第9話 新一5
2人はそのまま、ファミレスに入った。
靖子は、作り笑顔のまま、
「結婚おめでとう。人を盛大に振っておいて、1ヶ月後に結婚とはいいご身分ね。で、誰と結婚するの?職場の人?私の知ってる人?」
新一はなぜか答えようとしなかった。
「いや、まあ、ありがとう。いきなり電話で振ったのは悪いと思ってるよ。靖子さんのことを傷つけたなって。」
「そんな謝罪はもういいの。何であんなことしたのか教えてほしいの。あと私からあなたを奪った人をね。さすがに筋違いかもしれないけど恨めしいものよ。」
「結婚式もする予定だから、すぐわかるよ。だから今日言うのは控えておく。」
なぜ、ここまで新一が隠すのかわからなかった。会社の人間でなければどうせ私は知らないんだし、別に良くないかと思う。逆にこれだけ頑なに隠されるとより聞きたくなる。
「何で、教えてくれないの?どうせわかるなら教えてくれても良くない?そんなに隠すってことはやましいことでもあるの?」
「いや、そんなことはない、、ないけども、、、」
「だったら教えて、もうここまできたら私も引けない。」
イライラしてきた。いつもはあんなに堂々としているのに、今は縮こまりすぎて子供のように見えてくる。
「相手にあんまり言わないでって言われてるんだ。特に靖子さんには。」
ん?私には?これは少し口を滑らしたのではないか。
「私に言うなってどう言うことよ。そもそも私たちが恋人関係だったことを知ってた職場の人間なんていないはずよ。ねえ、誰なの?1ヶ月前まで付き合ってたって職場で言いふらすよ。メールの履歴もあるんだから。少しはいづらくなるんじゃない?」
新一はそれだけはやめてくれと言わんばかりの顔となった。
「わかった。もう言わないと返してくれないんだろ、、絶対に相手には言うなよ。」
「前置きはいいから早く言いなさい。」
新一は観念したように項垂れながらつぶやいた。
「雪乃さん、、、、、」
「ゆ、き、の、?、、」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます