第4殴・オワタ

「そんなの知らないよ!?科宮さんもだよね!?」

必死に聞いてみるけど、科宮さんはにまーっとニヤつきながら、

「去年の終業式にも言われてたねー」

「え!?え!?」

なんて言ってくる。

聞いてない!僕はそんなの知らない!


五分後。


わからない…わからないぞ…

なんだこの問題は…ほんとに勉強した?してないよね?

開始五分で詰みの臭いがしてきた。


さらに五分後。


わからぬ…介せぬ…どーたらうんでれ条約が何なの?だから何だって言うの?わからないわからないあーーーー!もう詰んだ!


さらに五分後。


Zzz…

「ふごぉぉぉぉぉぉぉお…」

ああ…腹パンが一発…腹パンが二発…腹パンが三発…

ふにゃああ…

Zzzz…

「ぐぅるぐるぐるるるぅぅぅ…」


そして、終業の鐘が鳴り響き。

「笹間~。おはような~」

「んぁ…はい…おはよござますぅ…」

「テスト終わったぞ~」

「…え?」


やらかしたああああ‼


その日の帰り道。今日も午前中で下校。天気は嫌なほど晴れ晴れしています。

なんか天気に嘲笑われている感じがする。

「まさか、あのまま寝ちゃうなんてね」

「はい…」

同時に、科宮さんにも嘲笑われる始末。もう、こっちも笑うことしかできない…

「でも…眠ってる笹間くんも可愛いかったなー…」

「な、何!?」

まさか、一部始終を見られていたと!?

そりゃそうか、だって後ろの席だし。

「寝顔は見れなかったけど、笹間くんの寝言、ぜーんぶ聞いちゃった…!」

「嫌ああああああ‼」

僕は寝相が酷い。一月に二回は必ず、起きたときベッドではなく部屋のドアの前にいたりする。

それと平行して、寝言も酷い‼

夜中にいきなり叫ぶことがあるらしい。僕自身には記憶がないけど!

だからこそ、きっと、変なことを口走ってるに違いない!

よりにもよって、それを科宮さんに聞かれるとは…!

何を言った?何を言ったんだ僕は…?

「ふふ…最初は『にゃーにゃー』って、猫みたいになってて…」

「にゃああああああああ!?」

「それから『うゆうゆ…』って言って…」

「あああああやめてえええ!!」

と、そこまできて、科宮さんが急にどもる。

「それから…それから…」

ナゼか顔が赤くなっていく。え?何で?テレるポイントあった?

止まらない赤面化。なんで?ほんとになんで?

「それから…」

口をすぼめて、次の言葉は紡がれた。

「し…し…」

科宮さんって

「言ってたよ…」

大好きって

「言ってた…」

肝心なところを、僕は聞くことができなかった。

「え!?なんて!?何て言った!?」

それが、トリガーだった。

「え、あ…えっ…あ…」

急激に赤さが最高潮に達する。まずい。非常にまずい。このままだと沸騰す…

「何でもなーーーーいッ!!!」

声が聞こえたと思えば、科宮さんの強烈な右ストレートが、僕の腹を直撃。

「ぐひゃあああ!?」

そのまま空中にフライング。

そのまま地面にローリングアウト。

意識が朦朧として、やがて…

「お見事…TK…おぉっ…」

がくっ。

意識が途絶えた。


テスト…大丈夫かなあ…

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