第一話 スキル ジョブチェンジ
「はっ?」
なんの声なんだ?!いったい誰が?
いきなり聞こえてきた声に慌ててしまった。
それにしても、やけに抑揚のない機械的な声だったが、今のはいったい........?
「コード?神々のプロミスコード?ジョブチェンジ?何なんだいったい。まさか強制離脱させられて幻聴まで聞こえ始めたのか?
笑えねぇな。」
今までこんなことはなかった。
こんな声聞こえるはずがなかった。
なぜなら俺は............あの日、
”職業が与えられなかったのだから。“
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「これより、セイジ=レイヴァンドの15の
儀式。もとい職業判定を行う。」
神官がそう言って俺の前に来る。
この世界では、15になると職業が判定される。
だがあくまでも職業の判定。
実際にどの職業に就くかは自分で決めることになっている。
強制ではないのだ。
しかし、大抵の人は、この儀式で判定された職業が自分にあっていたと言う。
職業判定という名の金稼ぎだろうに。
そう思う俺も結局受けるはめになっているのだが、どうにも乗り気になれない。
俺は家の畑仕事を継いげばいいと思っている。
しかし、両親が受けなさいと言うのでしぶしぶ来ただけなのだ。
職業なんてぶっちゃけどうでもいい。
俺がこんなことを考えていても儀式は進んでいく。
カタリスよりはるか南に位置する俺の住む村
イーザン村には、一つの言い伝えがある。
職業判定で、畑人の判定が出た人が、
村を発展させる と。
俺は、職業が判定されるなら、この村の発展に貢献できる職業であればいいと、そう思っていた。
しかし、判定が終わった後に神官が言った言葉は、職業にあまり興味がない俺でさえ衝撃を受けた。
「この子には、判定できる職業はない。」
「「え!?」」
俺と一緒に来た両親が声を揃えて言う。
「そんな........」
いきるためには働かなくちゃならない。
その事は15の俺にもわかる。
だが、肝心な職業が判定されないとなると、
就職に不利になってしまう。
長続きする、または、秀でた才能を持つ人間を雇うのが常識。
その秀でた才能がないとわかってしまい、
俺は、職業に不利な方の人間になってしまった。
だから俺はこの日から、職業に就くための努力をし始めた。
接客や皿洗い、鍛治や剣の手入れ、
商売に関する情報から魔法の種類まで
ありとあらゆることを頑張った。
でも、
「不採用です。」
「ご縁がなかったということで....。」
「君に光るものが見えないんだ。」
就職できなかった。結局は、才能なのだ。
「ダメ.... なのかなぁ。」
そう呟いたときだった。
「あのぉ。」
「なんだい?」
一人のか弱い少年が俺を訪ねてきた。
これが俺とマクリスの出会いだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
って!思い出を掘り返している場合じゃない。
目の前には、いつの間にか白い板のようなものが浮かんでいた。
「なんだこれ?」
そう思ってその板に触れようとした時だった。
『ジョブチェンジのスキルが解放されました。』
「うおっ!?」
いきなりまたあの声が頭のなかに響いてきたのだ。
「何なんだ?いったい。」
『ジョブチェンジのスキルについてご説明させていただきます。』
「俺のことは無視なんだな。」
『このスキルは、名の通り、職業を変更するスキルです。』
「え!?それだけ!?」
あまりにもシンプルで突っ込みどころの多い説明に思わず叫んでしまう。幸いここは、
夜は人通りも少なく、住宅街から少し離れているため、叫んでも問題はない。
そんな風に内心ヒヤヒヤしている俺のことなどつゆ知らず、この声は説明を続ける。
『このスキルには、ジョブ熟練度とジョブポイントが存在します。どちらもジョブスキルを使うことでたまっていくので、頑張ってジョブスキルを使いこなしましょう。他の説明は、説明するタイミングが来たら説明しますので、今回の説明は以上となります。』
なるほど、その職業のスキルを使い続ければなにかいいことがあるってことか。
『今回は、スキル“ジョブチェンジ”の解放記念として、お好きなジョブを選ぶことができます。しかし、これ以降はジョブポイントをためなければお好きなジョブを選択することができません。ご了承ください。』
と言うことはジョブポイントって結構大事なものじゃないか?これは計画的に貯めなければならないかもしれない。
『それでは、お好きなジョブを選択してください。』
そう言われたあと、俺の目の前に浮かんでいる白い板に文字が浮かび上がった。
「すげぇ」
そこにはたくさんのジョブの名前がかかれていた。
剣士
見習い魔法使い
見習い鍛治師
回復師
呪術師
結界師
商人
畑人
村長
蛮者
etc
こんなにも職業があったのか...........
世界は広いんだなと改めて知った気がする。
さて、どのジョブにするか。
あらゆることがいきなり過ぎて頭が若干働いていないように感じるが今は気にしない。
「........俺は、今日まで冒険者としてやって来ていたからな。やっぱりここは...」
そして俺は、そのジョブの名前を指でなぞった。
『了解いたしました。今日からあなたのジョブは................
そして今日から新しい人生が始まるんだ!
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