連れられた場所。そして戦闘開始


数時間後、私はゆっくりと目を覚まし首への痛みに顔を顰めながらも辺りを見渡した。手や脚を見て拘束がされてない事に気づけば立ち上がり今居る場所を把握しようと窓際へ近づいた。


「ここは……というか私はどれだけ寝て……」


「おはようライ。よく眠れた?」


「……アルフィー。これはどういう事かしら?」


「どういう事も何も見た通りだよ。ここに君を連れてきたんだよ」


「意味が分からないわ。」


「まぁ分からなくていいよ。君に用があるのは俺じゃなくて……」


「俺の方だオスキュルテの姫。そしてヒメウソ村の生き残り。」 その声が聞こえた方へ振り向き「あら……これはこれはお久しぶりかしら……テオフィル。」と私は告げた。テオフィルは小さな笑みを浮かべ「まだ余裕そうだな?」と問いかけてきた。


「……私をここに連れてきた目的はなに?」


「言ったろう?お前の目が目的だと。お前のその目は片方だけでも充分な価値がある。6000万ヴェーロ。それがお前の片目の価値だ」


「6000万?……そう…迷惑な話ね。それで?貴方は何がしたいのかしら」そう問いかけたあと彼は指を鳴らした。それを皮切りに姿を隠していたのであろうサフズルの団員に取り押さえられた。


「つっ……このっ離しなさい!」


「この目……あぁ懐かしいなァあの村の生き残りが居たとはな!」 「おいおいあまり興奮するなよ。この顔だ。傷物でも売ればある程度の金になるだろうな」 その言葉を聞いた瞬間私は目を見開いた。売られる?こいつらに復讐も出来ずに……?嫌だ嫌だ嫌だ……!私はまだ…やらなきゃいけないことが残ってる…!売られてたまるもんか……!


「ふざけないで……貴方達なんかに私の価値を決める権利なんかない……!」


「ほう?じゃあお前の価値は誰が決めるんだ?」


「私の価値は……私が決める!」 そうテオフィルに告げたあとドアの方で誰かが倒れる音が鈍く響いた。サフズルの団員、そして私はその方を見るとそこには首領とアップグルントの《なかま》団員が立っていた。


「お前ら……俺の……いや俺らの仲間に手を出したんだ殺される覚悟は出来てるんだろうな?」 その言葉を聞いた私は瞬きをした。この場所にいることは誰も知らないはず……なのに「どうして……どうしてここが分かったんですか……」と問いかけた。するとアレンは「ライカとニーナのおかげだよ」と答えてきた。


「まずは……ライを離してもらうぞサフズル」



「は?離すわけ……がっ…!?」 相手が言い終わる前に首領はその長い足で私を取り押さえていたサフズルの団員へと回し蹴りを食らわせ気絶させた。


「ライ。立てるか?」


「は……はい。」


「アレン。お前はライとニーナを連れて外に出てろ。こいつらは俺一人で充分だ。」



「っ……待ってください首領。この人達を殺すのは私の仕事です。私の生きる意味なんです」


「ライ……分かったよ。お前の生きる意味を俺が奪う事は許されないからな。安心してアレンとニーナと一緒に居ろ。」 首領のその言葉を聞いて私は小さく笑みを浮かべ頷きアレンに促されるままニーナと一緒に外へと向かった。首領の「お前ら……覚悟しとけよ?」の声は私の耳にしか届かなかった。

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