第16話「どうしてこの世界に来たんだろう?」

二人を私の部屋……という名の洋子さんの部屋にあげ、キッチンに降りる。明日用に残してあったクッキーと、ささっと紅茶を入れ、自分の部屋に入る。

そこは地獄と化していた。氷川さんは私のベッドに寝転がり、うふふふと笑みを溢しているし、町田君は洋子さんの秘書に手を出していた。


「ちょいちょい! だめ!」


トレーを置き、二人の静止に入る。二人は本当私のことになると周りが見えないんだから……。

しょも……と犬のようになった二人を見ながら、「さ、座って。話したいことは山ほどあるし。」と促す。

二人はテーブル越しに正面に座り、「いただきまーす。」とクッキーに手を付ける。

さくっと齧れば二人は目を輝かせて美味しそうにクッキーを食べていく。


「で、本題だけど、どうして二人はこの世界にいるの……??」


「それが分かんないんだよな、多田野に会いてぇなぁと思って、ほら、昔一緒に撮った写真があるだろ? それ見てたら急に光りだして。」


「あ、私も! 唯ちゃんに会いたいなって、思ってプリ見てた。」


「多田野は?」


ゲームしてたらとか言えない……。そう考えていると頬をむにっと掴まれる。町田君は「言え。」と頬をむにむにと弄ぶ。


「はい! 言いますのでどうか開放を!!」


「うむ、よろしい。」


「実は……ゲームやってたらこの世界に来たの。どきっと☆学園パラダイスってゲームなんだけど。」


「多田野がやってたやつか?」


「うん……。」


三人で考え込む。考えたってどうしてこの世界に来たのか答えは見つからなかった。

が、またこうして出会えたのは何か意図があるのだろう。そう思い、私たちは考えるのをやめた。

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