第10話 雪乃5

靖子は気がついたらファミレスから出ていた。

すぐに携帯を取り出し、雪乃に電話した。

虚しくなり続く呼び出し音はついにやむことはなかった。


我慢できず雪乃の家に行った。

チャイムを鳴らす。電気はついていたので中にいることは確かだ。

なかなか出てこない。

もう一度鳴らした。まだ出てこない。この時間がひたすら長く感じられた。


「ガチャ」

音がして雪乃が出てきた。

「どうしたの?こんな時間に。びっくりしたわよ。上がって上がって!電話は出れなくてごめんね。お風呂入ってた。」

雪乃はいつもと変わらず接してきた。

靖子はそんな雪乃を見て、あれは嘘だったんじゃないかと思う。

「い、いきなりごめんね。ちょっと話したいことがあって、、、」

雪乃がこんな感じだったため、いつもと同じように接しようと言葉を選んだが、ぎこちなさを隠すことはできなかった。

2人はリビングに行き、机に座った。何だか和やかに時間が流れている。

「で、話って何?こんな時間に来たんだから急用?」

雪乃はお茶を注ぎながら聞いてきた。

靖子はもう、言葉を選ぶ余裕がなかったため単刀直入に切り出した。

「新一さんと結婚するの?」

少し間があって、

「うん、そうよ。来週には届出を出す予定。」

顔色ひとつ変えずに平然と答えた。

靖子は絶句した。何でこの女は平然としているんだ?頭がこんがらがってるのが自分でもわかる。

「え、、っと、それってどうゆうこと、、、?」

何とか言葉を絞り出し、靖子は聞いた。

「どうもこうも、2人で話し合って決めたの。今後一緒に過ごしていきたいなって。それで結婚することになったってだけだよ。」

「だけって、、何でそんなに堂々としてられるの?私もうよくわからないんだけど、、、」

「わからないのはこっちよ。結婚するって時に何で堂々としちゃいけないの?」

靖子はなぜこんな状態になっているのかまだ、理解できていない。

ただ、フツフツと怒りは湧いてきていた。雪乃の行動や態度に腹が立ってくる。

「結婚に至るまでの経緯教えてよ。」

声を荒げないよう、落ち着いて問いかけた。



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