2.5
「…私とロイス様の関係を、改めて言葉にしようと難しいですね。」
しばらくの沈黙の後、ラトス様はそう困ったように呟きました。一口だけチコレを含み、そしてまた言葉を形にしました。
「…約束していることがあるんです。お葬式の時には、横たわったロイス様のおでこに私が花の絵を油性ペンで描く、と。」
「油性ペンで?」
「…えぇ、油性ペンで。つまり、そんなふざけたことをしても誰も気に止めないような環境で死にたいと。…私にも先に死ぬのは許さないと、そういうことですね。…ロイス様は、お人好しでとてもさみしがりな御方ですが、昔に比べたら気持ちを素直にお出しになってくださります。…ですから、そんなもしもの話に私を巻き込んでくれるなんてと嬉しくなって…あれは忘れようにも忘れられないですね。」
話が逸れてしまいました、と恥じらう姿もやはりひとつの絵画みたいでなんだかみてはいけないものをみてしまってるようです。こほん、とひとつ咳をすると気を取り直したように話し始めました。
「…支える、と言葉にするのは簡単ですがそれは正解がない行為だと思うのです。…隣で手助けす形も、同じ空の下で想い合う形も支える形として間違いないのでしょう。…大切なのは、誰かを支えたその先にどうしたいかではないかと思うのです。ソフィアさんにはこういうべきでしょうか?『押してダメなら引いてみましょう。相手が気がついたときは外堀を埋めきっておくのが肝要です』」
ライバルが強力ですからね、と言うラトス様のお言葉に顔が熱くなってしまったのは仕方ないと思うのです。
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