第11話 対面
会場内の声が少し聞こえる
二人が入場したようで
にぎわっている
そして
二人が席につき
開場は暗いまま二人だけにライトが当たった状態で静まる
新郎新婦との打ち合わせでは
ココからは二人の出会った頃からのスライド写真の上映予定とされている
スライドは
高砂せきの真後ろに大きなスクリーンが下りてきてはじまりまる
二人は高砂席ではなく
列席者の一番前に椅子を置き
皆様と同じ方向を向いた状態に着席する
そこで
二人へのライトが消える
司会者が二人とした打ち合わせとは違うアナウンスをする
マイク前に立った俺にライトが照らされ
紹介される
“さあ
行こう
始まりだ“
俺はため息の様な深呼吸をして
案内されるがまま
マイク前へ立った
二人が着席し
皆、下りてくるスクリーンの方を見ているので
暗い中
前に立った俺には誰も気づかない
そこで
司会者が一つ高い声で
紹介を始めた
「今日は特別に
サプライズゲストがいらっしゃっています」
その瞬間
新郎新婦も含め
みんなざわつく
俺はこっそりとマイク前に立ち背中を向けた
「新郎新婦のご友人の斎藤 律様です」
その瞬間
会場は更にざわつき
俺がふり返るとライトが俺を照らした
きっと
中央ぐらいにまとめて座っている
中・高の友人はかなり動揺している
俺はゆっくり顔を二人の方に向けた
二人は・・・特に久実は驚きすぎて目が飛び出てしまいそうな表情で
危ない顔つきで
笑えた
が、それを飲み込み必死に抑えた
会場のスタッフに誰かが俺の事を告げ口したのか?
黒服がササッと寄ってきたけど
「大丈夫です
俺の親友です・・・スピーチ聞きたいです」
新郎が大きめの声で言った
相変わらず
いい度胸だな
上等だ!覚悟しろ・・・蒼汰
黒服は一礼し
横へはけた
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