決めた覚悟
次の日目を覚ました私は軽く伸びをして小さく息を吐いた。
「髪……だいぶ伸びたな……」私は自分の髪に軽く触れそう呟いた。少し悩んだあと私は立ち上がり部屋にあったハサミを持って部屋を出て洗面台に向かった。髪を切る為に。
部屋を出て洗面台の前に立ち息を吐いたあと髪にハサミの刃を入れようとした時「ちょっと待った……!」と静止の声が響いた。私は肩を揺らし後ろを振り向けば少し怒ったような顔をしたアレンが立っていた。
「ライお前何しようとした」
「え……何って……」
「後ろは見えねぇだろ。俺がやる」
「いやあの……適当で良いんだけど……」
「適当でいいわけないだろ。こんなに綺麗な髪なんだ。」
「アレン……」
「俺が切る。どのくらいの長さにするんだ?」
「……肩より上で。とにかく短くしたいの」
「わかった。危ないから動くなよ?」
彼はそう告げてゆっくりと私の髪を切っていった。髪が切れる音を聞きながら私は言われた通り動かずにいた。
「……こんなもんか?」 暫くしてアレンがそう告げれば私はすっかり短くなった髪を触り小さく笑みを浮かべ「ありがとうアレン。スッキリした」と告げて洗面所を出た。髪を切ったからかほんの少し肩の荷も軽くなった気がした。
ロビーに入れば団員の皆から「ライその髪誰にやられた!」「サフズルの奴らか!?」「髪は女の子の命なのに……!」と告げられ私は瞬きしたあと笑みを浮かべ「アレンに切って貰ったの。」と告げた。その言葉を聞くと少し納得した表情を浮かべ何も言わなくなった。
「それで?なんでいきなり髪をそんなバッサリと切ったんだ?」
「首領……あー……」
「……言えないか?」
「……私なりの覚悟っていうか……」
「覚悟?」
「こんなのであの時の事を許してもらおうだなんて思ってない。勝手な行動をした私が悪いですから……でもこれからは……アップグルントの私として生きていく覚悟です。」
「ライ……」
「でも復讐を辞める訳じゃないです。これからは皆を頼って村の皆の為に復讐を終わらせます。」
私がそう告げれば団員の皆は目を見合せたあとこくりと頷いた。首領がゆっくり立ち上がり「よく言ったライ。じゃあ改めて言う。お前の能力、頭脳全て俺たちの為に使え。お前はもう情報屋のフォンセでもオスキュルテの姫でもない。アップグルントのナンバー0のライ=シャルロットだ。」と告げてきた。私はにこりと笑みを浮かべ首領に頭を下げた。
「えぇ…全ては首領の……そしてアップグルントの為に誓います」
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