第3話 魔力を操作してみよう②
俺が魔力操作の練習を始めて1ヶ月が経った。
始めは、直ぐに魔力切れになっていた全身の魔力循環が、今では10分程の間出来る様に。
しかし相変わらず魔力切れによる症状には一向に慣れる気配がない。
それどころか魔力が増えるにつれて魔力切れになる少し前から辛くなってきた。
多分魔力切れ起こしすぎたからか、体が拒否反応を起すようになってきたんじゃないかなと俺は考えている。
これまでに100回以上魔力切れを起こしたことが原因かなぁ……。
でも、ギリギリで止めるのはまだ俺にはできないし、そもそもそれだと魔力の増加量が減っちゃうしなぁ。
いや改めて考えるとえげつない回数だな。
自分のことなのに気持ち悪く感じる。
俺……がんばったな。
だがこれは全て友達と可愛い彼女を作るためだ。
今世もボッチとか俺のメンタルが粉々に砕けてしまう。
そうしたら立ち直れない。
閑話休題。
魔力量も1ヶ月前より増えたため、よりスムーズに鍛錬出来るようになり、半年前より更に強く魔力が感じれる。
そして今俺は、1ヶ月前に一旦断念してしまっていた、目に魔力を集めて
まず
そして魔力量とは、この
俺は、いつも通り目を閉じて自分の心臓辺りにある魔力の集まりを感じ、そしてそれを血管を通して全身に流す。
よし、全身に上手く流れた。
これを目に集めて……………よし!
まだ不恰好で半分くらいしか集めれなかったが、取り敢えず成功だ。
俺は目をゆっくり開けてみる。
「あーうー、うーうーあー! うあー!(おお、出来てる! すげー!)」
今目の前には少しぼやけてはいるが、部屋中にキラキラと光る
初めて使ってみたがすげーな。
マジで
しかもめっちゃ綺麗だなぁ。
こんなに綺麗な景色は前世では見たことない。
そもそも綺麗な景色の場所に行ったことないけど。
だって行く友達も彼女もいなかったからさ。
しかし小説に書いてあった事をしただけなのにこんなにもうまくいくとは……やっぱり小説って凄かったんだな。
絶対小説書いていた人の中に異世界帰還者か転生者いるだろ。
会ったら是非ともその人に『魔力切れはになった時はどうでしたか?』って聞いてみたい。
違う世界だともっと楽なのかもしれないし。
なんならもっと楽に魔力切れになれる方法を教えてほしい。
そんなことを考えながら興奮していると、扉の向こう側から大きな魔力の塊がこちらに向かってきた。
誰か来るな……って魔力多くね?
俺の10倍位あるんですけど……この感じだとアナスタシアか?
えぇぇ、なんか
だっておかしくね?
俺、毎日魔力増えてるんですけど……。
生まれた時より6倍位増えてる筈なんですけど……。
これでも毎日死ぬほどつらい思いしながら鍛錬してるのに……。
それで俺より見た感じ7年くらい早く生まれたからって10倍も多いって化け物かよ。
俺ってこれでもこの年では世界最高峰の魔力量だと思うんだけど。
はっ……これが天性の才能か……!
え、ちょ、ずぅぅぅるっっ!なんだよ卑怯すぎない?
アナスタシアいつも鍛錬とかしてないしこれまでに魔法を使ったところも見たことないのに、必死に鍛錬している俺がぼろ負けなんて……。
あまりの魔力量の差に凹んでいると、俺の予想した通りアナスタシアが来た。
しかし俺はその時落ち込んでいて【魔力視】を解除していなかったため……。
「アルトさ……ま……へっ?【魔力視】? ル、ルル、ルナアーラ様! ジーク様! アルト様が、魔力を使っておられます!」
アナスタシアは、母さんと父さんに俺が【魔力視】を使っていると報告するため、走って部屋から出ていってしまった。
……
…………
………………うおっ、やばい!
あまりに【魔力視】が凄かったのと魔力量の差に凹んでたら、魔力使ってるの見られた!
なんなら【魔力視】を使っているのも見られた気がする!
ヤバい……取り敢えず解除しといて何にも無かった風にしとけば何とかなるかな?
なんとかなってもらわないと困る。
我が父母は結構常識人だし、流石に生まれて半年とちょっとの赤ちゃんが使ったとは思わんだろ……思わないよね?
いやでもあの人たちは俺のこと天才と思ってたな。
そこまで考えて冷や汗が止まらなくなってしまった。
俺は一瞬で解除してなんとかしてシラを切ろうと決める。
すると直ぐに、廊下がうるさくなった。
バンッ!と俺の部屋の扉が開かれるのと同時に、アナスタシアの後ろから、母さんと父さんが息を切らしながら部屋に入って来た。
「アナ、どう言う事? アルトが【魔力視】を発動してるからって言われて来たけど、してないじゃない」
「で、ですが、ルナアーラ様。先程確かにアルト様は使っておられました!」
「ちょっと待って、今からアルトの魔力量見てみるから」
そう言って母さんは、【魔力視】を一瞬で発動する。
母さんの碧眼が淡い青眼に変わる。
流石に冒険者と言うだけあって魔法使いでも無いのに【魔力視】の発動早いな。
俺も練習していけば同じ位まで発動時間短縮できるのか?
それに【魔力視】使ったら目の色変わるんだな。
俺の目も変わるのか……って俺、自分の顔知らないじゃん。
もう転生して半年以上経ってるのに未だに自分の顔知らないことになんの違和感も無かったわ。
最近顔より魔力切れをいかに辛くならないようにするかしか考えていなかった……。
今度どうにかして鏡持って来るかな……いやそれか自分の魔法で作れるなら作ってみたいな。
「あっ、確かに減ってるわ……って」
「確かに減ってるな……って」
「「ええっ! 本当に発動させたの(か)!?」」
あっそう言えば今俺ピンチでした。
自分の顔見たさにすっかり忘れてたわ。
て言うかいつの間にか父さんも発動させてるし。
まぁ……なんとか誤魔化してみるか。
俺は取り敢えずどうやって誤魔化すか考え始めた。
……うん無理そう♪
♦︎♦︎♦︎
俺の【魔力視】の使用が母さんと父さんとアナスタシアにバレたと思われる日の夜、今日は流石にやばいと思ったので、何もせずに直ぐ寝ることに。
同じ日に2回バレるなんて本格的に誤魔化せなくなる。
今でも結構詰んでいるわけですが……。
いや大丈夫、きっとまだバレてはいない…………と思っておくことにしよう。
じゃないと今日寝れなくなってしまいそうだ。
俺はこれからどうやってバレずに鍛錬するかはまた明日考えることにして眠りについた。
一方、リビングでは、俺の寝ている間に母さんと父さんとアナスタシアが、今日のことについて話し合っていた。
「まさか、本当に【魔力視】をもう使用していたとは……」
「ええ、流石にびっくりしたわ。何せまだアルトは生後7、8ヶ月なんだもの」
「私もびっくりしました。しかし今まで、魔力操作すらしていなかったような気がするのですが……」
「多分、感覚的に使用したんでしょうね……」
「ふむ、ならアルトは天才だな。しかし流石に、このことを他の貴族に言うわけにはいかないな。縁談が大勢来るかもしれんし、下手したら誘拐されるかもしれないからな」
「ええ、そうね。私もそれがいいと思うわ。アナスタシアはどう思うかしら?」
「私はジーク様とルナアーラ様に従います」
「よし、分かった。ではそう言うことで」
「「はい」」
こうして俺のことはまだ誰にも言わないことに決まった。
まぁ赤ちゃんが魔力を使うなんて誰も信じないから妥当な判断だと思う。
俺の親とメイドに常識があってよかったよ……。
俺のことになると常識があるのか疑ってしまいそうな時があるから。
「でも、アルト凄いわねー! まさかこんな早くに使用出来るようになるなんて。さすが私たちの子供だわ! ねぇ、あなた」
「そうだな、俺たちの子供は将来大物になるぞ! とても楽しみだ! なぁ! アナスタシア!」
「ふえっ! は、はい、そうですね。とても楽しみです。出来ればこのままとっても可愛いく大きくなってくれたら嬉しいです!」
「いや、そこは、男らしくなってもらわないと困る!」
「いえあなた、アルトに男らしさなんていらないわ!優しければいいわ!」
「ルナアーラ様! ジーク様! 静かにしてください! こんなにうるさくしては、アルト様が起きられてしまいます!」
「「うっ、すいません……」」
そして、俺のいないところで、俺の教育方針も決まろうともしていたらしい。
このことだいぶ後にアナスタシアから聞いた。
て言うか俺の教育方針決めるんだったら、俺も混ぜろや。
まだ何も言えないけど。
「聞きましたか隊長! ガーディアンの御子息はもう【魔力視】が使えるそうです!」
「なるほど、これは主にご報告しなければいけないな」
「「はい!」」
裏では、もう俺のことが漏れていたことはまだ誰も知らない。
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読者の皆様へ
今日この作品の第1話のお金の価値や種類を変更しました。
急で本当にすいません……。
詳細は、大金貨と虹貨を増やし、大金貨が100万円、白金貨が1000万円、虹貨が1億円となりました。
これからもこういったことがあるかもしれませんがどうか温かい目で見ていてください。
この作品が面白い!まぁいいんじゃない?などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などを頂けると作者の励みになります。
ではではまた次話で。
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