第15話「ハプニング発生。」

エプロンをつけ簡易キッチンに立つ。

今日の朝食はパンとベーコンエッグだ。簡単に用意を済ませ、昨日の汚れた食器を洗う。

洗っているとクラークさんが起きてきた。眠そうに眼をこすりながら、「おはよう、シェナ。」とほほ笑む。


「おはようございます、クラークさん。早いんですね。」


「あぁ、エリックに起こされたんだ。フェンは起きなかったがな。」


「あはは……そうですか。ご飯できてますよ。」


「そうか、なら洗い物を手伝おう。」


「申し訳ないので気にしないでください。」


「手伝うのは当然だろう?」


そう言ってクラークさんは洗い物を手伝ってくれた。なんて優しいのだろう。

次にエリックさんが出てきた。フェンさんは起きなかったのかエリックさんは困った顔をしていた。


「おはようございます。お二人とも。シェナさん、また起こしていただいてもいいでしょうか? なかなか起きなくて。」


「はい、起こしてきますね。おはようございます。朝ごはん先に食べちゃって下さい。」


そう言いエプロンで手を拭きながら、フェンさんのもとに向かう。

相変わらず脱ぎ散らかしていて、コホンと咳払いをしてフェンさんを揺らす。


「朝ごはんですよ!」


「ごはん!」


ガバッと起き上がりいそいそと準備を始めるフェンさん。本当食いしん坊なんだから。

テントから出ると、クラークさんとエリックさんが古代語で会話していた。

が、私が出てきたことに気が付いたのか会話をやめる。何を話していたのだろうか。

気にしても仕方ないな……と思い、近づくと食事に手を付けていなかった。


「先に食べててよかったのに。」


「皆で食べたほうがおいしいではないですか。だから待っていたのですよ。それにフェンさんはよく食べますし見ていて気持ちがいいんです。」


そう言いエリックさんは笑った。「それも確かにそうですね。」と返しフェンさんが出てくるのを待つ。

しばらくすればフェンさんは出てきて、皆で食事を取る。


食事を終え、私とクラークさんは洗い物へ。エリックさんとフェンさんはテントを畳みに別れた。

何があってもいいようにクラークさんは短剣を、私はレイピアを持つ。こう見えて聖女の中では剣裁きは得意になったほうだ。

洗い物をしているとガルルルル……と唸り声が近づいてくる。

ウルフだ。エプロンで手を拭き、レイピアを抜き取る。そしてそのまま腕を上げ、構えた。


「クラークさん下がっていてください。私が片付けて見せます。」


クラークさんの前に立ちふさがり、ぐっと地面を踏む。そして地面を蹴り、レイピアで突く。

一匹のウルフの眼球をとらえ、キャウン! と小さな鳴き声が聞こえた。レイピアを引き抜き、そのまま心臓を狙い、見事一匹を討伐することに成功した。残り三匹だ。

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