第7話 遠回りの人生
高3の夏休み中に高校を辞め
二学期からは
県外に引っ越し
通信制の学校へ編入した
全力で逃げた
現実から逃げ出した俺は
“負け犬”
だと自分自身を蔑んで
眠れない日もあった
だけど
ろくに追及もせず
世間体とかも気にせずに
自分を信じて送り出してくれた両親を思うと
そんなにいつまでも
恥じる気持ちを育てて拗ねているなんてできなかった
だけど
思っていた
親世代はもちろん
俺たちだって
子供の頃から思ってた
幼稚園や保育園を出たら
小学校や中学校へ進み
高校受験
そしてそこからは
専門学校や大学
就職かもしれない
様々な道に行くのだけど
小学校から中学校までは義務教育
だけど
幼稚園・保育園や高校は
義務教育ではない
だけど
けっこうな人は当たり前に行くもの思っている
高校までは普通に義務教育の様に
行くものだ
やめるなんて誰も考えつかない
しかも三年の夏なんて
考えもしない行動で・・・
簡単にいうと
不自然な行動だと思う
だけど
世の中には
結構あるもので
いじめだったり
引きこもったり
色々と内容は違うんだけど
あるんだよ
そう言う事・・・
俺みたいな理由はちょっと稀かもだけど
だから
初めは自分自身
後ろめたかった
そうなってから出会う人に
よく聞かれるから
初対面の出会いに下を向き無口な時期があった
その度に
何か悪い事でもしているような気持になった
だって
俺は失恋で逃げたんだから・・・少し格好悪く感じていた
だけど
俺はその後
2年浪人して志望していた大学へ行った
その頃には
浪人生なんてざらにいるし
二年も遠回りしたけど
同級生で同学年もいたし
年上だっていた
場所が変わり
大学やバイト先で色んな人と出会うほど
色んな奴がいて
酷い経験してる奴ほど
恥ずかしい話を
心をえぐる様な体験を
ヘラヘラっと楽しそうに自虐的に話して笑い飛ばした
そんな人たちに出会うほど
傷も割と悪くないものだって・・・
だから
あんな事も
そんな事も
遠回りや立ち止まる事も
長い人生の中では度々あることだと思うようになった
だって
幼稚園のお受験
中学受験
高校受験
大学受験
様々なゲートをすんなり通れない人は山ほどいる
そんな奴らとすぐに仲良くなった
俺の場合
少し変わった理由なだけで
それからの人生
長い人生においては
たいしたハンデではない
あの頃からかな?
やっと
本気で笑えるようになった
小さな汚点
消してしまいたくなるような過去にとらわれているよりは
それをどう生かすか
どういう風に帳尻を合わせることができるか?
いや
個性に変えることができるのかだと気づいた
“あれで良かったんだ”
“あれがあったから今のココがある”
“あれがあったからこいつらと出会えた”
と、自分自身を納得させれるかが重要で
傷も痛みもすべてが経験で
経験は負ではなく
財産だと思えてきた
その後
就職活動でも面接官に
高校三年夏に中退し
通信制に編入したことを聞かれたりしたけど
その頃には
開き直って笑い話に変えたりできた
その話は
友達や合コンなんかで
何百回と色んな人に話していて
持ちネタの様に笑いに変える事ができていた
自虐的ではあるけども
かなりの確率で受けるほど
その漫談は奇麗にまとまっていた
それきっかけで
“君、面白いね”
って、気に入られて
今の会社に就職できたようなものだ
ま、心配かけた親のためにも
前向きに
しっかり歩きたいと願っていたら
ちゃんと良い方へ繋がって
今となっては
もう気にもしていない
逆に“有難う”と、感謝すらしたりする
少し
強がりだけどね・・・
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