第13話「勉強会!」

カリカリと二人はペンを進める。頑張り屋さんだな、そう思いながら懐かしい教科書を開きながら感傷に浸る。

分からないとか言えないからね、いつでも答えられるようにしなきゃ、と思うと気合が入るもんだ。

そういえばゲームにも二人が勉強会するイベントが有った。

それがもうエッチで。何故なら教科が保健で!

亮太きゅんこう見えて成績良いんだよな~。そう思っていると。


「ねぇ亮太君、ここどうやるの……?」


「ここはな……。この式を代入して……。」


二人の距離がぐっと縮まる。思わず鼻を抑える。

鼻血出さないようにしなきゃ……。そう思いながらもまじまじと二人の距離を見つめる。

亮太きゅんはシャツのボタンをはずしていて、前を少し開けている。

そんな恰好で前に座らないで! イケメンが……。

くらくらとする。イケメンとワンコ系男子に囲まれて思わずうふふと気持ちの悪い笑みを浮かべてしまう。

クッキーをさくり……とかじりながら教科書に視線を戻す。懐かしいなぁ、この問題得意だったな。そう思いながら意識を二人に向かないようにする。


「洋子さん。」


「はい?」


「この問題ちょっと答えと合わないんすけどどこで間違えたんすかね?」


そう言ってノートと答えを見せてくる。

ふむ、と二つのものを見比べる。


「ここだね、ここはこっちの公式を使うの。こっちじゃなくて。これの使い方は……。」


「あー、なるほどっす。あざした。」


カリカリカリカリ……。

二人ともノートに一生懸命向かっていて思わず笑みが零れた。

懐かしいな、こんな光景。私も町田君に教えたっけな――。

町田君にはもう会えないのにそんなこと思ってしまう。

元気にしてるかな……町田君。窓を眺めながらそんなことを考えた。


「できた!」


「俺も。疲れたな。終わったしゆっくり話すか。」


もう考えるのを辞めよう。今の生きる世界は此処なんだから。


「そうね! ゆっくり休も!」


そう笑い、返した。余計なことは考えなくていい。

今の私の世界を大事にしよう。

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