第12話「過去を思い出しました。4」
河川敷で一人川の流れを眺める。そんなことしたってなにも変わらないのに。
一つ引っかかったことが有る。それは二人が凄くつらそうに、私にあんな発言をしたことだ。
二人が本音だったか分からない。でもそんなことを聞く権利は無くなってしまったのだ。
一人でぐずぐすと河川敷で涙を零す。
氷川さんは私が一人の時、いつも一緒に居てくれた。時折ボロボロに何故かなっていたけど私のそばで笑ってくれた。
『ずっと友達だよ! 唯ちゃん!』
そんな言葉が反響した。
町田君はいつも、私が困っているときに手を差し伸べてくれた。お返しの手料理で喜んでくれた。
『困ったときはお互い様だろ、気にすんな。』
そんな言葉が、反響した。
なのにどうして変わってしまったんだろう。
私が何をしたというの。
意識を取り戻す。目を覚ませば、洋一きゅんと亮太きゅんが心配そうな顔で私をのぞき込んでいた。
「大丈夫……? 洋子ちゃん。」
「だ、大丈夫スか、洋子さん。」
「うん……大丈夫。」
にへらと笑う。二人は安堵したように溜息を洩らした。
「よ、洋子さんすんませんした……悪気はなくて。ブスとか思ってないんで……。」
「気にしないで。大丈夫よ。さ、勉強しよっか。」
ゆっくりとベッドから立ち上がる。見た夢を忘れたくて、早く消したかった。
二人は少し困った様な表情を見せた後、「そうだね」と洋一きゅんは言った。
「勉強道具取ってくるね。」
「おう。」
「なら私は紅茶とクッキー持ってくるね。」
扉から出て下に降りる。さすが男の子。ベッドまで運べるのね……と思ったのは秘密の話だ。
キッチンまで向かい、少し冷めた紅茶を見てアイスティーにしようと思い氷をグラスに入れ、紅茶を注ぐ。
クッキーと紅茶をトレーに載せ二階に上がる。
氷川さん、町田君。願ってもいいならもう一度二人に会いたいです――。
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