第15話「仲直り。」
土下座した二人を見ながら、頭の中で思考を巡らせる。私を守るために、私のために悪役になってくれた二人を許さない選択肢はないのだ。
だが……二人は本当にそれでいいのか? また私と仲良くしてくれるの?
そう考えていると自然と涙がこぼれた。
「うっ……ひぐっ……うぇ……。」
「た、多田野?!」
「唯ちゃん!? どこか痛いの!?」
「ちが……うれしくて……。」
ぽろぽろと涙をこぼす私を見て二人は同時に頭を撫でてくる。
しばらく私を幸せそうに撫でた後、二人は目を合わせ、バチバチと火花を散らす。
は、始まったー!!
「は? 唯ちゃんに軽率に触るとかお前何様??」
「お前こそ多田野に触るとか何様なの??」
「お、落ち着いて……。」
「唯ちゃんは神聖な生き物なの! 男が触るな!!」
「は? 氷川のくせに生意気だな!!」
おろおろと二人の間で狼狽える。こうなった二人はもう止められない。困った顔をしていると扉がガチャリと開いた。
「洋子さん? 何してるの……? 大丈夫??」
洋一きゅんと亮太きゅんだった。二人は揉み合いになっている二人を見ると、少し困った表情になる。
「あの、人んちの前なんで辞めたら?」
「そうだね……さすがに家の前なので辞めていただけると嬉しいです。」
二人はそういわれると停止した。
「ゆ……洋子ちゃん、仲直りしてくれる?」
「た……鈴木、俺とも仲直りしてほしい。」
そう言って二人は私に手を差し出し、深く頭を下げた。
そんな二人を見て笑みをこぼし、「もちろん、こちらこそごめんね、迷惑をおかけしました。」と手を握り返した。
そんな私の行動がうれしかったのか二人は抱き着いてきてサンドウィッチにされた。
洋一きゅんと亮太きゅんも二人の行動をくすくすと笑いながら見守ってくれて、「先に戻ってるわ。」と亮太きゅんが戻っていくと洋一きゅんもそれについていった。
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