ハサミの手

昔、観た映画の

人造人間エドワードの手はハサミで

彼の心はとても純粋なのに

その手は愛するものに

触れようとすれば

傷つけてしまうばかり


ずっと壁に貼っている

ポスターを見ながら

わたしはハサミの手をした

エドワードのことを考える

それはどれだけ

孤独なことだったろうと


(ハサミでつくる氷の彫刻

飛び散った細かい氷の粒が

空から降る雪になる)


ありのままでは

傷つけてしまうと

思い知ることは

どれほど哀しいことだろう

望んでいたのは穏やかな暮らし

ただ愛だけなのに


ポスターのなかには

彼の横顔とそのハサミの手

そして白い雪が

ずっと降り続いている


寂しい魂が立ち尽くしている

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