第4話「朝チュンもどきを味わいました。」
朝五時ごろ、クラークさんがもぞりと動く感覚で目を覚ます。眠い目を擦りながら、そちらを見ると、クラークさんと目が合う。
「あっ……。」
「……。え?」
沈黙する2人。しばらく沈黙が続くとクラークさんは顔を真っ赤にしながら私の手を離した。
「す、すまない!! 無意識に握ってしまっていたようだ!! もしかして座ったまま寝かせてしまったのではないか!? 大丈夫か……?」
「だ、大丈夫です……。お気になさらないでください。」
「気にするだろう……まだ朝も早い。寝直さないか……?」
「そ、そうですね……。寝直しましょうか。」
2人して別々のベッドに潜り込む。何故か2人ともお互いの方向を見ながら静寂が訪れる。
「……。」
「……。」
ドキドキと胸がうるさい。サファイアの瞳は時折閉じたりして、私と視線が交わる。
「……。シェナ、眠れないのか?」
「あっ……。えっと……。ちょっと眠れなくて……。」
「まぁ男女だしな……緊張してもおかしくないぞ。」
「き、緊張じゃないです!」
「そうか? ならいいのだが……。」
高鳴る胸を押さえながら目を瞑る。暗闇に包まれる。
少し古臭いシーツの匂いを嗅ぎながら段々と微睡んでくる。
ゆっくりと思考は溶かされていく。私は気付いたら眠ってしまっていた。
暖かな感覚がする。その感覚で目を覚ますと、クラークさんが私の頭を撫でていた。
私が起きたことには気が付いてないようで、頭を撫で続ける。
「マーヤに本当に似ているな……。我が妹よ……。……マーヤ、お前に会いたい。」
少し涙を零しながら、ぎゅっと拳を握るのが見えた。クラークさん……妹居たんだ。
「……シェナ、お前は本当に無垢だな。騙されてしまわないか心配だぞ。」
そう言いながら彼は残っていた酒を仰ぐ。朝からお酒飲んで大丈夫なのかしら。
「頭痛い……二日酔いだな。」
彼の手が離れる。クラークさんは立ち上がり水を汲みに行く。
ごくごくとそれを飲み干すと次はシャワーへ向かった。
それを確認してから撫でられた箇所を再度撫で直す。
まだ彼のぬくもりが有る。妹と重ねられただけだが彼に撫でられた箇所が熱い。
じたばたとベッドの上で暴れまわるとしばらくすれば落ち着いてきて。
「……私もシャワー浴びなきゃ……。」
シャワーの支度をしていると、半裸のクラークさんが出てきた。
え? 半裸?
「え?」
「あっ、起きていたのか! すまない!」
「あっあっ、大丈夫です~!!」
シャワーの支度を抱え急いでシャワールームに入る。
上半身見ちゃった……。
「傷だらけ、だったなぁ……。それに逞しくて……。」
そんなことを考えながらシャワーを終えた私はシャワーから出るのだった。
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