第4話 作詞作曲 とらきち
「ねえ、とらきちくん。いいかしら。」
ミーちゃんが言いました。
ミーちゃんは、ぱんつのことは、もうあきらめていました。
でも、もうちょっとだけ、どうしてもいわなきゃいけないことがあったのです。
「なんだい。またなにかあるの。」
「あのね。その歌、すごすぎて、もうちょっと何とかならないかしら。」
「なっ。すごいだろ。おいらが作った歌なんだぜ。いい歌だろ。」
ミーちゃんの目が、少し上に動いたように見えましたが、気にしないことにしました。
だって、おんなのこというものは、気まぐれな生きものですからね。
とらきちは、結構聡いねこでしたから、そこらへんはちゃあんと心得ていたのです。
「ごろごろ ごろごろ ごろにゃあご から始まるところがかっこいいのさ。」
とらきちはそう言って歌い始めました。
何しろ自慢の歌ですから、それはそれはしっかりと声をだして、高らかに歌い上げたのでした。
「作詞・作曲 とらきち。ふふっ、おいらのことさねっ。」
…ピアノソナタはどうかな…
…交響詩もいいよなあ…
…組曲、ってのも手かも…
…やっぱり行進曲かな…
…まずは、校歌なんか手ごろかな…
…うん、そして、どっかの新興国から国歌なんか頼まれたりしてさ。うーん、いかすじゃないか!
とらきちの頭の中には、壮大なオーケストラの楽譜と、そこに書かれた
「作詞作曲 および編曲 とらきち」 の文字が浮かんで、ピカピカ光ったり消えたりしていました。
オーケストラの前で指揮をするのはもちのろん、とらきちです。
「第1楽章はゆっくりで。最初は小さく、かすかなオーボエから始まる。よし!」
とらきちが指揮棒をあげ、オーケストラのみんなを見渡します。楽団のみんなが、緊張した目で、とらきちの最初のひと振りを待っています。
…あれ?…なんだっけかなあ?
とらきちは腕をくんで考え始めました。こうすると、いかにも考えてるっていう感じがするし、いい考えが湧いてくるような気がします。
ま、いいってこと。
そのうちに思い出すさっ。
思い出さなかったら、それだけのことだってこと、ばーちゃんが言ってたもんな。
ね、ねこの国は、とてもお気楽でしょ?
ではまた明日の夜に!
そうそう、とらきちからのお知らせです。
とらきちは、パタリロとばかぼんパパと、うさ吉を尊敬してるそうです。
…ねこの国の話は危険です。大事なことも、お気楽の風の前では風前の灯火、ってやつ。
タイガース、前進せよ!
それではほんとにまた明日に♪
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