第7話「ゴブリンを討伐せよ。」
無事に泣き止んだ私はクラークさんにジャケットを返し、道を進んでいく。
この道は蛮族が出るとうわさされており、私たちを万全の注意を払っていた。
ガサガサと物音がする。後ろを振り返れば、蛮族の群れ。
「あ、ゴブリン出ましたよ。倒さねばですね。」
私はぎゅっとハーフグローブを握る。
フェンさんは剣を取り出し、エリックさんはスタッフを構える。クラークさんは後ろに下がった。
クラークさんたちを守らなきゃ! そう、強い使命を感じ、キッとゴブリンたちを見やる。
「女ダ。女ガイル。」
「村長ノ元ヘオ連レシロ。」
「残念だけど……貴方達についていく気はないので。」
私の前に2人が立ちふさがる。フェンさんが物凄い勢いで地面を蹴る。
一薙ぎ。ゴブリンを吹き飛ばす。真っ赤な鮮血が飛び散った。
「エリックは魔力ってもんがあんだろ、俺に任せろっ!」
次々にゴブリンの群れに向かい、剣を振るっていく。その剣裁きはとても素晴らしいもので見ていて惚れ惚れするものだった。
ゴブリンたちも負けじと襲い掛かってくる。そのすべての攻撃を華麗に躱し、時には地面に手をついて身体を翻したり身のこなしは素晴らしいものだ。
どんどんと蹴散らかされるゴブリンの群れ。
残ったゴブリンたちは命乞いを始める。が、それも虚しく。「滅べ。」その声と共に息の根を止められていた。
「ほぅ……。フェンさん見直しました。女癖は悪いですけど剣裁きと身のこなしは素晴らしいですね。」
「うるせー暴力女。犯すぞ。」
「なっ、乙女の純潔は大好きな人のためにあるんですっ!」
「はいはい、わーったよ。うるさいなぁ。でも褒めてくれてありがとな。」
フェンさんは白い歯を見せにかっと微笑む。笑えば可愛いんだけどなぁ。
「フェンさん、素敵でした。僕の力などなくても冒険は大丈夫そうですね。」
「何言ってんだ。魔王討伐のためには必要だろ?」
「……。」
エリックさんは沈黙した。どうしたんだろうと思っていると「そうですね、魔王討伐のためにはフェンさんだけでは不安ですから。」そう言って笑う。
エリックさんも魔王討伐したくないのかな、と思いちらりと見やると、目を逸らされる。
きょとんとしているとクラークさんがやってくる。そしてフェンさんの肩を叩いた。
「フェン! 素晴らしい動きであった。助太刀する能力がないもので動けなくて済まないが商人として頑張るのでな、許してくれ。」
「おう、大丈夫だこれくらい。シェナもいるしエリックもいる。心配いらねーよ! お前はお前の仕事を全うしろ!」
そう言いながらクラークさんの頭を撫でまわす。「やめろ!」とクラークさんは困った顔で言うけれどフェンさんはやめなかった。
私、やっぱりこのパーティでならうまくやれそう!
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