いておいて今日の目的は無属性魔法を使ってみることだ。
無属性魔法とは、誰でも使える魔法である。
主に魔力の塊を飛ばす【魔力弾】、身体を強化する【身体強化】、自分の魔力を空間に広げて魔力を探知する【魔力探知】、身体や物体を硬くさせる【硬化】などがあり、他にも色々とあるものの攻撃魔法は【魔力弾】しかないため不人気らしい。
まぁ俺は前世で無属性魔法がいかに強いかを見たからなんとか立ち直ることが出来たけど、この世界の人達はそんなこと知らないしな。
今回俺が使ってみようと思うのは、【身体強化】とできれは【魔力弾】。
【身体強化】は、俺のスキル【銃制作】で銃を作っても今の俺の体では、絶対に撃った時の反動に耐えられずに骨が折れてしまうため、身体を強化して折れないようにする防止策として使いたいから。
そして【魔力弾】は魔銃を作った時の弾にするためだ。
今日はちょうど【身体強化】を使いこなした母さんがいるので教えてもらうことにしよう。
「かあさま! ぼくに【しんたいきょうか】をおしえてください!」
「あらいいわよ」
よし、これで自力でしなくても良くなる。
自力でするのって面倒くさいんだよね、ラノベの知識が全てあっているわけではないし。
そもそも発動の描写って結構少ないからね。
「それじゃあ、アルト。アルトは身体に魔力を纏う事はできる?」
「うん! できる!」
俺は身体中に魔力を瞬時に纏う。
ふふふ、どうだ……俺が生まれてからずっと鍛錬したこの素早い
このぐらい早かったら母さんも驚くだろう。
さあ、どうだい母さん!
「ん~まあまあね」
リアクション薄~。
思ってたリアクションと違うんだけど……。
ええ、いつもだったらめちゃくちゃ褒めってくれるのに……。
母さんって教えるときは人変わるのかなぁ。
いつもの母さんよ、戻ってきてくれー。
「アルト、そんなんじゃあまだまだ遅いわよ。大体0.1秒以下で発動しないと。大丈夫、アルトは天才だから直ぐにできるようになるよ!」
んな無茶な。
今の俺の発動速度は大体0.4秒くらいだぞ。
あと0.3秒以下まで縮めろって一体何年かかるんだ?
それに俺別に天才でもなんでもないからね?
毎日文字通り瀕死で頑張ってるだけだから。
「まぁでもアルトの歳でそこまで綺麗に素早く出来る人はほぼいないと思うわよ。さすがアルトね! 素晴らしい才能よ!」
ああ、いつもの母さんが戻ってきた……!
さっきまで何も反応してなかったのに……お母様は下げて上げる人ですか……。
だがそんなもので喜ぶほど子供じゃな……
「かあさま、ありがとう! ぼくがんばったんだよ!」
「ええよくがんだったわね! えらいわ!」
……くないです。
正直に言ってめっちゃ嬉しい。
だって考えてみ?
母親とはいえ、超絶美人な人に褒められたら?
嬉しくなるでしょ普通。
男だったら当たり前なんだよ。
閑話休題。
「魔力を纏えたら、その魔力を身体の全身の筋肉に浸透させるのよ」
話しながら母さんが実際にやってくれる。
俺はそれを【魔力視】でしっかりと魔力の動きを見てやろうとするができない。
いや母さんあんなに楽そうにやってるのに【魔力視】で見たら物凄く繊細で緻密なことやっていたんだが。
筋肉の繊維一本一本に魔力を纏わせるとか俺にはまだまだできないし。
ていうか【身体強化】の習得レベル高すぎない?
ラノベではもっと楽に発動してたのに……相変わらずこの世界は厳しい。
でもこれを習得しないと次に進めないから……はぁ、やるしかないか。
この後も必死に練習したが結局この日は一回もできなかった。
こんなもの3歳児にできるかっ!
♦♦♦
【身体強化】の練習を始めて2週間がたった。
あれから毎日何時間も練習しているが未だに一回も成功していない。
しかし最近は結構惜しいところまでは行くようになった。
今日も庭で【身体強化】の練習をしている。
あとちょっとなんだけどなぁ……なんでできないんだ?
毎回全身の筋肉の繊維に魔力を纏わせることはできるようになったのだが、一歩でも歩こうとすると解除されてしまう。
なんだよこれ、難しすぎでしょ。
本当に3歳児がに出来ることじゃない。
失敗したら魔力めっちゃなくなるし、最終的には地獄の魔力切れが起こってしまう。
俺が頭を捻っていると、アナが声をかけてきた。
「アルト様、アルト様は発動している時どのように思いながら発動しようとしていますか?」
そんなの筋肉の繊維一本一本にちゃんと魔力が纏える……よ……うに……あぁぁ!
そうか、そういうことか!
ラノベの知識がありながらすっかり忘れていた。
魔法の基本は想像力だ!
そういえば今までの俺は纏うことだけを意識していて強化の事を全く考えていなかった。
思い出させてくれたアナに感謝だな。
原因がわかれば早速やってみよう。
まず魔力を筋肉の繊維に纏わせる。
そして強化されている状態を頭によーく思い浮かべてから一歩前に出すと……。
地面が少し陥没して『ドン』と音が鳴る。
うおっ!やった、出来てる!
軽く一歩歩いただけでめっちゃ早く進んだ。
これは本気で走ったらチーター並の速さで走れそうだな。
まぁ今はまだまだ子供だからできないけど。
でもできた、制御全くできなかったが。
しかし喜びも束の間。
俺の吹っ飛んだ方向には壁ががあり、今俺はそこにダイブ中。
……これはヤバい!本当に庭の壁にダイブしてしまうっ!
「うおぉぉぉ! 止まれぇぇぇぶびゃ!」
「ア、アルト様! 大丈夫ですか!?」
いったぁぁぁぁ!顔面がぁぁぁ!死ぬ、死んでしまう!
思いっ切り顔面から壁にダイブした俺氏。
やばいよ……馬と同じ速度ぐらいで激突しちゃったよ。
咄嗟に魔力を纏ってなかったら死んでたな俺……。
怖かったぁ、ぶつかる瞬間が一番怖かった。
それに本当に痛い……鼻折れたんじゃないのか?
俺の超絶イケメンフェイスがぁぁぁ!
俺が痛さより自分の顔を気にしていると涙目のアナが駆け寄ってきて、膝枕をしてくれる。
「だだだ、だだ、大丈夫ですか!? アルト様!!」
おっと、涙目の美少女に近寄られるだけで破壊力エグいのに、更に膝枕なんて……最高ですっ!!
これぞ至福の一時。
俺は膝枕の素晴らしい感触と魔力切れによる身体の疲労と激突したときの痛みで気絶した。
膝枕最高!!
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