1和 地下ダンジョンから響き渡るセレナーデ

 魔王エクソダスは優しかった。

 なんでもアイテムを倉庫から出しては、「FRiEnD」に

 囚われた冒険者カットマンに与えてたのだった。


 そう、魔王は優しい。

 魔王に相談すれば何時でも何処でも救済してくれるのだから。


 <<カットマン>>にとって魔王はなくてはならないもの。

 <<カットマン>>がこの地下迷宮「FRiEnD」に居続けられるのも

 魔王のおかげである。


 今回の主人公、岩河尾張いわかわおわりはここ、「Forest」に

 やってきた冒険者。

 

 魔王とは地下1階で突然出会った。

 

 ―なぜここに魔王が…

 

 そう、魔王は計画していた。

 「FRiEnD」に立ち入ったもは逃げれば「殺す」と。

 

 魔王は冒険者にアイテム「金平糖ハッピーパウダー」を与えた。

 この金平糖は気分が最高に優れるようになるお菓子で、「FRiEnD」の

 <<カットマン>>達には欠かせないお菓子だった。


 それを冒険者は受け取ったあと、魔王が言う。

 「もっと欲しければ、地下99階で会おう。」

 そう言って、魔王はその場から姿を消した。

 

 …

 

 この金平糖には「MP」という能力上昇効果バフがつき、あらゆる

 体力と精神力を最高値に引き伸ばしてくれる至高のアイテム。

 しかし、MPは時間で解除される。

 このあと、金平糖を手にした冒険者はこぞって皆こう言うのである。


         「金平糖ほしいです。」


        「魔王様。金平糖をください。」


          「息苦しいのです。」

        

        冒険者は金平糖をまたもらう。

   そうして皆、<<カットマン>>になっていく。

 

 こうして「FRiEnD」は最高の快楽と安息の魔境になっていった。

 


 だが、現実は違ったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ペン最高パスカットマン 狐ぽた @Foxpotage

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る