その日の夜

私たちは漸くアジトへと戻ってきた。私は小さく息を吐き少し躊躇いながら足を進めた。

アジトのロビーが近づくにつれ私は足が重くなる感覚に視線を下に落とした。なんて言われるだろうか幻滅されるだろうか……そんな事を考えていればポンっと背中を軽く押され私は瞬きをした。


「ライ。何も考えなくていい誰もお前を否定しない。」


「そーそー。ライを否定してきたら私が怒ってあげるからねぇ」


「アレン……ニーナ……」


「そうだ。お前は何も心配することはない」


「首領……」


「ほら。入って入って」


「ちょっ……ニーナ押さないでっ……」


私は背中を押されながらアジトのロビーへ入った。するとばっと一気に仲間の目がこちらに刺さった。私は肩を揺らし小さな声で「た……ただいま……?」と告げれば1人、勢いよく私に抱きついてきた。


「っ……ライおかえり……良かった……戻ってきてくれてよかったっ……!」


「ライカ……」


「ったく心配かけやがって」


「こいつ俺も殴り込みに行くって言って首領と少し揉めたんだよ」


「あっおい!それは内緒にしとけって言っただろ!」


そんな言葉を私は瞬きしながら聞いていた。ワイワイと聞こえる言葉に小さく笑みを浮かべ抱きついたままのライカを軽く撫で「……ごめんねライカ。心配かけて……」と告げた。ライカは目を見開いたあとこくりと頷いた。



「さて……無事ライも戻ってきたという訳だが……今後俺達は完全にサフズルを敵とみなす。」


「じゃあ俺はサフズルについて調べるよ」


「ライお前もアレンの補助に付け。サフズルについてはお前が1番詳しいからな」


「首領の仰せのままに。」


私はそう告げ小さく頷いた。首領もその言葉に頷けば他の団員にも的確に指示を出し私たちは解散となった。私は軽く伸びをしたあと部屋に戻ろうと立ち上がれば首領に腕を掴まれた。



「えっと……首領?」


「ライ。お前は俺の仲間だ。分かったな?」


「……えぇもう二度とあんな真似はしませんよ。おやすみなさい首領」


「あぁ……おやすみ。」


私はそう告げてロビーを後にして部屋に戻り小さく息を吐きそのまま座り込んだ。


あぁ……やっぱりここは暖かいなぁ……暖かくて優しくて……「村の皆みたい……なんてね。」皆のあんな顔を見るのはもう最後。もう二度としない。 そう考えながら私はドアにもたれ掛かりながら目を瞑り意識を手放した。

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