第2話 新一1

映画から何日か経ったある日、靖子はいつも通り出勤していた。

実はこの日、新一との念願の食事が決まっていた。

というのも、一目惚れした靖子は飲み会の時に、ちゃっかり連絡先を交換していたのだ。そこから、連絡を取り合っていたところ、昨日の夜、

「明日、食事に行きませんか?」

と新一側から誘ってきたのだ。

もう靖子は、仕事どころの騒ぎではない。朝から、夜の食事のことだけを考えていた。


やっと、仕事が終わった。

一応、会社の人にバレないように少し離れたところで待ち合わせをした。行く場所については、新一が

「おすすめの鉄板焼きのお店があるから予約するね。」

と言ってくれたので、甘えることにした。

2人で、予約してくれた鉄板焼きのお店に入った。

思っていたよりも高級だったが、新一はこういうところに行くことに慣れているらしく、スマートに店内に入っていった。

席に着くと、

「コート貰うよ。」

と靖子のコートをかけてくれる余裕ぶり。

「靖子さんと食事、楽しみにしていたよ。実は、あの飲み会の時、少し気になっていてさ、誘っちゃった。」

新一は、注文した日本酒を飲みながらさりげなくいってきた。

「ありがとうございます。こちらこそですよ。こんないいお店予約してもらっちゃって。」

靖子は、にやけそうになる顔を必死に抑えながら、答えた。


結局鉄板焼きのお店で3時間ほど喋って解散した。

靖子は「今夜ワンチャン」と思っていたので、少し残念に思っていたが、帰り際新一が、

「次また、休みの日に出かけませんか?」

と聞いてきたので、嬉しさで張り裂けそうになった。


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