オトギバナシ

お気に入りの絵本の最後は

「そして二人は、いつまでも幸せに暮らしました」


絵本のなかには確かに

時間が止まった幸福の形があった


もしできることなら

わたしも、あの幸福を

永遠に閉じ込めてしまいたかった


それがどんな歪んだ願いでも


オトギバナシを信じていた

少女のわたしは、もういないけど


「そして二人は、いつまでも幸せに暮らしました」


大切なひとの腕の中で

時間を止めてしまいたかった

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