第5話◆ohanasiしましょう、そうしましょう
◆◇◆
ろそん万歳。
そんな訳で一通りの事情を話した後、本格的な話し合いの場となった。
セレンテスさんとルリチェさんは一旦ほかのメンバーが泊っている宿に戻り、二人だけでも俺に協力して行動する旨を伝えにいった。
元よりあの兄妹が他の三人に参加した形のパーティだったので、別れて行動しても問題はないんだってさ。
「シュリはこれからどうする……、いや、どうしたい?」
オーウェンさんが問う。
「俺としては魔族国の現状を詳しく調べに行きたいかな。双方の事情に齟齬がないか確認するもの元魔王としての義務だと思っている」
「そうか……。魔族国はここからだと遠いぞ?」
「飛翔魔法や空間転移魔法はあるから楽に行けるとは思う。だが、そうして欲しくない事情があるとみているんだが、どうだ?」
俺の指摘にサリさんが苦笑した。
あ、これもしかしたら国がらみでなんかあるな?
オーウェンさんはサリさんに目配せすると、サリさんは頷いて言葉を継いだ。
「察しの良い子は大好きだよ。ぜひやって欲しいことがあるんだ」
「依頼料次第だな」
「……しっかりしているこもだいすきかな……」
あはは、とサリさんは笑う。
「まぁ冗談は置いといて。ちゃんと充分な依頼料はだすし、なんなら行く先々のギルドに寄って高レベル帯の依頼も受けてくれれば、10日ごとに追加の生活費も振り込んでおくよ」
「よし、乗ろう」
「即断出来る子も大好きだよ。とりあえず説明するね」
サリさんはメイフェさんから渡された資料を俺に寄越した。
なになに……『各ギルドの高レベル帯の依頼受託率と達成率のデータ』……?
「なんで達成率が低いんだこれ?っていうか、登録冒険者の任数の割りに受託率も低いな」
「魔物の数も増えているっていうのもあるんだけれどね、偏に人材不足と熟練度不足だねぇ。なので各ギルドで高レベル帯依頼が軒並み熟成されているんだよ」
ああ、これもしかして変異種とか特殊固体とか上位指揮官種とか生まれて、魔物全体のレベルが押し上げられちゃった系かな。
上位や指揮官クラスが生まれればその分統率があがる。
そのうえで奴らは人間並みに知恵が回るし野生の勘もあるから、面倒この上ない。
「旅ついでにこなしてこいって?これ、確実に上位種系がいるせいだろ」
「よくわかったね、シュリなら出来るでしょ?」
「出来ないでか」
お小遣いふんだくってやる……。
「でだ、シュリ。君のその姿は本来の物じゃないよね?」
「まぁな」
伊達に三歳から三か月ごとにちょっとずつ成長変化させてないぞ、ふふん。
「僕は侯爵家前当主の嫡外子で自前で伯爵家当主、王都ギルド本部の副マスターになった男なんだけれど、君を養子に迎えたい気分なんだけれど、どう?」
「ワーイパパー。コンゴトモヨロシク」
「なんでカタコトなのかな……」
そう言いながらもガッシリと手を組む。
俺は王都ギルド本部と伯爵家、頑張れば侯爵家の後ろ盾を得、代わりに労働力を差し出した。
「お前らを見ているとどうしても真面目な話し合いに見えないな……」
「いいの?シュリ……。サリさんって人使い荒いのよ……?」
「く、その辺の細かい事は契約書を作ってもらうからな……」
翔太朗に契約するなら有利な内容に持っていけ、て言われたからな。
早く日本に帰ってる為には頑張ることは吝かではないのだ。
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