第三話 剣士
さて、早速スキルを試してみよう。
といっても、どうやって発動するのかが分からない。うーん、念じればいいのか?
『スキルの使用方法の説明を行いますか?』
すると、またあの声が聞こえた。なんか、毎回お世話になってる気がする。申し訳なくなってきたな。ただ、教えてもらわないと使えないので、俺は説明をしてもらうことにした。
『了解いたしました。スキルの使用方法の説明の前に、スキルの種類について軽く説明します。スキルには、大きく分けて二種類存在します。一つ目は、常時発動するパッシブスキル、二つ目は、使用者本人が任意のタイミングで使うことが出来るスキルがあります。一般の人々は、この二つをまとめてスキルと呼んでいますが、実際は、二つ目のものがスキルという名前なのです。』
へぇ、そうだったのか。このスキル雑学も挟んでくるので様々な知識を得ることが出来る。ジョブチェンジのスキルって万能なんじゃないか?
『それでは、スキルの使用方法の説明を行います。スキルは、使用者が使用したいスキルの名前を言うだけです。』
............え?これだけ?
でも、マリナも魔法を使うときは名前だけしか言っていなかったし、そういうものなのか?
『以上で説明を終わります。』
ありがとう、ジョブチェンジスキル。
俺はスキルの使用方法が分かったので、早速使ってみることにした。
ええと、確か俺が使えるスキルって、あれ?何だっけ?
『セイジ=レイヴァンドが使用できるスキルは、見切りと、抜刀術です。』
またまた教えてもらった。何から何まで教えてもらって申し訳ない。
とりあえずスキルの名前を言ってみる。
説明文は覚えているから、何が使えるかは分かる。今のところ使えそうなのは抜刀術ぐらいだ。見切りは、敵が居ないと分からないので使えない。だから、抜刀術を使用する。
「スキル、“抜刀術”。」
............これで合ってるかな?
使ったことがないのでとても不安だ。
確かこの後、抜刀時の威力が上がったり抜刀するのが速くなるんだったか。
とりあえず、今は公園から移動して森のなかにいるので剣を振り回せる。
剣といっても木の棒なのだが。
俺は木の棒を腰に当てて構える。
納刀する際の形だ。
そして俺は、
「シッ!」
木の棒を振りかざした。
特に何も起きなかった。確かに抜刀する際の時間は短くなっていたが威力が上がったかどうかは分からなかった。
だが、大事なのは本番。
モンスターを狩るときに力を発揮してくれれば問題ない、が、
「変化が分からないがら少し不安だな。どんな差が生まれるかを知っておきたかったけど、当日何とかするしかない。」
俺は明日の狩りに不安を抱きながらも森を離れた。
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男がその場を離れてから数分後、森で大きな音と地響きが起こった。
地響きが起こったであろうその場所では、大木が三本ほど斬り倒されていた。
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ふぅ、今日は一日にいろんな事がありすぎた。
あのパーティーを抜けることになったのは痛いが、これからは一人で頑張っていこう。
そう思いつつ俺は帰ろうとする、が、
「あれ、そういえば俺住む場所なくね?」
パーティーを抜けさせられたからあの拠点には帰れない。
「............宿でも探すか。」
俺は今までパーティーのために、と取っておいた自分の金を手に宿を探すことにした。
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「マクリス、セイジさんはどこ?」
「........................。」
「ねぇ、何で聞いてくれないの?答えてよ、ねぇ!」
「っ。」
マリナに襟を捕まれ一瞬苦痛の声を漏らす。
よく見てみれば、マリナは身体強化魔法を使っていた。
「ねぇ、あの会話の内容、何?セイジさんはいらないですって?ふざけるんじゃないわよ!この[暁の集い]はセイジさんがいたから結成したんでしょ!それに、今までセイジさんはへまをしたこと何てはなかった!むしろ私たちが迷惑をかけてたぐらいなのに、何でそんなことをいって抜けさせたの?」
マリナの言っていることはごもっともだ。セイジさんはいらない存在じゃない。このパーティーに不可欠な存在だった。それでも、彼をこのパーティーに置いていてはいけなかった。
「............すべて、話そうじゃないか。」
そう言って、僕は握りしめていた紙を開き、マリナに見せた。マリナはそこに書かれていた文を見て目を見開いた。
「アンタ、これって!?でも、だからってそんなことしなくても!」
「あの人が居なくなるのが怖かったんだ!」
僕は声を荒げた。今までのですます口調ではなかった。でも、仕方ないものは仕方ない。こんなの、ただの我儘だってこはとわかっている。
「アンタ、その口調。」
「今後、一切セイジさんと関わることを禁じる。理由はわかっているでしょう?いいですね?」
「........................ 。」
マリナは無言で自室へと戻っていった。
僕は、マリナがいなくなったことを確認してまた、一人で泣き出した。
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