義務教育
オー横── それは、行き場のない若者のたむろする場所とかしていた。
義昭もここに通い詰めては年齢前後の仲間と連んでいた。
「その義昭くんはどこに──」
恵とフリンは辺りを見渡す。
人がごった返し、未成年者であろう者がタバコを吸っていたり、ライブ配信をする者もいる。
「でも小学生がこんな所に居るのが常態化してるなんて──」
恵が辺りを見渡すと、フリンが恵の履いているスカートを下に少し引っ張った。
「どうしたの?」
そう言って恵はフリンを見下ろす。するとフリンは指差していた。
指差した場所には義昭が仲間と連んでいた。
「あの子が義昭くん?」
恵の問いにフリンは頭を縦に振る。
「よし── 私から離れないで」
恵は、フリンにそう言うと義昭の元に向かった。
「アンタが佐藤義昭くん?」
恵が義昭に聞く。
「なんだよお前?」
中学生程の仲間が恵にガンを飛ばして聞く。
「アンタに用はないのz私はそこの子に用があって来てるの」
恵は、仲間を相手しようとせず義昭に顔を向ける。
「お前あのオカマの親かよ」
義昭がそう言うと、仲間が恵のつけていた弁護士バッチを見て言った。
「なに高学歴の高給取りがこんなとこ来てんだよ」
「私は高卒よ」
恵は仲間にそう言った。
「マウント取りてぇえのか、佐藤をぶん殴りに来たのかはっきりしろや」
「私は義昭くんを殴りに来たわけでも謝らせる為に来たわけではないわ。この子を親の元に連れ戻す為に来たのよ」
恵はそう言って佐藤を見る。
「大体よ、なにが義務で学校来いだよ。行きたくもないのに来いなんて人権侵害じゃねえのか?」
他の仲間がそう言うと、恵は呆れた表情で言った。
「たく、さっきから聞いてたら貴方たちオー横民は何も理解してないみたいね」
「なんだとこのアバズレ!」
1人が殴りかかろうとする。
すると、恵はそいつの胸ぐらを掴んで言った。
「やれるものならやってみなさい。こっちは法律のプロでもあり魔法のプロでもあるのよ?言っておくけどあんた達なんて一瞬で殺せるほどの力はあるわよ」
恵の顔からは笑顔の要素が完全に消え、その顔を見たフリンが恐怖していた。
「いい加減イキるのも大概にしなさい。そんな事したってカッコ良くもないんだから」
そう言って、胸ぐらを掴んだ仲間を強く引き離す。
「貴方に問うわ。義務教育とは何か最初から答えてみなさい」
「なんだか知らねえけど、俺はそんなのは認めねえよ」
義昭が恵に言った。
「だから貴方達は低脳なのよ。ちゃんと物事を理解してから語りなさい」
そう言うと、恵は佐藤の頭を杖でポンと叩いた。
「義務教育って言うのはね、親や国や自治体に課せられている教育を受けさせる義務の事よ。で、貴方達にあるのは教育を受ける権利があるの。『受ける義務』じゃなくて『受ける権利』よ」
恵が、義昭達にそう説明する。しかし、恵の事をよく思っていない為か反抗的な事を言う者もいた。
「高給取りのエリートが俺たち庶民の事なんか分かるかよ」
「──どうして嫌がるの?」
恵の背後からフリンが顔を出した。
「佐藤が殴ったのって──」
「このオカマだ」
「──どうして?」
「笑わすんじゃねえよ、お前の親と俺たちの親比べてみたら分かるだろう──」
「は、舐めてんの?」
急にフリンは覚めた表情になった。
「公園で寒い中2年も生活した事あるの? ダンボールで暖炉をとって虫と草で凌いだ事あるの?」
「ちょっとフリンちゃん大丈夫?」
フリンがおかしくなっていく事に焦った恵は、フリンを抱き上げついでに義昭の手を引っ張って連れて帰る。
「お、オイ!」
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