第6話 とらきちのほんと

「がっこうだいすきとらきちさ」なんてごろんごろん歌いましたが、実は、とらきちは、学校があんまり好きではありませんでした。

もっとほんとのことを言うと、学校なんて大嫌いでした。


 でもね。それは、内緒なんです。

 だって、とらきちのばあさまねこが、毎日、それはそれはにっこり笑って、とらきちにいってらっしゃいのハグをしてくれるんですもの。

「ばーちゃん、行ってくるぜい。」

「ああ、いっといで」

そういってばあさまは、カチ、カチ!と切り火をしてくれます。

どこかで聞いたこと、ないですか?

そう、あの有名な、銭形平次親分。

銭形警部じゃあ、ないですからね、お間違いなされませんように。

で、とらきちは、「行ってきます!」と家を出たからには、公園でひまつぶしをしたり、図書館で自主勉強したりするのは嫌なたちでした。


な、おいらって、けっこういかすやつでしょ?


 ばあさまねこは、とらきちが学校が好きじゃないなんて、考えたことさえありませんでした。

好きとか、嫌いとか、そういうんじゃなくて。

そもそも、そこにあるから行く、それだけのこと。

そりゃ、よりみちして、着いたら学校終わってた、なんてのも大ありです。

そして、実際とらきちも、学校が大好きだったんです、途中までは。

 じゃあ、とらきちが、どうして学校が大きらいになったかというとね。

どうしてかというとね……


※それは、明日のお楽しみです。

 テストの前日に、学校が火事になってくれへんかなあ、なんて思ったこと、ありま せん?

ではまた明日ね。

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