終わったよ

ふわりと誰かに抱えられる感覚に私はゆっくりと意識を取り戻した。確か私は……地下室で……そこからの記憶は曖昧だった。


「……起きたか。」


「へ……首領……?」


「ったく……なかなか戻ってこないから心配したぞ」


「……すみません。」


私は目を伏せながらそう告げた。首領はそれ以上何も言わずロビーへと向かった。



ロビーへと続く階段を登り終え私と首領はロビーへと戻ってきた。すると「ライ!」「ライ……!大丈夫……?」「お前無茶すんなよな……!」と団員たちの声が響いた。私は小さく笑みを浮かべながら「うん……ごめんね」と告げ、椅子に座らせてもらった。


「……ライ」


「ニーナ……心配かけてごめんね。」


「戻ってきてくれてよかったっ……!」


ニーナは私に勢いよく抱きつきながらそう告げた。私は瞬きをしたあと軽くニーナの頭を撫で、ただ一言「全部…終わったよ」と告げた。そうすればニーナはまた私を抱きしめ子供のように泣き出した。他の団員達からも「お疲れ様ライ」「よく頑張ったな」「もう頑張らなくていいぞ」と声が飛んできた。私は小さく笑みを浮かべながらこくりと頷き首領の方をちらりと見た。首領は少し悩んだあと「宴会でもするか。」と告げた。




首領のその一言で始まった宴会は賑やかなものだった。私はそっと席を外し外へ出た。それを首領とアレンに見られていることにも気づかずに。



「……すごい星空……」


外に出れば一面に広がる星空と綺麗な満月がそこにはあった。そう言えばここに来てからちゃんと星空を見た事が無い気がする。もし見ていたとしても……こんなに綺麗だと思えただろうか。多分思えなかった。全部終わったから綺麗に見えるんだ……


「……リリーっ……皆……私頑張ったよ……」


その言葉は誰にも届かず虚空へと消えたと思えばふわりと穏やかな風が頬を撫でた。その風はまるでリリーや村の皆が返事をしてくれたようだった



「……リリー皆……もうすぐ会いに行くからね。」

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