第7話「亮太きゅんが遊びに来ます、天国ですか?」
次の日のこと。洋一きゅんが私の部屋をノックする。
「はぁい、洋一君どうしたの?」
「あ、今日ね。亮太君が遊びに来るの……。それで、勉強会しようってことになって……。」
「なにぃ!? 勉強会!?」
「洋子ちゃん、教員免許あるでしょ? だから教えてほしくって。」
ふむ、と考え込む。勉強かぁ。私としても苦手ではない。だが二人の時間を邪魔できるものか……。と考えたがすぐに閃く。
二人のそばに居れば仲良くしてる二人が見られるじゃないか。なんてご褒美なの!
じゅるりと涎が垂れる。いけないいけない。
「いいわよ! ビシバシいくわよ! さぁ! その前に御もてなしの準備ね~。」
ルンルンで部屋を飛び出る。「まって~!」と後ろから洋一きゅんが追いかけてくる。
私は軽い足取りのままキッチンに立ちエプロンを結ぶ。
「洋子ちゃん……? なにするの?」
「クッキーを作るのよ。お客さんが来るんだもの、御もてなししないと。」
ふふ、と笑う私を見て洋一きゅんは頬を赤らめる。「僕も手伝う!」と勢いよく声を出したかと思うと手を洗い始める。
「あら、ありがとー。じゃあ二人で作ろ! 私も手洗うね。」
手をきれいに洗い、クッキーの材料を取り出す。推しに今までバレンタイン出してきたんだから、自信はある!
ただ心配なのは、洋一きゅんだ。何故かというと彼は――。
「うわぁぁぁっ!」
ぶしゃぁああああ!
極度のドジっ子なのだ。
今回は水浴びかぁ……。
「ちょっと洋一君、風邪ひくからちゃんと拭いて。」
「う、うん……。」
ごしごしと濡れた個所を拭う洋一きゅん。透けた肌が素敵ですね。
涎と鼻血が出そうなのをこらえながら、洋一きゅんを眺める。
拭き終わったのかわくわくと次の工程を待っている。
前途多難だろうな……。
「ふぅ! 出来た~。」
「洋子ちゃんすごい! こんなに早く作れるなんて! やっぱり洋子ちゃんのお菓子は世界一だね……!」
にこやかに洋一きゅんが笑う。その言葉に照れてしまって頬を少し掻く。
クッキーを作り終えた私は紅茶を入れる。少し蒸してる間にメイクして来よう。
メイクを簡単に済ませるとピンポーンとチャイムが鳴る。
「おじゃましやーす。」
ガチャリと玄関の開く音、亮太きゅんだ!
またもやルンルンで部屋を飛び出す。「いらっしゃい。」とにこやかに微笑みながらそう言うと「……うす。」と顔を真っ赤にしてそれだけ呟く亮太きゅんがいた。
うん? なんかおかしくない?
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