第9話 自問自答

さて

どうするか?


俺は

この結婚式に行くべきなのか?


行くとしたら

どんな顔で行くのか?


俺の肩書きってなんだ?


“新郎元親友”

“新婦元カレ”


笑えるな・・・


しかし

どうなんだろう?


二人はどういうつもりなんだろうか?


俺に許しを請いたいのか?


でも、それって

自己満足だよな


“ごめん”


なんて言われたって


“ああ”


としか言えねーよ


もう大人だぜ

いつまでも子供じみた拗ね方なんてできやしない


でも

二人と会って

俺・・・どんな気持ちになるのだろう?


あれから

会ってないんだからな・・・


しかし

二人の幸せを

祝えと・・・


もう時効だろって?


そろそろ拗ねるのやめろよ!恰好悪すぎだろ?


とでも言いたいのかな?


それとも

断るのは自由だから

一応、招待状送っておいて

罪悪感を減らしただけとか?


だったら

俺・・・行くべきじゃないよな


っていうか

なんだかムカついてきた


だって

こんな事

ちゃんと会って伝えろよ

普通以上に

そうすべき相手だろ?


招待状送る前に

結婚式に呼ぶ前に

二人じゃなくてもいい

どちらか一人で会いに来たっていい


「結婚することになったよ

ちゃんと

私達(俺たち)真剣に付き合ってきたよ

だから

あの時はごめん・・・裏切ってごめん

親友なのに

恋人なのに

気付つけてごめん・・・」


その言葉が

面等向かって欲しかった


それって

おれのエゴか?


俺、結構

常識的な事言ってると思うけどな・・・


でも

もしかしたら

怖いのかもしれないな


あれから全く連絡取ってないし

俺が今、どんな状況なのかも知らないし


もしも会って

それを言おうとして

殴りかかられたら

行き過ぎて刺されでもしたら・・・なんて

サスペンスみたいな事

考えたのかもしれないな


そうなるくらいなら

報告として


“私達、結婚します”


って言う事で

この招待状を送ったのかもしれないな


列席しては欲しくないから

こんな非常識なタイミングで送って来たのかも


これを見て

嫌な思い出をぶり返され

怒ろうと

非常識な人間で最低だと思われようと

一方的にだとしても

伝えたかったのかもしれない


俺からのリアクションなんて別に求めていない


・・・そうなのか?・・・


だとしたら

行くべきではないな


一応、この招待状が届いた日に急いで用意していたスーツを見る

そして

小さくため息をつく


ま、今更

出欠も出せないし

欠席扱いになってると思うしな


そう納得し

俺は・・・不貞腐れる様にスーツに背を向けて寝た

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