空気をください

時に追いつけなくて

肩で息をするようになったわたしは

空を見上げるより

膝に手をついて地面ばかりをみている


自分の呼吸音おとだけが耳に響いて

目がくらむむ、くらむ


空気をください



灼熱しゃくねつのアスファルト

腹をみせたせみ

ジジジ、ジと身体を震わせて

途切れ途切れに鳴いている


手足が思い出したように動いて

まだ生きている、生きていると


空気をください



いつから世界はこんなに

駆け足で過ぎてしまうようになったのか

残されたしばしのその時さえ

かされるように


空気をください


どうか


空気を


ゆっくり深呼吸できるほどの


せめて


空気をください

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