復讐開始

首領の言葉を聞いた私は目の前にいる相手……ヴォルフをじっと見つめた。首領は何も言わず、そっと1歩後ろへと下がり「無茶だけはするなよ」と告げてきた。私はその言葉に頷いたあとヴォルフに近寄り「さぁ……お覚悟はよろしくて?」と告げた。


「てめぇ……俺に何するつもりだ」

「黙ってなさい貴方は私の問に答えるだけ……まぁ答えられたらですが……大天使ノ断罪『アンジュ・ド・ジャッジメント』」

「っ……かはっ……!?」

「……喋れないんですね。まぁ当然です。沢山の罪を犯しているんですから。」

「ふざけ……」

「黙ってください。次勝手に口を開けば……分かりますよね?」

「っ……」ヴォルフの息を飲む音が地下の部屋に響いた。私はゆっくり息を吐き「……首領……もし私が暴走したら……止めてくださいね」と首領に告げたあと能力を解除しヴォルフを見つめた。


「では……まずはどうして村を襲ったのか……答えてください。」

「ボスからの命令だ。俺は従っただけだ。」

「っ……次に……リリーを……貴方が殺した人は覚えていますか……」

「さぁ?覚えてねぇな。あれは大仕事だったからなぁ」 その言葉を聞いた瞬間私はヴォルフを睨み「ふざけないで……!」と声を荒らげながら彼の足を蹴った。ヴォルフは一瞬痛みに顔を歪めるが私にとってはどうでも良かった。


「ふざけないで……貴方の……貴方たちのせいで……!」

「ってぇな……確かに俺らが殺したけどよぉ……見捨てたのは誰だよ。」

「へ……?」

「あの時お前は逃げた。その親友とやらを置いてな!なぁそうだろ!」

「ちが……違う……私は見捨てたんじゃ……」

「いーや見捨てたんだよ。なぜあの時俺を殺さなかった?なぁ答えてみろよ!」ヴォルフのその言葉は酷く頭に響いた。違う。違う。私は見捨ててなんかない。リリーが言ったから……でも本当に見捨てたとしたら『ナゼ ワタシハ イマ ワラッテイルノ?』そう思案している時、不意に目が覆われた。私は肩を揺らし「違う……違うっ……私は見捨ててないっ……!」と声を出せば「あぁ。分かってる」と短く告げられた。

その声は首領のものだった。首領はゆっくり語りかけるように告げてきた。


「お前は村を……ヒメウソ村を見捨ててねぇよ。悪いのはお前じゃない。大丈夫だ。落ち着け。俺の声をよく聞け」その言葉はとても安心出来る優しい声だった。首領はゆっくりと目を覆っていた手を離し「後ろにいろ」と答えた。私は少し悩んだあとこくりと頷き首領の後ろへと控えた。


「ヴォルフ。悪いがお前には今、ここで死んでもらう。」

「はぁ?俺を殺すってか?ハッ……やれるもんならやってみろ」

「……その愚かな態度、地獄で直してもらうんだな。黒き呪いの花……『チョコレート・ブルーメ』」 首領が短く告げればヴォルフは苦しみ出した。しばらくするとヴォルフの腕に黒い百合の花が咲いた。その花は段々とツタが伸びていき、それは次第にヴォルフの首辺りまで伸びていた。私はその様子を見て首領に「あの……首領あれは……」と問いかければ首領は一言「呪いの花だ」と告げた。私はその言葉に瞬きをしたあとヴォルフを見つめた。呪いの花……首領の能力で咲いた花はヴォルフの頬にまでツタを伸ばし、まるでヴォルフ自体が花になるようだった。首領はそれを見て「もうすぐお前は俺の能力で命を落とす。何か言いたいことが有るなら聞いてやる。」と告げた。その言葉を聞いたヴォルフは一言。「地獄で待ってるぜ」と告げて絶命した。


「ライ。大丈夫か」

「あ……はい……なんか……気が抜けて……」

「ライ。泣きたい時は泣いていい。よく我慢したな」

「首領……すみませ……」首領からの言葉で私は子供のように泣き始めた。まるであの日の涙を今流しているみたいに……

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